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猫なので綺麗好きです7
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ミラジェが毒を受けてから一日がたった。
いつもであればバラの芳しい香りが広がり、誰もが夢の様にうっとりしてしまうエイベッド家の屋敷だが、公爵夫人が襲われた翌日ということもあり、陰りが感じられる。今ここにも間者が紛れ込んでいるのではないかという疑念と、恐れが充満していた。
「まだ、ミラジェを害した人間は見つからないのか?」
シャルルは重さを感じさせる低い声で、従者のジャンに問う。
「申し訳ありません……」
ジャンは心から申し訳なさそうに、頭を垂れる。
シャルルは焦っていた。ジャンに調べさせたところ、毒はミラジェのカップにのみ入れられていることがわかった。
この家のどこかに、ミラジェの存在を疎ましく思っているものがいるのだ。
ミラジェに危険が及ぶ前に、間者を見つけ出し、手を打たなければならない。
「まあ、ミラジェの輿入れに当たって使用人の人数も大幅に増えたからな。その間に間者が入り込んだのだろう」
「しかし、どの者も名の通った貴族から紹介状を持っているものばかりです。そもそも今のエイベッド家は国内で王族に継ぐ権力を持っていますから……。そんな家を敵に回したいと思う愚かなものは国中探しても見つからないでしょう」
「本当に愚かなものは、手段なんて選ばずに感情的に動くだろう。しばらくの間、ミラジェの周辺の警備を固くするように。何か口に入れる際は全て毒見を通せ」
「かしこまりました」
(第一にミラジェを亡き者にしようと考えるミラジェの家族はもう排除済みだ。しかし私は一人だけ、感情に身を任せて動く人間に心当たりがある……)
眉間に渓谷のような皺を刻んだシャルルの脳内には一人の女の姿が浮かんでいた。
いつもであればバラの芳しい香りが広がり、誰もが夢の様にうっとりしてしまうエイベッド家の屋敷だが、公爵夫人が襲われた翌日ということもあり、陰りが感じられる。今ここにも間者が紛れ込んでいるのではないかという疑念と、恐れが充満していた。
「まだ、ミラジェを害した人間は見つからないのか?」
シャルルは重さを感じさせる低い声で、従者のジャンに問う。
「申し訳ありません……」
ジャンは心から申し訳なさそうに、頭を垂れる。
シャルルは焦っていた。ジャンに調べさせたところ、毒はミラジェのカップにのみ入れられていることがわかった。
この家のどこかに、ミラジェの存在を疎ましく思っているものがいるのだ。
ミラジェに危険が及ぶ前に、間者を見つけ出し、手を打たなければならない。
「まあ、ミラジェの輿入れに当たって使用人の人数も大幅に増えたからな。その間に間者が入り込んだのだろう」
「しかし、どの者も名の通った貴族から紹介状を持っているものばかりです。そもそも今のエイベッド家は国内で王族に継ぐ権力を持っていますから……。そんな家を敵に回したいと思う愚かなものは国中探しても見つからないでしょう」
「本当に愚かなものは、手段なんて選ばずに感情的に動くだろう。しばらくの間、ミラジェの周辺の警備を固くするように。何か口に入れる際は全て毒見を通せ」
「かしこまりました」
(第一にミラジェを亡き者にしようと考えるミラジェの家族はもう排除済みだ。しかし私は一人だけ、感情に身を任せて動く人間に心当たりがある……)
眉間に渓谷のような皺を刻んだシャルルの脳内には一人の女の姿が浮かんでいた。
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