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第八章 郷に入っては郷に従え
77 皆が楽しい方がいい 成人
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舞い終えた鶴丸は、剣を使用人に渡して自分の席へ戻ってしまった。残念。剣をくるくる回す手もとを、近くで見せてほしかったのに。ああ、でも広い場所でやらないと危ないか。後で見せてもらえるかなあ。鶴丸、時間あるかな。
力丸にも見せたい。村次も。村次は料理の勉強で忙しそうだったから、遊ぶのは無理かなあ。ちょっとだけ見れないかな。ちょっと見たら、きっとすぐできる。村次は器用だし。足の古傷が痛まないように、跳ぶのをちょっとだけにしたら大丈夫だと思う。踊りなんだから、楽しかったらいいんじゃない?俺も、ちょっとだけやってみたい。倒れないくらいに、ちょっとだけ。
こうかな、こうだったかな、とお箸を持った右の手首を捻っていたら、緋色のお箸が俺の口に近付いてきた。海老の天ぷら、好き。
「激しい運動は駄目だぞ」
「あむ。おいし。大丈夫。あれは、綺麗な踊り」
激しい運動じゃないよ?
「綺麗に見えて、すっげえ激しいんだよ。分かってるくせに」
「できる」
気がする。だってあれ、ゆっくりでも綺麗だよ、きっと。ゆっくりでも大変そうだけどさ。
挨拶の人はどんどん来て、今度は誰にも邪魔されずに、挨拶する人の声と姿を受け取ることができた。と言っても、舞や演奏は、入れ替わり立ち代わりしてずっと続いてるからそっちも見たいし、こんにちは、と挨拶を返すだけなんだけど。
俺と緋色はそれだけでも大丈夫だったみたいで、皆、隣の壱鷹と少し話して元の席に戻っていった。もちろん、弐角と橙々の所にはたくさんの人がずっと並んで、話をしている。お酒もしょっちゅう注がれているし、大変だなあ。あんなに飲んだら、酔っ払ってしまうんじゃない?せっかくの美味しいご飯を、食べる暇もない。
「弐角と橙々、大丈夫?」
「あ?何が?」
「ご飯、食べれないし、ずっと、お酒どうぞってされてる」
「ああ。無理なら自分で断るだろ」
「そう?」
そうかなあ?なかなか断れないみたいだけど。
「結婚式の主役なんてのはそんなもんですよ、成人殿下」
壱鷹も言う。そうなの?この間の、俺たちや壱臣たちの結婚式の時は、皆、好きなように美味しいもの食べて、お酒も飲みたい人だけ飲んで、それで楽しかったよ?
なんか、弐角のとこだけじゃなく、見渡せる席のあちこちで、隣の人とかにお酒を飲まそうとする人が多いような……。俺は、お酒飲め飲めって言われるの嫌だけどな。
聞いてこよう。
すくっと立ち上がったら、緋色が笑う。
「何するんだ?」
「弐角に、大丈夫か聞いてくる」
「へえ?」
緋色はひらりと手を振ったし、壱鷹は何故か、ありがとうございます、とお礼を言ってきた。行っていいってこと?
それじゃ、と弐角に挨拶をする列に並んぼうとしたら、並んでいた人たちが、前へどうぞと横に避けた。ん?いいの?俺、待つけど?
皆、避けたまま動かないから、あっという間に弐角と橙々の前に着いてしまう。今、弐角にお酒を注ごうとしていた人まで横に避けて頭を下げてしまった。
ま、いっか。ちゃっちゃと話して、元の位置に戻ろう。
「成人さま……?」
驚く弐角の顔がだいぶ赤い。橙々は、ちょっと白い。お化粧してても分かるくらいだ。
「弐角、橙々、大丈夫?」
力丸にも見せたい。村次も。村次は料理の勉強で忙しそうだったから、遊ぶのは無理かなあ。ちょっとだけ見れないかな。ちょっと見たら、きっとすぐできる。村次は器用だし。足の古傷が痛まないように、跳ぶのをちょっとだけにしたら大丈夫だと思う。踊りなんだから、楽しかったらいいんじゃない?俺も、ちょっとだけやってみたい。倒れないくらいに、ちょっとだけ。
こうかな、こうだったかな、とお箸を持った右の手首を捻っていたら、緋色のお箸が俺の口に近付いてきた。海老の天ぷら、好き。
「激しい運動は駄目だぞ」
「あむ。おいし。大丈夫。あれは、綺麗な踊り」
激しい運動じゃないよ?
「綺麗に見えて、すっげえ激しいんだよ。分かってるくせに」
「できる」
気がする。だってあれ、ゆっくりでも綺麗だよ、きっと。ゆっくりでも大変そうだけどさ。
挨拶の人はどんどん来て、今度は誰にも邪魔されずに、挨拶する人の声と姿を受け取ることができた。と言っても、舞や演奏は、入れ替わり立ち代わりしてずっと続いてるからそっちも見たいし、こんにちは、と挨拶を返すだけなんだけど。
俺と緋色はそれだけでも大丈夫だったみたいで、皆、隣の壱鷹と少し話して元の席に戻っていった。もちろん、弐角と橙々の所にはたくさんの人がずっと並んで、話をしている。お酒もしょっちゅう注がれているし、大変だなあ。あんなに飲んだら、酔っ払ってしまうんじゃない?せっかくの美味しいご飯を、食べる暇もない。
「弐角と橙々、大丈夫?」
「あ?何が?」
「ご飯、食べれないし、ずっと、お酒どうぞってされてる」
「ああ。無理なら自分で断るだろ」
「そう?」
そうかなあ?なかなか断れないみたいだけど。
「結婚式の主役なんてのはそんなもんですよ、成人殿下」
壱鷹も言う。そうなの?この間の、俺たちや壱臣たちの結婚式の時は、皆、好きなように美味しいもの食べて、お酒も飲みたい人だけ飲んで、それで楽しかったよ?
なんか、弐角のとこだけじゃなく、見渡せる席のあちこちで、隣の人とかにお酒を飲まそうとする人が多いような……。俺は、お酒飲め飲めって言われるの嫌だけどな。
聞いてこよう。
すくっと立ち上がったら、緋色が笑う。
「何するんだ?」
「弐角に、大丈夫か聞いてくる」
「へえ?」
緋色はひらりと手を振ったし、壱鷹は何故か、ありがとうございます、とお礼を言ってきた。行っていいってこと?
それじゃ、と弐角に挨拶をする列に並んぼうとしたら、並んでいた人たちが、前へどうぞと横に避けた。ん?いいの?俺、待つけど?
皆、避けたまま動かないから、あっという間に弐角と橙々の前に着いてしまう。今、弐角にお酒を注ごうとしていた人まで横に避けて頭を下げてしまった。
ま、いっか。ちゃっちゃと話して、元の位置に戻ろう。
「成人さま……?」
驚く弐角の顔がだいぶ赤い。橙々は、ちょっと白い。お化粧してても分かるくらいだ。
「弐角、橙々、大丈夫?」
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