15 / 31
自尊心の補強工事を施された3
しおりを挟む
校舎に着くと、ノーチェはやはり多くの視線を浴びることになった。
それもそうだろう。
昨日まで誰も見向きもせぬほど地味な生徒であった、ノーチェが悪役令嬢と名高い、ジーナと共に投稿したのだ。
ざわりざわりと観衆の声が響く。
ノーチェは生徒たちの刺すような視線に耐えながら、道を進む。 そんな中でもやはりジーナは背筋をぴんと伸ばして堂々と歩いていた。
(いつもこんな観衆の刺さるような視線に耐えながら毎日を過ごされているなんてやはりジーナ様はすごいわ)
ジーナはノーチェを王妃に仕立て上げると宣言していた。
しかしノーチェは自分自身が多くの視線を浴びることに耐えられる気が全くしていない。
今の心境を表すならば不安だらけだ。ただでさえ自信なんて全くないのだ。
こんな状況でうっかり王妃になんてなろうものなら、国民から後ろ指を刺されるに違いない。
ノーチェは後ろめたさで顔青白くして歩いていた。
とぼとぼと歩いていると後ろから男性の声がかかる。
「おお! ジーナ! もしかしてやっと王妃候補を決めたのか?」
(この方……。ジーナ様と王子の周りでよく見かける方だわ。確か王族とも縁のある侯爵家のアンヘル様……、でしたっけ?)
赤茶けた髪色に柔和そうな笑顔。少しチャラけた様子にも見えるが、ちゃんと生徒たちに聞こえない場所でジーナに声をかけている。目の奥がキラリと光っていてジーナがノーチェを選んだということに、いち早く気づき対策を考えているようだった。
もしかしたら他の生徒に対する態度は彼のイメージ戦略戦略なのかもしれない。
ジーナが王子の婚約者でないことを知っている。という事はジーナに近い人間で、ジーナが男であることも知っているのであろう。
「そうよ。私、彼女は気に入ったの」
ふふん、と艶やかに笑ったジーナはノーチェをアンヘルに紹介する様に、前へ押し出した。
押し出されたノーチェはどうしていいかわからず、とりあえず笑って挨拶をした。
「お初にお目にかかります。ノーチェと申します」
きっとアンヘルは自分のことなんて知らないだろう。そうたかを括って挨拶をした。しかし返ってきた言葉は想像とは違ったものだった。
「ああ。君の事はよく知っているよ。次期王妃を決める会議でも何度も名前があがっていたからね。君は優秀だから婚約者さえなければ、ぜひ王子の相手にってみんな言ってた」
「え?」
ノーチェは目を見張る。
「ね? 私の言った通りだったでしょう。あなたはあなたが思っているよりも素晴らしい生徒だったよ」
(まって……。この展開は考えていなかったわ。これも全て何かの筋書きがあって仕組まれたものではないかしら。だってそうじゃなきゃ私を誰かが褒めるなんて考えられないし)
疑心暗鬼は止まらない。
イタズラな顔で笑うジーナ顔のを、ノーチェは真っ直ぐ見ることができなかった。
それもそうだろう。
昨日まで誰も見向きもせぬほど地味な生徒であった、ノーチェが悪役令嬢と名高い、ジーナと共に投稿したのだ。
ざわりざわりと観衆の声が響く。
ノーチェは生徒たちの刺すような視線に耐えながら、道を進む。 そんな中でもやはりジーナは背筋をぴんと伸ばして堂々と歩いていた。
(いつもこんな観衆の刺さるような視線に耐えながら毎日を過ごされているなんてやはりジーナ様はすごいわ)
ジーナはノーチェを王妃に仕立て上げると宣言していた。
しかしノーチェは自分自身が多くの視線を浴びることに耐えられる気が全くしていない。
今の心境を表すならば不安だらけだ。ただでさえ自信なんて全くないのだ。
こんな状況でうっかり王妃になんてなろうものなら、国民から後ろ指を刺されるに違いない。
ノーチェは後ろめたさで顔青白くして歩いていた。
とぼとぼと歩いていると後ろから男性の声がかかる。
「おお! ジーナ! もしかしてやっと王妃候補を決めたのか?」
(この方……。ジーナ様と王子の周りでよく見かける方だわ。確か王族とも縁のある侯爵家のアンヘル様……、でしたっけ?)
赤茶けた髪色に柔和そうな笑顔。少しチャラけた様子にも見えるが、ちゃんと生徒たちに聞こえない場所でジーナに声をかけている。目の奥がキラリと光っていてジーナがノーチェを選んだということに、いち早く気づき対策を考えているようだった。
もしかしたら他の生徒に対する態度は彼のイメージ戦略戦略なのかもしれない。
ジーナが王子の婚約者でないことを知っている。という事はジーナに近い人間で、ジーナが男であることも知っているのであろう。
「そうよ。私、彼女は気に入ったの」
ふふん、と艶やかに笑ったジーナはノーチェをアンヘルに紹介する様に、前へ押し出した。
押し出されたノーチェはどうしていいかわからず、とりあえず笑って挨拶をした。
「お初にお目にかかります。ノーチェと申します」
きっとアンヘルは自分のことなんて知らないだろう。そうたかを括って挨拶をした。しかし返ってきた言葉は想像とは違ったものだった。
「ああ。君の事はよく知っているよ。次期王妃を決める会議でも何度も名前があがっていたからね。君は優秀だから婚約者さえなければ、ぜひ王子の相手にってみんな言ってた」
「え?」
ノーチェは目を見張る。
「ね? 私の言った通りだったでしょう。あなたはあなたが思っているよりも素晴らしい生徒だったよ」
(まって……。この展開は考えていなかったわ。これも全て何かの筋書きがあって仕組まれたものではないかしら。だってそうじゃなきゃ私を誰かが褒めるなんて考えられないし)
疑心暗鬼は止まらない。
イタズラな顔で笑うジーナ顔のを、ノーチェは真っ直ぐ見ることができなかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
25
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる