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刃の章
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「うちの客人だ。返して貰う。」
あまりに冷静な物言いに、何の策があるのかと警戒する。あきらかに、戦力はこちらが上である。戦闘員がこちらは三人、あちらは一人に見える。何故、側仕えを連れてきたのか、せめて護衛を二人にすれば良かったのでは?何か意味があるのなら、それは何だ?
「みこは、俺に助けを求めた。」
「そやつの意思など、どうでも良い。皇子であろうと無かろうと、それもどうでも良い。呪を解くための贄なのだから。」
「みこは、意思のある人間だ。」
会話を交わしながら、違和感を覚える。玻璃皇子とは、こんな人物だったのだろうか。随分、伝え聞く話の人物像と違う。
「いい加減にしろ、玻璃!」
「快璃、お前だって呪が解けなければ困るだろう?子が、男子が生まれないのだから。」
「困らない。」
「は。綺麗事を。皇家の血筋が途絶えるのだぞ。」
「俺にはもう、関係ない!だいたい呪は、何故かかった……?」
「私が、それをもう二度と見たくないと言ったから、だったかな。」
みこを見ながら、言う。ぞっと冷や汗が流れた。それだけで?それだけで、呪をかけられるのか?
「まあ、しかし、それが子を成せば良いのだそうだ。たったのそれだけで、呪は解ける。どんどんと女に子種を仕込ませれば良い。呪が解けたその後で、私は愛しい人と子作りをしよう。」
「妻女と睦まじいようで何より。」
「何を言っている?私の愛しい人は、透子姫たった一人。」
しん、と場が静まり返った。
今、なんと?
「……残念だったな。透子は俺の妻だ。お前と結ばれることは決してない。」
「問題ない。やり直そう。私が愛しい人と生きられるまで、何度も何度も。」
やり直そう?
何度も?
この男が。
この奇妙な現象の全ての元凶!
「貴方は本当に素晴らしい術士ですよ。私が、発動できなかった時戻しの術式も、異界への扉すら開けてしまうのですから。けれどね。」
術士の芝居がかった声が響く。
「もう、無理ですよ。」
あまりに冷静な物言いに、何の策があるのかと警戒する。あきらかに、戦力はこちらが上である。戦闘員がこちらは三人、あちらは一人に見える。何故、側仕えを連れてきたのか、せめて護衛を二人にすれば良かったのでは?何か意味があるのなら、それは何だ?
「みこは、俺に助けを求めた。」
「そやつの意思など、どうでも良い。皇子であろうと無かろうと、それもどうでも良い。呪を解くための贄なのだから。」
「みこは、意思のある人間だ。」
会話を交わしながら、違和感を覚える。玻璃皇子とは、こんな人物だったのだろうか。随分、伝え聞く話の人物像と違う。
「いい加減にしろ、玻璃!」
「快璃、お前だって呪が解けなければ困るだろう?子が、男子が生まれないのだから。」
「困らない。」
「は。綺麗事を。皇家の血筋が途絶えるのだぞ。」
「俺にはもう、関係ない!だいたい呪は、何故かかった……?」
「私が、それをもう二度と見たくないと言ったから、だったかな。」
みこを見ながら、言う。ぞっと冷や汗が流れた。それだけで?それだけで、呪をかけられるのか?
「まあ、しかし、それが子を成せば良いのだそうだ。たったのそれだけで、呪は解ける。どんどんと女に子種を仕込ませれば良い。呪が解けたその後で、私は愛しい人と子作りをしよう。」
「妻女と睦まじいようで何より。」
「何を言っている?私の愛しい人は、透子姫たった一人。」
しん、と場が静まり返った。
今、なんと?
「……残念だったな。透子は俺の妻だ。お前と結ばれることは決してない。」
「問題ない。やり直そう。私が愛しい人と生きられるまで、何度も何度も。」
やり直そう?
何度も?
この男が。
この奇妙な現象の全ての元凶!
「貴方は本当に素晴らしい術士ですよ。私が、発動できなかった時戻しの術式も、異界への扉すら開けてしまうのですから。けれどね。」
術士の芝居がかった声が響く。
「もう、無理ですよ。」
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