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第十章 されど幸せな日々
57 体の中までぽかぽか 成人
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「安さーん。フルーツ牛乳くーださい」
「は、はいぃっ! あ、上がられましたか? なる、あ、いや、緋色殿下、成人殿下」
「上がったー」
声をかけたら、番台から大きな声で返事が来た。
たくさん待たせてごめんね。番台にちゃんといてくれて嬉しい。
「はい。では行きますよ」
「着替え終わった。のど、渇いたー」
今の俺は、たくさん飲めそう。
「来てくーださい」
ふふ、と笑いながら、安さんは脱衣所に顔を出した。緋色と俺にぺこりと頭を下げる。下はちゃんとズボンを履いているけど上は半袖のシャツ一枚しか着ていない姿の緋色が扇風機の風に当たりながら、いい湯だった、と言った。安さんは、それはようございました、とまた頭を下げてから脱衣所に入ってきた。
緋色は、暑がりなのに熱いお湯に入るのが好きだから、お風呂から上がった後は割とずっと上は裸だ。あ、俺と入る時は、緋色には温いお湯になっちゃうんだけど。つまり、大体毎日温いお湯なんだけど。
もちろん、裸でのんびり過ごすのは自分のお部屋でだけなんだけど、お風呂から上がってお部屋に行く時にも着ていなかったりする。乙羽に見つかると怒られる。緋色はいつも、家なんだからいいだろ、って言う。
今日は、俺もまだ長袖のシャツ一枚。いつもよりたくさん入ったから、いつまでも体がほこほこと温かい。いつもは、早く上を着ろよって言う緋色が、まだ何も言ってこない。俺が、ほこほこに温かいことを知ってるもんね。こんなに体の中まで温まったの、初めてかもしれない。芯から温まるってこういう事なんだなあ。
本当に本当に気持ち良かった。
「長風呂でしたね。聞いとった話と違いました」
脱衣所に入ってきた安さんは、中が見える冷蔵庫から、白っぽいオレンジ色のジュースの入った瓶を一本取り出しながら言った。
「ん? なに?」
俺は、財布からお金を取り出して安さんに渡す。緋色もいる? いらない? さっき水が出る機械から水を飲んでいたからいっか。俺も、とりあえず水分を取れ、って一口飲まされた。足元のペダルを踏んだら水が飛び出してきて、そこに口をつけて飲むのが楽しかった。たくさん飲みそうになって、慌てて一口にした。俺には他に飲みたいものがあったので。
「成人殿下は熱い湯が苦手やから、きっと、すぐに呼ばれますよって、外で見張りしとって方が仰っとったもんやから」
「あは」
いつもはね。いつもは、あんまりたくさんは入っていられないんだけど。ここの浅いお風呂は最高だった。
「俺、ここのお風呂すごく好き。また来ていい?」
「もちろんです。いつでも来てください」
ごっくごく飲めたフルーツ牛乳は、半分のところで緋色に止められて口を離した。
「ぷはっ」
おいしいー!
「あっま」
言うと思ったよ。
緋色はたくさん飲めないから返ってくると思ったフルーツ牛乳は、安さんに渡された。
「ええー?」
「夜ご飯、たくさん食べる約束だぞ」
「はーい……」
安さんは、緋色に渡されたフルーツ牛乳を持ってぽけっとしていたけれど、やる、飲め、と緋色に言われて、慌ててぐいっと飲んだ。
「あ、ありがとうございます。なんか久しぶりに飲みました。やっぱり美味しいな」
こんなにたくさんあるのに、飲むの久しぶりなんだ? 安さん、お風呂入ってないけど、美味しかったなら良かった。
また次に来た時も、飲みきれなかったら安さんに飲んでもらうことにしようかな。
「は、はいぃっ! あ、上がられましたか? なる、あ、いや、緋色殿下、成人殿下」
「上がったー」
声をかけたら、番台から大きな声で返事が来た。
たくさん待たせてごめんね。番台にちゃんといてくれて嬉しい。
「はい。では行きますよ」
「着替え終わった。のど、渇いたー」
今の俺は、たくさん飲めそう。
「来てくーださい」
ふふ、と笑いながら、安さんは脱衣所に顔を出した。緋色と俺にぺこりと頭を下げる。下はちゃんとズボンを履いているけど上は半袖のシャツ一枚しか着ていない姿の緋色が扇風機の風に当たりながら、いい湯だった、と言った。安さんは、それはようございました、とまた頭を下げてから脱衣所に入ってきた。
緋色は、暑がりなのに熱いお湯に入るのが好きだから、お風呂から上がった後は割とずっと上は裸だ。あ、俺と入る時は、緋色には温いお湯になっちゃうんだけど。つまり、大体毎日温いお湯なんだけど。
もちろん、裸でのんびり過ごすのは自分のお部屋でだけなんだけど、お風呂から上がってお部屋に行く時にも着ていなかったりする。乙羽に見つかると怒られる。緋色はいつも、家なんだからいいだろ、って言う。
今日は、俺もまだ長袖のシャツ一枚。いつもよりたくさん入ったから、いつまでも体がほこほこと温かい。いつもは、早く上を着ろよって言う緋色が、まだ何も言ってこない。俺が、ほこほこに温かいことを知ってるもんね。こんなに体の中まで温まったの、初めてかもしれない。芯から温まるってこういう事なんだなあ。
本当に本当に気持ち良かった。
「長風呂でしたね。聞いとった話と違いました」
脱衣所に入ってきた安さんは、中が見える冷蔵庫から、白っぽいオレンジ色のジュースの入った瓶を一本取り出しながら言った。
「ん? なに?」
俺は、財布からお金を取り出して安さんに渡す。緋色もいる? いらない? さっき水が出る機械から水を飲んでいたからいっか。俺も、とりあえず水分を取れ、って一口飲まされた。足元のペダルを踏んだら水が飛び出してきて、そこに口をつけて飲むのが楽しかった。たくさん飲みそうになって、慌てて一口にした。俺には他に飲みたいものがあったので。
「成人殿下は熱い湯が苦手やから、きっと、すぐに呼ばれますよって、外で見張りしとって方が仰っとったもんやから」
「あは」
いつもはね。いつもは、あんまりたくさんは入っていられないんだけど。ここの浅いお風呂は最高だった。
「俺、ここのお風呂すごく好き。また来ていい?」
「もちろんです。いつでも来てください」
ごっくごく飲めたフルーツ牛乳は、半分のところで緋色に止められて口を離した。
「ぷはっ」
おいしいー!
「あっま」
言うと思ったよ。
緋色はたくさん飲めないから返ってくると思ったフルーツ牛乳は、安さんに渡された。
「ええー?」
「夜ご飯、たくさん食べる約束だぞ」
「はーい……」
安さんは、緋色に渡されたフルーツ牛乳を持ってぽけっとしていたけれど、やる、飲め、と緋色に言われて、慌ててぐいっと飲んだ。
「あ、ありがとうございます。なんか久しぶりに飲みました。やっぱり美味しいな」
こんなにたくさんあるのに、飲むの久しぶりなんだ? 安さん、お風呂入ってないけど、美味しかったなら良かった。
また次に来た時も、飲みきれなかったら安さんに飲んでもらうことにしようかな。
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