【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

142 親孝行いろいろ  成人

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 親孝行かあ。
 壱鷹いちたかは、壱臣いちおみの晴れ姿をとても見たかったって言った。見れるから嬉しいって。父さまと一緒だ。父さまは、結婚式に絶対参列するって言った。母さまも。教えてないのに知ってた。
 ご飯を一緒に食べようってお城に呼ばれて、お城の食事場所に緋色ひいろと行って。父さまはすぐに言ったんだ。結婚式をするらしいな、私も参列するぞって。

「は?やめてくれ。大事おおごとになるだろ」
大事おおごとにすればいい。皇子の結婚式だ」
「違う。俺らはついでだ、ついで。涼乃絵すずのえが俺らのも作ってくれたから、ついでに着るだけだ」
「それでも。着るのであろう?」
「着るよ」

 緋色ひいろは、ちょっとご機嫌な顔になった。良かった。衣装のこと思い出したのかな。あの衣装は、本当に素敵だったからねえ。俺もにこにこしちゃう。二人づつお揃いになる衣装。好き同士でぴったり合うんだ。あれ、いいよねえ。思い出しても、はあって言っちゃうくらい素敵だった。
 写真も撮るんだ、写真。
 長い時間じっとしてなきゃいけないから大変なんだけど、写真を撮ったらいつでも見られるからいい。頑張ってじっとしよう。そうしたら、その日見られなかった人にも見せてあげることができるから。

「一緒に写真を撮りたい」
「はあ?」
「当たり前だろう。家族写真を撮って飾るんだ」

 父さまも写真欲しい?俺と一緒だ。
 一度なおった緋色ひいろのご機嫌がまた悪くなる。写真は一緒に撮ったらいいんじゃない?ちょっとじっとするだけだからさ。
 緋色ひいろは、お城でご飯食べるのはあんまり好きじゃないから、最初っからむうって顔してた。普通の顔に見えるけど、むうってしてるって俺、分かっちゃった。俺といる時はいつもご機嫌いいけど、お仕事の時とか、むうってしてる時あるって知ってる。
 お茶を出すお仕事してたら、色んな緋色ひいろが見られてちょっと嬉しい。むう、ってしてても格好良いよ。
 その時のご飯は、俺の食べやすいものが増えていて前よりのんびり食べられた。
 緋色ひいろはむうってしてたけど、ご飯を一緒に食べてる時の父さまや母さまは嬉しそうだったな。
 あ、もしかして。

「ご飯を一緒に食べるのも親孝行……?」
「はあ?」

 緋色ひいろは俺に、はあ?って小さな声で言ったけど、壱鷹いちたか弐藤にふじ柚子ゆずはうんうんと頷いた。橙々だいだいは、ええ……?って言ってるから、緋色ひいろとおんなじ気持ちみたい。
 弐角にかくは、何だかよく分からない顔で壱鷹いちたかを見ている。
 当たりなの?違うの?
 親なんていない俺には分からないんだから、答えを教えてほしいなぁ。
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