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真鶴の章
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何とか、主たちは教室へ移動したようだった。あの後、小さな透子姫には快璃皇子が付き添い、また押されないように守りながら移動していた。玻璃皇子とも挨拶を交わしたようであったが、どうしても玻璃皇子へ近付きたい者が多く、危ないので離れて移動した様子である。
教室へ入った後は、教師と学校の護衛、世話役に主たちを預け、側仕えと護衛だけで待機部屋へと集まった。若君や姫君一人に付き、二人ついていることが多いので、なかなかの人数である。待機部屋は幾つもあり、狭い造りになって寛げるようになっている所が多いが、今回のような顔見せや、話し合いのための広い部屋も準備されていた。
玻璃皇子の筆頭側仕えとして、私から声を上げる。
「この度は、ご入学おめでとうございます。玻璃皇子の側仕え真鶴と申します。これから五年間、主共々よろしくお願い致します。何か困り事がございましたら、必ず私か、こちらの。」
そう言って、私は隣を見た。
「快璃皇子の側仕え白露でございます。」
阿吽の呼吸で挨拶をした弟から視線を他の者へ戻す。
「こちらの白露へお知らせくださいませ。」
私たちが揃って頭を下げると、次に玻璃皇子の筆頭護衛の隔と快璃皇子の筆頭護衛の猟が自己紹介をして頭を下げた。琉の国、耶麻の国と続いていく。耶麻の国の側仕え、土岐を見て安堵の息を吐く。生きている。白露も土岐も快璃皇子も。生きてここにいる。玻璃皇子の罪は、無くなった。あの悪夢は、夢でしか無いのだ。私たちは、この人生をしっかりと生きていこう。
しかし、明の国には護衛の啄木鳥しかいなかった。髪を無造作に結んで、何となくくたびれた様子の、目付きの鋭い少女。……鞠。彼女がいない。透子姫と啄木鳥を整えていた小柄な側仕え。
私は、頭を抱えたくなるのを必死に堪えた。
それは、玻璃皇子の罪の証。
教室へ入った後は、教師と学校の護衛、世話役に主たちを預け、側仕えと護衛だけで待機部屋へと集まった。若君や姫君一人に付き、二人ついていることが多いので、なかなかの人数である。待機部屋は幾つもあり、狭い造りになって寛げるようになっている所が多いが、今回のような顔見せや、話し合いのための広い部屋も準備されていた。
玻璃皇子の筆頭側仕えとして、私から声を上げる。
「この度は、ご入学おめでとうございます。玻璃皇子の側仕え真鶴と申します。これから五年間、主共々よろしくお願い致します。何か困り事がございましたら、必ず私か、こちらの。」
そう言って、私は隣を見た。
「快璃皇子の側仕え白露でございます。」
阿吽の呼吸で挨拶をした弟から視線を他の者へ戻す。
「こちらの白露へお知らせくださいませ。」
私たちが揃って頭を下げると、次に玻璃皇子の筆頭護衛の隔と快璃皇子の筆頭護衛の猟が自己紹介をして頭を下げた。琉の国、耶麻の国と続いていく。耶麻の国の側仕え、土岐を見て安堵の息を吐く。生きている。白露も土岐も快璃皇子も。生きてここにいる。玻璃皇子の罪は、無くなった。あの悪夢は、夢でしか無いのだ。私たちは、この人生をしっかりと生きていこう。
しかし、明の国には護衛の啄木鳥しかいなかった。髪を無造作に結んで、何となくくたびれた様子の、目付きの鋭い少女。……鞠。彼女がいない。透子姫と啄木鳥を整えていた小柄な側仕え。
私は、頭を抱えたくなるのを必死に堪えた。
それは、玻璃皇子の罪の証。
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