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第八章 郷に入っては郷に従え
134 もう少しこのままで 壱臣
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目が壊れたんかというくらい、涙は溢れて止まらんかった。どうしよう。どうしよう。嬉しい。嬉しい。
源さんが。
うちが、何気なく抱きついたりもたれかかったりしても、決して自分の手を出さんかった源さんが。少しだけ、やりたいようにやらせてくれて、けど絶対に体を離してから、どうした、臣と聞いてきた源さんが。
うちのこと、ぎゅって抱きしめてくれてる。源さんから抱きしめてくれた。源さんがうちのこと……。
さっきまでの、悲しい気持ちはどこかに吹き飛んで、今度は嬉しくて嬉しくて涙が止まらない。
俺も家族やと思っとるって、思っとったって言うてくれた。大事な大事な俺の臣やて。なんやそれ。なんやそれ。源さんらしない。全然源さんらしないよ。
そやのに、なんでやろ。
らしくないそんな言葉がうちの中に吸い込まれて、そうかあ、そうかあって喜んどるんよ。胸のな、胸のこの真ん中の辺りがな、ぽかぽか、ぽかぽかってしとる。
こんな嬉しいこと、あるんやなあ。こーんなに嬉しいこと、あるんやなあ!弐角やら父上やらに会えた時も、皆無事で良かったなとは思たけど、でも、それだけやった。これから先は、とかそんなん何にも無かったな。そんなん、思いつきもせんかった。父上と話すのは、今でもなんかちょっと緊張するし。
殿様やから緊張するんやないよ。だって緋色殿下にも成人くんにも緊張せんもん。偉い人やから緊張するとかそういうんやないと思う。知らんけど。
父上に何か聞かれて答えたりするんが精一杯で。答えたけどこれで合うとんかなとか、思ったりしてた。
弟の、弐角の結婚式のお祝いにも行けんかったんよ、うち。招待状をくれたのに。家族やっていうて、大事にしてくれとんのに。お城が怖い、着物が怖いてわがままばっかり言うてな。行けんかった。
うち、あかん子やな。我慢の足りん、あかん子になってしもたな
昔は、何でもぐっと飲み込めたのに。自分が我慢したらええようになるなら我慢しよって、思とったのに。何でかなあ。今、好きなことばっかりして生きとるからあかんのかな。甘やかされて、あかん子になってしもたなあ。
源さん。こんな子はあかんかな。うちがこんな子やって知ったら、もう大事な大事な臣って言うてくれんくなるかな。
心の中は色んな感情でいっぱいで、けど、涙はどうにも止まらんくて何にも言えん。
「臣。ごめん、ごめんな。もう泣き止んでくれ。俺が悪かったから。な?」
「ちがっ、源さん。これは、違う。ひくっ。ひっ。ちがっ」
「源さん。これは嬉しいの涙」
「え……?」
成人くん、ありがとう。そうなんよ。色々混じって混じって、けど、一番は嬉しいの気持ちや。嬉しくて嬉しくて涙を止められんくなっとる。やから、源さんが謝ることは何にも無いんよ。
「そ、そうなのか?」
少し体を離してうちの顔を見ようとする源さんに、離れてなるものかとしがみつく。
「こら、臣。顔が見えん」
「まだ」
「は?」
「まだ足りん」
「はあ?」
「抱っこが足りん」
「そ、そうか……」
ちょっと呆れた声がしたけど知るもんか。
源さんが。
うちが、何気なく抱きついたりもたれかかったりしても、決して自分の手を出さんかった源さんが。少しだけ、やりたいようにやらせてくれて、けど絶対に体を離してから、どうした、臣と聞いてきた源さんが。
うちのこと、ぎゅって抱きしめてくれてる。源さんから抱きしめてくれた。源さんがうちのこと……。
さっきまでの、悲しい気持ちはどこかに吹き飛んで、今度は嬉しくて嬉しくて涙が止まらない。
俺も家族やと思っとるって、思っとったって言うてくれた。大事な大事な俺の臣やて。なんやそれ。なんやそれ。源さんらしない。全然源さんらしないよ。
そやのに、なんでやろ。
らしくないそんな言葉がうちの中に吸い込まれて、そうかあ、そうかあって喜んどるんよ。胸のな、胸のこの真ん中の辺りがな、ぽかぽか、ぽかぽかってしとる。
こんな嬉しいこと、あるんやなあ。こーんなに嬉しいこと、あるんやなあ!弐角やら父上やらに会えた時も、皆無事で良かったなとは思たけど、でも、それだけやった。これから先は、とかそんなん何にも無かったな。そんなん、思いつきもせんかった。父上と話すのは、今でもなんかちょっと緊張するし。
殿様やから緊張するんやないよ。だって緋色殿下にも成人くんにも緊張せんもん。偉い人やから緊張するとかそういうんやないと思う。知らんけど。
父上に何か聞かれて答えたりするんが精一杯で。答えたけどこれで合うとんかなとか、思ったりしてた。
弟の、弐角の結婚式のお祝いにも行けんかったんよ、うち。招待状をくれたのに。家族やっていうて、大事にしてくれとんのに。お城が怖い、着物が怖いてわがままばっかり言うてな。行けんかった。
うち、あかん子やな。我慢の足りん、あかん子になってしもたな
昔は、何でもぐっと飲み込めたのに。自分が我慢したらええようになるなら我慢しよって、思とったのに。何でかなあ。今、好きなことばっかりして生きとるからあかんのかな。甘やかされて、あかん子になってしもたなあ。
源さん。こんな子はあかんかな。うちがこんな子やって知ったら、もう大事な大事な臣って言うてくれんくなるかな。
心の中は色んな感情でいっぱいで、けど、涙はどうにも止まらんくて何にも言えん。
「臣。ごめん、ごめんな。もう泣き止んでくれ。俺が悪かったから。な?」
「ちがっ、源さん。これは、違う。ひくっ。ひっ。ちがっ」
「源さん。これは嬉しいの涙」
「え……?」
成人くん、ありがとう。そうなんよ。色々混じって混じって、けど、一番は嬉しいの気持ちや。嬉しくて嬉しくて涙を止められんくなっとる。やから、源さんが謝ることは何にも無いんよ。
「そ、そうなのか?」
少し体を離してうちの顔を見ようとする源さんに、離れてなるものかとしがみつく。
「こら、臣。顔が見えん」
「まだ」
「は?」
「まだ足りん」
「はあ?」
「抱っこが足りん」
「そ、そうか……」
ちょっと呆れた声がしたけど知るもんか。
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