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拾八 二人の毎日
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「今日、納品の帰りに作ちゃんの店へ寄ったのだけど」
夕食を食べながらおみつにそう言われて、作次は青くなって項垂れた。
よりによって、今日。
「何だかたくさんの人出だったから、そのまま帰って来たよ。作ちゃん、人気なんだねえ」
「遊斎さんの絵の所為で、騒ぎになっちまって……。おみっちゃんが嫌なら、絵を売るのはやめるよ?」
「え?せっかく良く売れてるのに勿体無いよ。お金は稼げるときに稼いでおかないと、いつ人気が無くなるか分からないんだからね」
「今だけだよ。物珍しいんだ。……その、おいらが女の人に囲まれてたら、その、おみっちゃんは……」
「え?」
「いや、何でもねえ」
「そう?」
「今日は、何時もより酷かったんだ。よく分からないことを言う娘っこがいてさ」
「親分さんが治めてくれてたから、お礼を言っといたよ。お世話になりました、って」
「え?」
「え?だって、作ちゃんが世話になったでしょ」
「ああ、うん……」
作次はにやにやと笑った。
「え?なに?」
「いや、何でもない」
まるで、女房が旦那の不始末を謝ってくれてるみたいだと思って嬉しくなったなんて、恥ずかしくて言えやしない。
「おいらはさ、おみっちゃんとずっとこうしていたいんだ」
「ああ、うん」
当たり前のようにおみつが返事をするから、自分ばっかり惚れているのかと不安にもなるけれど。
これを当たり前と思ってくれていることが嬉しくもあり、やっぱり作次は今日も機嫌良く夕食を食べて、二人で片付けをして、くっついて寝た。
そうして小さな二人は、周りの大人に見守られながら、毎日仲良く暮らしていた。
夕食を食べながらおみつにそう言われて、作次は青くなって項垂れた。
よりによって、今日。
「何だかたくさんの人出だったから、そのまま帰って来たよ。作ちゃん、人気なんだねえ」
「遊斎さんの絵の所為で、騒ぎになっちまって……。おみっちゃんが嫌なら、絵を売るのはやめるよ?」
「え?せっかく良く売れてるのに勿体無いよ。お金は稼げるときに稼いでおかないと、いつ人気が無くなるか分からないんだからね」
「今だけだよ。物珍しいんだ。……その、おいらが女の人に囲まれてたら、その、おみっちゃんは……」
「え?」
「いや、何でもねえ」
「そう?」
「今日は、何時もより酷かったんだ。よく分からないことを言う娘っこがいてさ」
「親分さんが治めてくれてたから、お礼を言っといたよ。お世話になりました、って」
「え?」
「え?だって、作ちゃんが世話になったでしょ」
「ああ、うん……」
作次はにやにやと笑った。
「え?なに?」
「いや、何でもない」
まるで、女房が旦那の不始末を謝ってくれてるみたいだと思って嬉しくなったなんて、恥ずかしくて言えやしない。
「おいらはさ、おみっちゃんとずっとこうしていたいんだ」
「ああ、うん」
当たり前のようにおみつが返事をするから、自分ばっかり惚れているのかと不安にもなるけれど。
これを当たり前と思ってくれていることが嬉しくもあり、やっぱり作次は今日も機嫌良く夕食を食べて、二人で片付けをして、くっついて寝た。
そうして小さな二人は、周りの大人に見守られながら、毎日仲良く暮らしていた。
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