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快璃の章

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透子とうこは何故、戦場に?女は軍属できまい?」
「あなたの身が危ないと聞いて、駆けつけました。」
「駆けつけられるものなのか?」

 透子とうこは首を傾げて、頭を振った。覚えていないのか、説明するつもりがないのかは分からなかった。

「結局、あなたを守れませんでしたが、最後に共に居られて、幸せでした。」
「なら、俺も幸せだったんだろうな。」

 くす、と笑い合っていると、呆れたような顔で華子はなこが見ている。

「死んでは、元も子もありません。それは悪夢です。」
「ふむ、確かに。俺達は今、生きているのだから、そのような夢を語ってはいけないな。」

 はあー、と大きな溜め息が聞こえた。深剣みつるぎが頭を抱えている。

「何にも分からねえ。」
「すまない。おかしな話をしたな。」
「とりあえず、現在の話をしましょう。」

 華子はなこの言葉に、

「そうしてくれると、助かる。」

 と深剣みつるぎが答えた。

「後出しでも構わないから、婚約の話を父上に提言しよう。たぶん、話は簡単に進むと思う。前回は、玻璃はりに気付かれないうちにと話を進めたが、今回はしっかりと話し合う。後出しとはいえ、こちらが有利なことは変わらない。」
「そうですね。求婚の儀もすんでおりますし、問題はありません。」

 華子はなこが頷いて、方針は決まった。過ぎたことを考えても仕方がない。

「俺にできることは、あるか?」

 深剣みつるぎが真剣な顔でこちらを見てくる。その言葉だけで、十分ありがたかった。

「今のまま、友人でいてもらえたら、ありがたい。それが一番だ。」
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