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これは得意なやつかもしれない2
しおりを挟む「まず治すところと言えば姿勢かな」
「姿勢ですか……」
ノーチェは自分の背中をさすさすと触る。
「あなたは私だとか他の生徒だとか人目があると背筋をぴんと伸ばす癖がついてるみたいなんだけど、それ以外のところでは気が抜けちゃうのかちょっと猫背になるんだよ。気づいてた?」
「うっ、そうかもしれないです」
「王妃になったらいつも人から見られっぱなしどんなところからでも視線向けられっぱなしだからね。その辺は抜けのないようにしておきたいな」
「そうですよね! どこから見ても品よく、美しくいないといけませんものね!」
「そうそう。具体的には頭の上から糸で釣られるように……。腰は反りすぎないで……」
「こうですか?」
「そうだね。その姿勢をキープし続けて!」
「かしこまりました」
(よし呆れられないように、きちんと良い姿勢を身につけないと)
ノーチェは背筋を伸ばして、どんな時でもいい姿勢をキープし続けた。
何日かそれを続けていると、ジーナから合格をいただけたので、次のレッスンに入る。
「うん、姿勢は完璧。次は歩き方だね。歩幅は今の歩幅より後五センチ狭く。腕はあまり振りすぎない方がこの国では美しいとされているから、二十度以上振らないように……」
「こんな感じでしょか?」
ノーチェは言われた通りに腕を振って、歩幅を調整して歩く。
その様子を見た、ジーナは目を瞬かせる。
「あなた……。本当に驚くほど出来の良い生徒だね」
貴族の子女たちはどんなに家が貧乏でも、貴族らしさをわせれることのないよう、よほど甘やかされて育たない限り、身のこなしは厳しくしつけられる。
ノーチェも例外ではなかった。
「多分……。私、こうしなさいと言われてその通りにやるのが得意なんだと思います。指示が曖昧だと考え込んでしまいますが、ジーナ様は角度まで指定してくださいますからわかりやすくて取り入れやすいのだと思います」
ノーチェは今まで学業と生活と、実家の事業の手伝いを全て両立させてきていたのだ。いわば、彼女は努力の天才である。
より効率的に物事を覚えるのにはどうすればいいか、日頃から考え、物事をこなしていけばいいか、考えられるだけの能力が備わっていた。
そんなノーチェにとって、生活の面倒をジーナに受けらって余裕がある今、新しく何かを覚えるのは造作もないことだ。
「それにしたって限度があると思うけど。あなた本当に王妃に適性があるのね」
思っても見ないジーナの一言に、ノーチェは自分を認められたようで嬉しくなる。
柔らかく、素朴に。野に咲く花のように笑ったノーチェの表情はどんな王妃候補よりも美しく、ジーナの目に映った。
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