上 下
11 / 22

11

しおりを挟む
茉莉に右耳を消毒されている。

「玲、何も言わないなら本当に開けちゃうよ?いいの?」

茉莉が伺うように聞いてくる。
ここでいいと言わなかったらどうなるんだろう…。期待した言葉は返ってこなかったけど、頷くしかない。

「…いいよ。俺もせっかくの発情期ヒートなのに楽しめないのは嫌だから。いいけど、これ外して。」

強がりを言いながら擦れて赤くなった手首に視線をやる。

「逃げない?」

「心配なら足はそのままでいいから。さすがにピアス開ける時は痛いからどっか掴んでたい。」

意外にも茉莉は素直に結束バンドを切ってくれた。……足はそのままだけど。

「素直な玲は可愛いなぁ。怖いなら俺のこと掴んでていいよ。」

可愛いと言いながらおでこにキスをされ、そのまま茉莉の腰に俺の手を回させられた。

それと同時に右耳にヒヤリとした感覚がする。
茉莉がピアッサーを当てたんだ。少し怖くなりギュッと腕に力を込めると、茉莉が優しく頭を撫でてくれる。

「じゃ、いくよ。」

「茉莉、終わったら気持ちいいのしてね。」

発情期ヒートなのにセックスしてもらえないのは辛い。茉莉に優しくしてほしい…。

「いいよ、いい子の玲は可愛いからね。」

言い終わると同時に耳元でバチンと大きな音がする。一瞬の痛みに身体を強張らせ、茉莉の腰に回した腕に力が入る。

茉莉が満足そうな笑みをしてファーストピアスを通す。そのまま足の結束バンドも外してくれて、茉莉に抱き抱えられて鏡の前に連れてこられる。

「ほら、玲見て。ちゃんとあいてる。」

俺の右耳にはしっかりとピアスの穴が開いていた。それを愛おしそうに見る茉莉は本当にさっきまでの不安が無くなったみたいだ。

「茉莉、不安は大丈夫なの?」

「玲が俺のためにあけてくれた穴だと思うと安心する。似合ってるよ、玲。」

「っん。…あんっ。ああっ……んんっ。」

鏡に俺が写ったまま茉莉にキスをされる。嬉しくて茉莉に集中したいのに鏡が視界に入り、俺は頬を染めることになる。

「恥ずかしいの、玲?耳まで赤くなってる。…ベッドに行こうか。」

茉莉は優しく俺をベッドまでエスコートしてくれる。こんなことなら早く茉莉にピアスをあけてもらってたらよかった。さっきまで嫌なことをされていたのに不思議と俺の不安も無くなってきた。

 茉莉に優しくベッドに横たえさせられる。上から茉莉が俺の顔を覗き込んできて、小さく「ありがとう」と言って微笑む。それを見た途端にブワッと発情期ヒートのフェロモンがまた溢れ出した。後孔はいやらしく濡れている。

「いい匂い、玲、何してほしい?玲の好きなこと全部してあげるよ。」

俺はもう限界だった。ピアスをあけられたことなんかすぐに忘れてしまって茉莉、茉莉と何度も小さく茉莉を呼び、抱きしめた。

「あっ……んんっ。あぅぅ。気持ちいっ、まつり、気持ちいいっ。もっ、茉莉が、はやくほしい…。……あぁっ‼︎」

茉莉の愛撫にすっかり頭はどうにかなってしまって、茉莉を受け入れた俺の身体は歓喜していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】終わりとはじまりの間

ビーバー父さん
BL
ノンフィクションとは言えない、フィクションです。 プロローグ的なお話として完結しました。 一生のパートナーと思っていた亮介に、子供がいると分かって別れることになった桂。 別れる理由も奇想天外なことながら、その行動も考えもおかしい亮介に心身ともに疲れるころ、 桂のクライアントである若狭に、亮介がおかしいということを同意してもらえたところから、始まりそうな関係に戸惑う桂。 この先があるのか、それとも……。 こんな思考回路と関係の奴らが実在するんですよ。

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

男色官能小説短編集

明治通りの民
BL
男色官能小説の短編集です。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

あの日の僕らの声がする

琴葉
BL
;※オメガバース設定。「本能と理性の狭間で」の番外編。流血、弱暴力シーン有。また妊娠出産に関してメンタル弱い方注意※いつも飄々としているオメガの菅野。番のアルファ葉山もいて、幸せそうに見えていたが、実は…。衝撃の事実。

無理やりお仕置きされちゃうsubの話(短編集)

みたらし団子
BL
Dom/subユニバース ★が多くなるほどえろ重視の作品になっていきます。 ぼちぼち更新

俺と父さんの話

五味ほたる
BL
「あ、ぁ、っ……、っ……」   父さんの体液が染み付いたものを捨てるなんてもったいない。俺の一部にしたくて、ゴクンと飲み込んだ瞬間に射精した。 「はあっ……はー……は……」  手のひらの残滓をぼんやり見つめる。セックスしたい。セックスしたい。裸の父さんに触りたい。入れたい。ひとつになりたい。 ■エロしかない話、トモとトモの話(https://www.alphapolis.co.jp/novel/828143553/192619023)のオメガバース派生。だいたい「父さん、父さん……っ」な感じです。前作を読んでなくても読めます。 ■2022.04.16 全10話を収録したものがKindle Unlimited読み放題で配信中です!全部エロです。ボリュームあります。 攻め×攻め(樹生×トモ兄)、3P、鼻血、不倫プレイ、ananの例の企画の話などなど。 Amazonで「五味ほたる」で検索すると出てきます。 購入していただけたら、私が日高屋の野菜炒め定食(600円)を食べられます。レビュー、★評価など大変励みになります!

処理中です...