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第七章 冠婚葬祭
84 水瀬が苦手な人 成人
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「水瀬。椿、お熱?」
「そのようですね」
水瀬が、無表情に言った。
朝ご飯の時間になっても、椿が部屋から出てこないから、と水瀬と二人で様子を見に行ったら、ベッドで布団を被り、真っ赤な顔で苦しそうに寝ていた。
「ごめんね」
結局、水瀬のお仕事が増えている。いつも忙しいのに、もっと忙しくなってしまった。
「ああ、いえ。お仕事のことはいいのです。特に問題ありません。そうではなく。私は、自分の世話が自分でできない事に気付いていない者が、苦手みたいです」
ん?
自分の世話が自分でできない者、じゃなくて、できない事に気付いていない者?
「んーと?」
「つまり、こちらに来たばかりの三郎の方が、椿より何もできませんでしたが、このようにこう、心乱されることはありませんでした」
三郎はよく、できなくて恥ずかしい、と小さくなっていた。今は、何でもできる。人にやり方を習い、自分で出来るようになろうと頑張ったから。
髪の毛も、一度短く切った。自分への罰です、と言っていたけれど、お手入れできない髪の毛は、短くて良かったんだよ、きっと。
三郎たちの生まれ育った辺りでは、髪の毛が短いのは、すごく恥ずかしい事だったみたいだけど、ここでは、男の人は短い髪の人が多いから、何にもおかしくない。女の人でも、短い人も長い人も色々いるし。三郎の髪の毛、今はだいぶ伸びてきて、お給料で香油も買って付けているから綺麗。良かったなあ。
俺の髪の毛は、いつも緋色の髪の毛を切る人が、俺の髪の毛も一緒に切ってくれている。前は、髪の毛なんて、邪魔でなければどんなのでも良かったけど、今は、いい匂いの香油を緋色に付けてもらうのが好きだから、少しだけ長いのがいい。洗ったり、乾かしたり、香油を付けたりする時に、緋色が楽しそうに触ってくれるのが好き。俺も、緋色の髪の毛に香油を付けるのが好き。
「生松に診てもらう?」
「大したこと無いとは思いますが、寝ている間に診てもらいますか」
「うん」
看病してあげようかな、と思ったけれど、お熱がうつったら大変だから駄目って言われた。
残念。
「そのようですね」
水瀬が、無表情に言った。
朝ご飯の時間になっても、椿が部屋から出てこないから、と水瀬と二人で様子を見に行ったら、ベッドで布団を被り、真っ赤な顔で苦しそうに寝ていた。
「ごめんね」
結局、水瀬のお仕事が増えている。いつも忙しいのに、もっと忙しくなってしまった。
「ああ、いえ。お仕事のことはいいのです。特に問題ありません。そうではなく。私は、自分の世話が自分でできない事に気付いていない者が、苦手みたいです」
ん?
自分の世話が自分でできない者、じゃなくて、できない事に気付いていない者?
「んーと?」
「つまり、こちらに来たばかりの三郎の方が、椿より何もできませんでしたが、このようにこう、心乱されることはありませんでした」
三郎はよく、できなくて恥ずかしい、と小さくなっていた。今は、何でもできる。人にやり方を習い、自分で出来るようになろうと頑張ったから。
髪の毛も、一度短く切った。自分への罰です、と言っていたけれど、お手入れできない髪の毛は、短くて良かったんだよ、きっと。
三郎たちの生まれ育った辺りでは、髪の毛が短いのは、すごく恥ずかしい事だったみたいだけど、ここでは、男の人は短い髪の人が多いから、何にもおかしくない。女の人でも、短い人も長い人も色々いるし。三郎の髪の毛、今はだいぶ伸びてきて、お給料で香油も買って付けているから綺麗。良かったなあ。
俺の髪の毛は、いつも緋色の髪の毛を切る人が、俺の髪の毛も一緒に切ってくれている。前は、髪の毛なんて、邪魔でなければどんなのでも良かったけど、今は、いい匂いの香油を緋色に付けてもらうのが好きだから、少しだけ長いのがいい。洗ったり、乾かしたり、香油を付けたりする時に、緋色が楽しそうに触ってくれるのが好き。俺も、緋色の髪の毛に香油を付けるのが好き。
「生松に診てもらう?」
「大したこと無いとは思いますが、寝ている間に診てもらいますか」
「うん」
看病してあげようかな、と思ったけれど、お熱がうつったら大変だから駄目って言われた。
残念。
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