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第九章 礼儀を知る人知らない人
91 髪の毛がどんなでも 成人
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だいぶ歩いた。お城は広い。疲れてる時だと移動が大変だ。俺は今は疲れてないから大丈夫だけど。亀吉みたいに小さかったら、元気でも、なかなか行きたいところにたどり着けないよ。トイレに間に合わなかったら嫌だなあ。それは困る。住む場所は、そんなに大きくない方がいい。俺のうちも亀吉のうちも、ちょっと大きめだけど、でも、自分の行きたい場所にはすぐに行けるくらいの大きさだ。一緒にいたい家族が皆一緒にいられて、自由に歩き回れるくらいのおうちで良かった。俺は、俺のおうちが好きだなあ。
大広間に入ると、中にいた人が立ち上がって包拳礼をした。頭を下げる前に見えた姿にびっくりした。
「壱鷹! 髪の毛! 弐角も?」
前に話した時に、髪の毛を切ろうと思うって壱鷹は言ってたけど、でも本当に切った姿を見たらびっくりした。大事にしていた髪の毛が、肩の上あたりでぷっつり切れていた。いつも綺麗に結い上げていたから、横の毛を少しずつ持ち上げて頭のてっぺんで止めただけの今の髪型の方が、前から見たら髪の毛がたくさん見えているんだけど、でも、それだけしかない。うわあ。何か不思議。うん。不思議だ。
弐角は、髪の毛を後ろできゅっと一つくくりにしていて、前から見た見た目は長かった時とそんなに変わらなかった。半助と同じくらいの長さだ。短すぎるとくくれなくて逆に邪魔だと半助が言っていたから、このくらいの長さがちょうどいいのかも。よく見ると、弐角の後ろにいる護衛の才蔵も、弐角と同じくらいの髪の毛の長さで一つくくりにしていた。
力丸の口から、おぉって小さな息が漏れる。護衛中でなかったら才蔵に駆け寄ってたよね、きっと。仲良しの人が知らないうちに変わってたら、びっくりするのは当たり前だ。
橙々は、髪を結わずに下ろしている。女の人の正装の時は、綺麗な髪の人は、結わないで見せるのも良いんだって誰かが言っていた。橙々、今日はそのままにしたんだな。似合う。男の人用の服を着てた時より格好良いよ。
松吉は、動きにくいのは好きじゃないって言って、いつもしっかり結い上げているけれど、下ろしても綺麗だろうな。ちょっと見てみたい。
あ。
よく見ると橙々も前より髪の毛が短くなっている。橙々の後ろに控えている侍女の方が、橙々より髪の毛が長い。きっと橙々も少し切ったんだな。それで、見せてくれるために下ろしてたのかもしれない。橙々も、動きにくいのは好きじゃないはずだから。
橙々の護衛と壱鷹の護衛は髪の毛をぎゅっと纏めてて長さがよく分からないけれど、ぎゅって纏めてるってことは長いままなのかもしれない。
「九鬼壱鷹、弐角、橙々が、緋色殿下と成人殿下にご挨拶申し上げます。髪の毛は少々切りました。頭が軽うなりました」
「久しいな。全員、頭を上げろ」
礼を解いた壱鷹たちを緋色はじっと見た。弐角の所で止まって、ちょっと笑った。
「大して変わらん」
「ええ? 殿下ひどい。俺が、どんだけ覚悟決めて切ったと思ってるんですか」
「知らん」
緋色と弐角は今日も仲良し。
大広間に入ると、中にいた人が立ち上がって包拳礼をした。頭を下げる前に見えた姿にびっくりした。
「壱鷹! 髪の毛! 弐角も?」
前に話した時に、髪の毛を切ろうと思うって壱鷹は言ってたけど、でも本当に切った姿を見たらびっくりした。大事にしていた髪の毛が、肩の上あたりでぷっつり切れていた。いつも綺麗に結い上げていたから、横の毛を少しずつ持ち上げて頭のてっぺんで止めただけの今の髪型の方が、前から見たら髪の毛がたくさん見えているんだけど、でも、それだけしかない。うわあ。何か不思議。うん。不思議だ。
弐角は、髪の毛を後ろできゅっと一つくくりにしていて、前から見た見た目は長かった時とそんなに変わらなかった。半助と同じくらいの長さだ。短すぎるとくくれなくて逆に邪魔だと半助が言っていたから、このくらいの長さがちょうどいいのかも。よく見ると、弐角の後ろにいる護衛の才蔵も、弐角と同じくらいの髪の毛の長さで一つくくりにしていた。
力丸の口から、おぉって小さな息が漏れる。護衛中でなかったら才蔵に駆け寄ってたよね、きっと。仲良しの人が知らないうちに変わってたら、びっくりするのは当たり前だ。
橙々は、髪を結わずに下ろしている。女の人の正装の時は、綺麗な髪の人は、結わないで見せるのも良いんだって誰かが言っていた。橙々、今日はそのままにしたんだな。似合う。男の人用の服を着てた時より格好良いよ。
松吉は、動きにくいのは好きじゃないって言って、いつもしっかり結い上げているけれど、下ろしても綺麗だろうな。ちょっと見てみたい。
あ。
よく見ると橙々も前より髪の毛が短くなっている。橙々の後ろに控えている侍女の方が、橙々より髪の毛が長い。きっと橙々も少し切ったんだな。それで、見せてくれるために下ろしてたのかもしれない。橙々も、動きにくいのは好きじゃないはずだから。
橙々の護衛と壱鷹の護衛は髪の毛をぎゅっと纏めてて長さがよく分からないけれど、ぎゅって纏めてるってことは長いままなのかもしれない。
「九鬼壱鷹、弐角、橙々が、緋色殿下と成人殿下にご挨拶申し上げます。髪の毛は少々切りました。頭が軽うなりました」
「久しいな。全員、頭を上げろ」
礼を解いた壱鷹たちを緋色はじっと見た。弐角の所で止まって、ちょっと笑った。
「大して変わらん」
「ええ? 殿下ひどい。俺が、どんだけ覚悟決めて切ったと思ってるんですか」
「知らん」
緋色と弐角は今日も仲良し。
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