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第十章 されど幸せな日々
3 あかんもんはあかん 成人
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賄賂を受け付けていないって言われて、ほな、謁見の順番はどうやって決めるんやって詰め寄っていた人もいた。たまたま見たんだよね、お散歩中に。亀吉と末良が一緒だったから、すぐにその場を離れなきゃならなかったのが残念。その後のやり取りがどうなったのか、ちょっと聞きたかった。
でもさ。謁見の順番なんて、そんなの、登城して、じいじとじいやが城の中に入っていいよって言った順に決まってる。順番ってそういうことでしょ? 並んで、前から順番。
末良と公園に遊びに行った時に知った。たくさんの人が同じ遊具で遊びたい時は、並んで順番を待つんだ。早くやりたがって泣いても、駄目だよ、順番ってお母さんやお父さんたちが教えていた。子ども達も、順番だよって泣いている子に教えていた。皆、ちゃんと並んで順番を待ってから、すべり台をすべっていた。小さい時からそうやって教えてもらっているはずの事。
食べ物屋さんもそうだよね。人気の食べ物の屋台や店には行列ができている。食べたい人は皆、並んで順番を待つ。当たり前。
賄賂は、その当たり前の決まり事をお金や品物でひっくり返してしまう。お金がない人にはずっと順番が回ってこない。そんなの駄目だ。
駄目だと思うんだけど、結構な人が、入り口で何かを渡して来ようとしたらしい。真中は、ずっとそんな感じでやってたんやなあって、報告を受けた竹光が言った。根深い慣習を変えていかなあかんのは厄介やけど、あかんもんはあかんからな、根気強う否定していくしかないわなって。
賄賂は受け付けていないって立て札を立てて、文書も出して。うん。はっきりとこれは禁止って示して、罰を与えるって言ったら、やっと静かになったらしい。お疲れ様。
その後も、身分とかを持ち出して順番を変えようとする人が出たりしたけど、わしの決めた順番を覆そうとするとはいい度胸だ、ってじいじが言ったら静かになった。じいじより身分が高い人なんて、この国では領主くらい。あちらが身分を出すなら同じ土俵で戦ってやるわいって笑ったじいじは、やっぱり最強だった。格好良い。
水瀬が来たら、住むための屋敷もあっという間に整った。もう、本当にあっという間。俺たちが西中国にいるあいだ暮らす屋敷と、鶴丸たちがずっと暮らす屋敷。隣り合わせの二軒をあっという間に片付けて、新しい布団を調達してきてくれた。
元真中と一緒に捕らえた人たちの屋敷がいくつも空いたから、その中から暮らしやすそうな屋敷を選んでくれたらしい。
家の主が捕まって髪を切られた、もうこの屋敷に戻ってくることはないって、水瀬が城の兵士の制服を着た人と共に行って告げたら、使用人たちは割とすぐに屋敷から逃げていったらしい。金目のものを少々持ち出して行くことには目をつむりました。退職金代わり、という事で、って水瀬は言った。おいたが過ぎる者には、少し灸を据えましたが、だって。ええっと、まあ、目をつむってもらえなかった人もいたんだろう、きっと。
捕まった人の家族は、離縁したいと仰る方が多かったのでそのように手続きを致しました、だって。離縁って、結婚をやめることらしい。捕まった伴侶を助けようとするんじゃなくて伴侶をやめるのか、ってちょっとびっくりした。俺なら、全力で緋色を助けに行くけどな。一番好きな大事な人が捕まっていたら、心配で飛んでいくけど。
ん? 伴侶が悪いことして捕まったから、自分にまで罪が及んで捕まらないように逃げる? ふーん、そういうものなのか。
ふーん?
とりあえず、そんな訳で屋敷はすぐに空いた。ま、良かった。
でもさ。謁見の順番なんて、そんなの、登城して、じいじとじいやが城の中に入っていいよって言った順に決まってる。順番ってそういうことでしょ? 並んで、前から順番。
末良と公園に遊びに行った時に知った。たくさんの人が同じ遊具で遊びたい時は、並んで順番を待つんだ。早くやりたがって泣いても、駄目だよ、順番ってお母さんやお父さんたちが教えていた。子ども達も、順番だよって泣いている子に教えていた。皆、ちゃんと並んで順番を待ってから、すべり台をすべっていた。小さい時からそうやって教えてもらっているはずの事。
食べ物屋さんもそうだよね。人気の食べ物の屋台や店には行列ができている。食べたい人は皆、並んで順番を待つ。当たり前。
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駄目だと思うんだけど、結構な人が、入り口で何かを渡して来ようとしたらしい。真中は、ずっとそんな感じでやってたんやなあって、報告を受けた竹光が言った。根深い慣習を変えていかなあかんのは厄介やけど、あかんもんはあかんからな、根気強う否定していくしかないわなって。
賄賂は受け付けていないって立て札を立てて、文書も出して。うん。はっきりとこれは禁止って示して、罰を与えるって言ったら、やっと静かになったらしい。お疲れ様。
その後も、身分とかを持ち出して順番を変えようとする人が出たりしたけど、わしの決めた順番を覆そうとするとはいい度胸だ、ってじいじが言ったら静かになった。じいじより身分が高い人なんて、この国では領主くらい。あちらが身分を出すなら同じ土俵で戦ってやるわいって笑ったじいじは、やっぱり最強だった。格好良い。
水瀬が来たら、住むための屋敷もあっという間に整った。もう、本当にあっという間。俺たちが西中国にいるあいだ暮らす屋敷と、鶴丸たちがずっと暮らす屋敷。隣り合わせの二軒をあっという間に片付けて、新しい布団を調達してきてくれた。
元真中と一緒に捕らえた人たちの屋敷がいくつも空いたから、その中から暮らしやすそうな屋敷を選んでくれたらしい。
家の主が捕まって髪を切られた、もうこの屋敷に戻ってくることはないって、水瀬が城の兵士の制服を着た人と共に行って告げたら、使用人たちは割とすぐに屋敷から逃げていったらしい。金目のものを少々持ち出して行くことには目をつむりました。退職金代わり、という事で、って水瀬は言った。おいたが過ぎる者には、少し灸を据えましたが、だって。ええっと、まあ、目をつむってもらえなかった人もいたんだろう、きっと。
捕まった人の家族は、離縁したいと仰る方が多かったのでそのように手続きを致しました、だって。離縁って、結婚をやめることらしい。捕まった伴侶を助けようとするんじゃなくて伴侶をやめるのか、ってちょっとびっくりした。俺なら、全力で緋色を助けに行くけどな。一番好きな大事な人が捕まっていたら、心配で飛んでいくけど。
ん? 伴侶が悪いことして捕まったから、自分にまで罪が及んで捕まらないように逃げる? ふーん、そういうものなのか。
ふーん?
とりあえず、そんな訳で屋敷はすぐに空いた。ま、良かった。
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