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第八章 郷に入っては郷に従え
70 衣装も料理も色々 成人
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広い広い、本当に広い畳の部屋。弐角と橙々は、俺と緋色も着たことがある着物の形の結婚衣装のまま、正面の少し高い場所に座った。弐角の衣装は、今、俺たちが着ている着物の正装と同じなんだけれど、橙々の衣装は特別な着物で、他の女の人たちの着物と全然違う。色が真っ白なのが花嫁の衣装。他の女の人は、絶対に真っ白の着物は着ないから、真っ白は特別なんだと分かる。花嫁は特別。頭にも、白い被りものをしている。そして重たい。
俺は、女の人用の着物は、結婚式の真っ白のしか着たことがないから、普通の着物と違うかどうか比べることはできないけれど、着た時、とにかく重たかったことを覚えている。
皆に、おめでとうと言われて嬉しかったし、緋色が嬉しそうにしてたからそれは良かったんだけど、すごく疲れた。この前の、着物じゃない結婚式の衣装の方が、着やすいし動きやすくて好きだった。ま、両方着たから分かるんだけどさ。二回目の結婚式の時、こっちが好きって言ったら壱臣に笑われた。
「成人くん。普通は結婚式は一回だけやから、あっちが好きも、こっちが好きもないんよ?」
でも、楽しそうに笑った壱臣は、うちもこっちが好き、って言った。でしょ?動きやすいのっていいよね?
ああでも、乙羽と赤璃さまは、重たかったけれど、その重さに、結婚したんだなあって実感が湧いたから、あれでいい気がするわって言っていた。
人によって色々みたいだから、どちらも試しに着てみて、選べるようにしたらいいのかもしれない。衣装のことだから、また、祈里と話してみよう。両方着たいって人が出てきたりして?そうしたら、俺たちみたいに二回、結婚式をするのかな?それも楽しい。
主役の二人のすぐ近くに案内されて座っていると、着物の人間がどんどん入ってきて畳の上に座って行く。真ん中を広く開けて、向かい合わせに座布団の上にずらりと並んで座って行くと、お膳を持った使用人が現れて、一人ずつの前に料理の乗ったお膳を置いていった。
机が無いと思ったら、料理は一人ずつお膳に置くのか!たくさんのお膳が並んでいく様子は、何だかすごかった。
「小さい机を出してもらうか?」
「ん?いいよ」
片手しか無くて器を持ち上げられない俺には、お膳は低くて食べにくい。でも、一人だけ机を置いてもらうのも格好悪い気がする。
だから、いいよって言ったけど。
でも。緋色が、すぐに気が付いてくれたのは嬉しかった。
俺は、女の人用の着物は、結婚式の真っ白のしか着たことがないから、普通の着物と違うかどうか比べることはできないけれど、着た時、とにかく重たかったことを覚えている。
皆に、おめでとうと言われて嬉しかったし、緋色が嬉しそうにしてたからそれは良かったんだけど、すごく疲れた。この前の、着物じゃない結婚式の衣装の方が、着やすいし動きやすくて好きだった。ま、両方着たから分かるんだけどさ。二回目の結婚式の時、こっちが好きって言ったら壱臣に笑われた。
「成人くん。普通は結婚式は一回だけやから、あっちが好きも、こっちが好きもないんよ?」
でも、楽しそうに笑った壱臣は、うちもこっちが好き、って言った。でしょ?動きやすいのっていいよね?
ああでも、乙羽と赤璃さまは、重たかったけれど、その重さに、結婚したんだなあって実感が湧いたから、あれでいい気がするわって言っていた。
人によって色々みたいだから、どちらも試しに着てみて、選べるようにしたらいいのかもしれない。衣装のことだから、また、祈里と話してみよう。両方着たいって人が出てきたりして?そうしたら、俺たちみたいに二回、結婚式をするのかな?それも楽しい。
主役の二人のすぐ近くに案内されて座っていると、着物の人間がどんどん入ってきて畳の上に座って行く。真ん中を広く開けて、向かい合わせに座布団の上にずらりと並んで座って行くと、お膳を持った使用人が現れて、一人ずつの前に料理の乗ったお膳を置いていった。
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「小さい机を出してもらうか?」
「ん?いいよ」
片手しか無くて器を持ち上げられない俺には、お膳は低くて食べにくい。でも、一人だけ机を置いてもらうのも格好悪い気がする。
だから、いいよって言ったけど。
でも。緋色が、すぐに気が付いてくれたのは嬉しかった。
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