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快璃の章
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学生生活が始まった。自分の頭の中では四学年なのだが、一学年からやらねばならぬらしい。
面倒なことだ、と思いながら、友人もでき、透子とも仲良くなった。
前回は確か、兄上に頼み込まれて頻繁に入れ替わっていた。俺たちは本当にそっくりなので、小さい頃に悪戯したときにも、側仕えも父も母も見抜けなかったくらいだ。知り合ったばかりの学友たちに分かるわけがない、と思っていたのだが、透子は一度も間違えなかった。緑の髪紐が俺、青の髪紐が兄上と決まっていて、皆、それを見て名前を呼ぶのだが、そんなものを見てはいない小さな透子は、入れ替わっているのに気付かずに名前を呼んでは、申し訳なさそうに謝っていた。
透子にも友人にも申し訳なくて、もうやりたくない、と何度言ってもやめてくれず、髪の毛をばっさりと切り落としてやったのだったな。
今回は言ってこないな、と思っていると父から呼び出された。
宿舎で生活しているが、王城はすぐ近くである。学校終わりに気軽に行ってみた。
「俺だけですか?」
執務室を訪ねると、父と二人きりであったので驚いてしまった。
「確認したいことがあってな。」
「はい。」
「玻璃が婚約したいと言い出した。」
「は?」
「入学式で出会った姫君に一目惚れしたという。明の国の透子姫だそうだ。」
「はああ?」
「だが、帝になる者が属国の姫と婚姻を結ぶことはしないことになっている。どこかの国と特別懇意になることを避けるためだ。我が国の高位貴族から選ばねばならぬからできぬ、と言ったら、彼女を我が国の貴族の養女にするか、帝を快璃に譲るかすると言いよった。」
俺は絶句するしかない。
「そんなに仲良くしておるのかと調べさせてみれば、お前の方が仲が良いようだと報告が来た。姫も玻璃には臣下として接するが、お前には気安い様子だと。如何に?」
「は。良い友人です。とても気が合います。皆より年下でありながら、頑張っている様子を好ましく思っております。」
「ふむ、やはり。姫はお前たちの見分けがつくとか?」
「はい、髪紐を見ずとも間違えたことは一度たりとてありません。」
父は深くため息をついた。
面倒なことだ、と思いながら、友人もでき、透子とも仲良くなった。
前回は確か、兄上に頼み込まれて頻繁に入れ替わっていた。俺たちは本当にそっくりなので、小さい頃に悪戯したときにも、側仕えも父も母も見抜けなかったくらいだ。知り合ったばかりの学友たちに分かるわけがない、と思っていたのだが、透子は一度も間違えなかった。緑の髪紐が俺、青の髪紐が兄上と決まっていて、皆、それを見て名前を呼ぶのだが、そんなものを見てはいない小さな透子は、入れ替わっているのに気付かずに名前を呼んでは、申し訳なさそうに謝っていた。
透子にも友人にも申し訳なくて、もうやりたくない、と何度言ってもやめてくれず、髪の毛をばっさりと切り落としてやったのだったな。
今回は言ってこないな、と思っていると父から呼び出された。
宿舎で生活しているが、王城はすぐ近くである。学校終わりに気軽に行ってみた。
「俺だけですか?」
執務室を訪ねると、父と二人きりであったので驚いてしまった。
「確認したいことがあってな。」
「はい。」
「玻璃が婚約したいと言い出した。」
「は?」
「入学式で出会った姫君に一目惚れしたという。明の国の透子姫だそうだ。」
「はああ?」
「だが、帝になる者が属国の姫と婚姻を結ぶことはしないことになっている。どこかの国と特別懇意になることを避けるためだ。我が国の高位貴族から選ばねばならぬからできぬ、と言ったら、彼女を我が国の貴族の養女にするか、帝を快璃に譲るかすると言いよった。」
俺は絶句するしかない。
「そんなに仲良くしておるのかと調べさせてみれば、お前の方が仲が良いようだと報告が来た。姫も玻璃には臣下として接するが、お前には気安い様子だと。如何に?」
「は。良い友人です。とても気が合います。皆より年下でありながら、頑張っている様子を好ましく思っております。」
「ふむ、やはり。姫はお前たちの見分けがつくとか?」
「はい、髪紐を見ずとも間違えたことは一度たりとてありません。」
父は深くため息をついた。
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