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第七章 冠婚葬祭
127 おやつの時間 成人
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「うーん。うーん」
さっきのお話しで、聞きたいことはたくさんあった。分からない言葉だらけだった。でも、今日はあんまり上手く考えられない。
「どうした?」
「また今度、聞く」
「ふむ」
緋見呼さまは、綺麗な顔で笑った。
「なるのそういうところは、とても好ましい」
「このましい」
「とても良い。私は大好きじゃ」
「俺も緋見呼さま、好き」
「ほほ。好き同士じゃの」
「私も。私も成人さまが大好きですよ」
灯可が大急ぎで言う。
嬉しい。
「俺も灯可が好き」
「私たちも好き同士です!」
「うん」
とんとん、と扉が叩かれる音がした。
「はい、どうぞ」
「広末ですよ」
じいやが教えてくれる。
「あ。おやつ食べちゃった」
「あ、広末に報告せずにこちらに来てしまいました」
珍しいね。灯可が何かを忘れるなんて。
俺の今日の返事は小さい。大きい声を出すと、頭に響くので。でも、じいやがすぐに扉の所へ行ってくれるから安心。
「緋見呼さまと灯可さまがいらしてるってお聞きしたんだが」
広末がお盆を持って入ってきた。
「おるぞ。久しいな、広末」
「はい。緋見呼さまも、ご機嫌麗しゅう。今日も、とてもお綺麗ですね!」
「ほほ、ほほほ。ここの者は皆、真っ直ぐにものを言いよる。好ましいの」
広末と緋見呼さまも好き同士!
「広末、すまない。うちの手土産を、お前に知らせず成人さまに出してしまった」
「こんにちは、灯可さま。構いませんよ。一条の手土産はいつだって、なる坊のためによおく考えられてるんだから、何にも心配しちゃいません」
広末は、持ってきたお盆を机の上に置いた。丸い焼き菓子が、ころころと皿に乗っている。それと、ミックスジュースが二つ。緋見呼さま用の熱いお茶。
「おお、ゼリーか。綺麗ですね」
俺の食べかけのゼリーを見て、広末が言った。
「中に閉じこめるのに程よい果物が無かったと、うちの者が悔しがっていた。さくらんぼで作りたかったらしいのだが、種を取り出すと見栄えが悪くなってしまったのでやめた、と言っていた」
「なるほど。さくらんぼのゼリー。丸い形で入れることができたら、綺麗でしょうね」
「結局、缶詰のみかんになったと」
「なる坊の大好物が入ったんですから、大成功ですよ」
「美味しい!」
「ほら。今日はあんまり食べてなかったのに、この大きなゼリーを食べ切る勢いだ」
「それなら、良かった」
つるんと喉を通る冷たい感触が気持ち良くて、とても美味しい。
「うちの菓子も、今日は口の中でほろほろ溶けるボーロにしてみました。病人食みたいで申し訳ないですが」
緋見呼さまが、ボーロを一つ口に入れる。
「何とも儚くて上品な甘さじゃの。美味じゃ」
「ありがとうございます!」
おお。広末が、ものすごーく喜んだ。流石、緋見呼さま。褒め方も上手なんだろうなあ。
「土産用に包んでおきますね。一条の分と七条の分」
「おや。うちのも?良いのか?」
「もちろんですよ」
「ううむ。しかしこれは、見可にはもったいない菓子じゃぞ」
「え?」
「きっと見可は、すぐ無くなったって言いながら、口にいくつもいっぺんに放り込みますよ!もったいないです!」
一つ口に入れて味わった灯可も、緋見呼さまに賛成した。
俺も、ひとつ。
ああ。ほろほろと溶けて美味しい。
うん。
俺も、口にいくつも詰め込む見可が思い浮かんだよ。
さっきのお話しで、聞きたいことはたくさんあった。分からない言葉だらけだった。でも、今日はあんまり上手く考えられない。
「どうした?」
「また今度、聞く」
「ふむ」
緋見呼さまは、綺麗な顔で笑った。
「なるのそういうところは、とても好ましい」
「このましい」
「とても良い。私は大好きじゃ」
「俺も緋見呼さま、好き」
「ほほ。好き同士じゃの」
「私も。私も成人さまが大好きですよ」
灯可が大急ぎで言う。
嬉しい。
「俺も灯可が好き」
「私たちも好き同士です!」
「うん」
とんとん、と扉が叩かれる音がした。
「はい、どうぞ」
「広末ですよ」
じいやが教えてくれる。
「あ。おやつ食べちゃった」
「あ、広末に報告せずにこちらに来てしまいました」
珍しいね。灯可が何かを忘れるなんて。
俺の今日の返事は小さい。大きい声を出すと、頭に響くので。でも、じいやがすぐに扉の所へ行ってくれるから安心。
「緋見呼さまと灯可さまがいらしてるってお聞きしたんだが」
広末がお盆を持って入ってきた。
「おるぞ。久しいな、広末」
「はい。緋見呼さまも、ご機嫌麗しゅう。今日も、とてもお綺麗ですね!」
「ほほ、ほほほ。ここの者は皆、真っ直ぐにものを言いよる。好ましいの」
広末と緋見呼さまも好き同士!
「広末、すまない。うちの手土産を、お前に知らせず成人さまに出してしまった」
「こんにちは、灯可さま。構いませんよ。一条の手土産はいつだって、なる坊のためによおく考えられてるんだから、何にも心配しちゃいません」
広末は、持ってきたお盆を机の上に置いた。丸い焼き菓子が、ころころと皿に乗っている。それと、ミックスジュースが二つ。緋見呼さま用の熱いお茶。
「おお、ゼリーか。綺麗ですね」
俺の食べかけのゼリーを見て、広末が言った。
「中に閉じこめるのに程よい果物が無かったと、うちの者が悔しがっていた。さくらんぼで作りたかったらしいのだが、種を取り出すと見栄えが悪くなってしまったのでやめた、と言っていた」
「なるほど。さくらんぼのゼリー。丸い形で入れることができたら、綺麗でしょうね」
「結局、缶詰のみかんになったと」
「なる坊の大好物が入ったんですから、大成功ですよ」
「美味しい!」
「ほら。今日はあんまり食べてなかったのに、この大きなゼリーを食べ切る勢いだ」
「それなら、良かった」
つるんと喉を通る冷たい感触が気持ち良くて、とても美味しい。
「うちの菓子も、今日は口の中でほろほろ溶けるボーロにしてみました。病人食みたいで申し訳ないですが」
緋見呼さまが、ボーロを一つ口に入れる。
「何とも儚くて上品な甘さじゃの。美味じゃ」
「ありがとうございます!」
おお。広末が、ものすごーく喜んだ。流石、緋見呼さま。褒め方も上手なんだろうなあ。
「土産用に包んでおきますね。一条の分と七条の分」
「おや。うちのも?良いのか?」
「もちろんですよ」
「ううむ。しかしこれは、見可にはもったいない菓子じゃぞ」
「え?」
「きっと見可は、すぐ無くなったって言いながら、口にいくつもいっぺんに放り込みますよ!もったいないです!」
一つ口に入れて味わった灯可も、緋見呼さまに賛成した。
俺も、ひとつ。
ああ。ほろほろと溶けて美味しい。
うん。
俺も、口にいくつも詰め込む見可が思い浮かんだよ。
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