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小さな幸せを願った勇者の話
78 マスターの過去
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しん、とした室内に不安になって目を開ける。ガウナーの心配そうな顔が目に入った。
マールクはため息を吐きながら口を開く。
「これを……。」
「ん?」
「この話を俺たちは聞いても良かったのか?」
「……冒険者登録をしてくれた治癒士くらいは、守りてえ。うちに所属した光の魔力持ちには伝えるようにしている。ああ、王家云々はいつもは言わねえな、すまん、口が滑った。」
「いや、俺が聞いたから、だろ?」
「ああ、いや。現役の騎士さまが冒険者登録ってのも珍しい。お咎めはねえのか?」
「業務の一環ってことで、大丈夫だと思う。」
「業務?」
「ああ、神託の聖者を見張るのが、俺とガウナーの仕事だ。」
「神託の聖者……!そう、だったな。」
マスターの声は、俺の頭に大きく響いた。ううっと目を瞑ると、ガウナーが優しく頭を撫でてくれる。
おおっ。大きな手で頭を撫でられるの初めてだ。気持ちいい。
「静かに。」
ガウナーの声に、話していた二人は、はっとしたようだった。真剣に二人の話を聞いていたセナが、俺の頬に手を置いて撫でる。その小さな手で撫でられるのも、いつも大好きなんだ。
「王家はそんなのをよく自由に……、ああ、監視。そうか、監視は付いてるのか。」
マスターのあまりの動揺に、マールクが少し笑ったようだった。
「セナが、宰相や第二王子に魔法なんて使えないって言ったし、勇者の従者だからってんで、セナを無茶な使い方はできないんだろう。」
「……セナは、使えるのに使えないと言ったのか?」
セナは答えない。
「治癒魔法の危険性を知ってたってことか。まだ鑑定の儀を受けたばかりなんだろう?一体どうやって知ることができたんだ?」
俺もセナも口を開かなかったらあきらめてくれるかと思ったが、マスターはベッドに近づいてきた。
「これは?」
急に腕を持ち上げられて、びくりっと起き上がる。目を開けてれば良かった。いきなり起き上がって目を開けたことで、また頭がくらっとしたから。
「おお、すまんすまん。」
マスターの大きな体が俺を支えて、もたれさせてくれる。
「この腕輪はどうした?」
「もらった。」
「セイマという男にか?」
俺はマスターの腕の中で身を強張らせる。セナが思わず口を滑らせた。
「父さんのこと、知ってるの?」
「父さん?セイマの息子?もしかして、サラの?」
この男は、セイマ父さんだけでなく、サラ母さんのことまで知っているのか。
「ああ、そうか。あの二人の子どもなら、こんな光の魔力量になっちまうこともあるよな……。俺は昔、セイマとサラと他にもう一人と四人で冒険者パーティを組んで魔物退治をしていたんだ。」
マールクはため息を吐きながら口を開く。
「これを……。」
「ん?」
「この話を俺たちは聞いても良かったのか?」
「……冒険者登録をしてくれた治癒士くらいは、守りてえ。うちに所属した光の魔力持ちには伝えるようにしている。ああ、王家云々はいつもは言わねえな、すまん、口が滑った。」
「いや、俺が聞いたから、だろ?」
「ああ、いや。現役の騎士さまが冒険者登録ってのも珍しい。お咎めはねえのか?」
「業務の一環ってことで、大丈夫だと思う。」
「業務?」
「ああ、神託の聖者を見張るのが、俺とガウナーの仕事だ。」
「神託の聖者……!そう、だったな。」
マスターの声は、俺の頭に大きく響いた。ううっと目を瞑ると、ガウナーが優しく頭を撫でてくれる。
おおっ。大きな手で頭を撫でられるの初めてだ。気持ちいい。
「静かに。」
ガウナーの声に、話していた二人は、はっとしたようだった。真剣に二人の話を聞いていたセナが、俺の頬に手を置いて撫でる。その小さな手で撫でられるのも、いつも大好きなんだ。
「王家はそんなのをよく自由に……、ああ、監視。そうか、監視は付いてるのか。」
マスターのあまりの動揺に、マールクが少し笑ったようだった。
「セナが、宰相や第二王子に魔法なんて使えないって言ったし、勇者の従者だからってんで、セナを無茶な使い方はできないんだろう。」
「……セナは、使えるのに使えないと言ったのか?」
セナは答えない。
「治癒魔法の危険性を知ってたってことか。まだ鑑定の儀を受けたばかりなんだろう?一体どうやって知ることができたんだ?」
俺もセナも口を開かなかったらあきらめてくれるかと思ったが、マスターはベッドに近づいてきた。
「これは?」
急に腕を持ち上げられて、びくりっと起き上がる。目を開けてれば良かった。いきなり起き上がって目を開けたことで、また頭がくらっとしたから。
「おお、すまんすまん。」
マスターの大きな体が俺を支えて、もたれさせてくれる。
「この腕輪はどうした?」
「もらった。」
「セイマという男にか?」
俺はマスターの腕の中で身を強張らせる。セナが思わず口を滑らせた。
「父さんのこと、知ってるの?」
「父さん?セイマの息子?もしかして、サラの?」
この男は、セイマ父さんだけでなく、サラ母さんのことまで知っているのか。
「ああ、そうか。あの二人の子どもなら、こんな光の魔力量になっちまうこともあるよな……。俺は昔、セイマとサラと他にもう一人と四人で冒険者パーティを組んで魔物退治をしていたんだ。」
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