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透子の章
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四学年になった頃、姉上が言った。
「快璃皇子と透子は婚約してしまったらどうかしら?」
私としては、ものすごーく嬉しい。婚約していたら、公然と仲良くし放題である。まわりを気にすることなく、快璃と一緒にいられる。
その提案が嬉しくて姉上にそう言ったら、あれでまわりを気にしていたの?やっぱり婚約はもう少し後の方がいいかしら、と言われてしまった。とても気にしていたつもりだったのだが。
しかし、相手は皇子だ。そう簡単にいくものだろうか。
そう思って快璃に聞いてみたら、その日の授業終わりに城へ走り、帝の許可をもらって帰ってきた。は、早い!
「父から、すぐに明の国へ婚約申し込みの手紙を出してくれるそうだ。」
朗らかに快璃は言って、順番が逆になったけど、と緑の髪紐を私の髪の赤い髪紐の上に重ねて付ける。
「俺と結婚してください、透子姫。」
「はい、喜んで。」
胸がいっぱいになって、嬉しすぎて泣きそうだった。ああ、何故かは分からないけれど、生き直せて良かった。前回は、婚約していなかったし、求婚されてもいない。
私の優秀な側仕えの鞠がそっと近付いてきて、私の手に赤い髪紐を渡してくれた。
屈んでくれた快璃の短い髪を一束つかみ、赤い髪紐を付ける。この人は、私のもの。これは、なんて素敵な儀式なのだろう。
そのまま抱きしめてくれた快璃に私も抱きつきながら、本当に幸せだった。
「快璃皇子と透子は婚約してしまったらどうかしら?」
私としては、ものすごーく嬉しい。婚約していたら、公然と仲良くし放題である。まわりを気にすることなく、快璃と一緒にいられる。
その提案が嬉しくて姉上にそう言ったら、あれでまわりを気にしていたの?やっぱり婚約はもう少し後の方がいいかしら、と言われてしまった。とても気にしていたつもりだったのだが。
しかし、相手は皇子だ。そう簡単にいくものだろうか。
そう思って快璃に聞いてみたら、その日の授業終わりに城へ走り、帝の許可をもらって帰ってきた。は、早い!
「父から、すぐに明の国へ婚約申し込みの手紙を出してくれるそうだ。」
朗らかに快璃は言って、順番が逆になったけど、と緑の髪紐を私の髪の赤い髪紐の上に重ねて付ける。
「俺と結婚してください、透子姫。」
「はい、喜んで。」
胸がいっぱいになって、嬉しすぎて泣きそうだった。ああ、何故かは分からないけれど、生き直せて良かった。前回は、婚約していなかったし、求婚されてもいない。
私の優秀な側仕えの鞠がそっと近付いてきて、私の手に赤い髪紐を渡してくれた。
屈んでくれた快璃の短い髪を一束つかみ、赤い髪紐を付ける。この人は、私のもの。これは、なんて素敵な儀式なのだろう。
そのまま抱きしめてくれた快璃に私も抱きつきながら、本当に幸せだった。
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