【完結】人形と皇子

かずえ

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第八章 郷に入っては郷に従え

69 弐角の結婚式  成人

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 弐角にかくの結婚式は、まず、城の一角にあるお社で行われた。自分もこの間したし、赤虎せきとら寧子やすこの時にも見たのとおんなじ手順で、神様に報告していた。皆、おんなじ様にするんだなあ。おんなじ手順だと、神様に届くんだってことがよく分かった。
 おめでとうございます、の声に、弐角にかく橙々だいだいは、何だかよく似た顔で笑った。二人はちょっと似ている。いとこ同士だから、なんだって。それと、兄妹みたいに一緒の家で育ったから似てるらしい。同じものを食べて、同じものを見て生活していると、どこか似てくるものなんだそうだ。それが、家族ってものらしい。
 そうか!それなら俺はいつか、緋色ひいろそっくりに格好良くなれるかもしれない。
 お城の披露宴の会場へ戻るまでの間に、城の使用人たちが仕事の手を止めては、嬉しそうに手を叩いて二人を祝福した。弐角にかく橙々だいだいも、ありがとう、ありがとう、と手を振っていた。
 壱臣いちおみは、お城に行くんが怖いから行けんわ、ごめんな、と言ってお祝いに来られなかったけれど、ぜんぜん怖くなかったよって、帰ったら教えてあげようかな。
 ああ。でも、服がみんな着物だなあ。使用人も、兵士も、弐角にかくたち城の人も、みんな着物を着ている。
 俺と緋色ひいろも、今日は、衣装部に作ってもらった緋色ひいろの紋入りの着物で参列した。背中の真ん中の上には、皇家の紋も入っているみたいだ。羽織りは黒で、裾の方に赤い刺繍がある。内側に着ている着物も黒で、襟とか結ぶ紐とかそういうのが赤になっている。西の国は、お祝いの席では、男の人は黒い着物を着るのが決まりだから、それに合わせてあるんだって。ちょっとずつ赤が入ってるのが格好良い。祈里いのりが、動いても崩れないように、と頑張って着付けしてくれた。
 それで、お揃いなんだ。今日は、全部緋色ひいろと一緒!すごくすごく格好良い!
 真っ黒な着物がたくさん並んでいるのは格好良いけれど、壱臣いちおみは着物が苦手だから、やっぱり城に遊びに来るのは難しいかなあ。
 女の人は、色んな綺麗な柄の着物だ。赤虎せきとら寧子やすこの結婚式の時、女の人は皆、着物を着ていたと思うから、女の人はどちらの結婚式でも着るものはおんなじってことだ。男は、軍服やスーツの人が多かったから、ちょっと違う。同じところも、違うところもあって面白い。
 西の国の人は、男の人も女の人も髪の毛が長いから、軍服やスーツより着物が似合う。そういうのも、考えてあるのかもなあ。
 いつも通りの毎日も楽しくて好きだけれど、ちょっと違うこんな一日も楽しくていい。
 幸せな行事は、いくらあってもいい!
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