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第七章 冠婚葬祭
36 アイスクリーム試食会 成人
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お客様用のお部屋に行く前に、料理人が一口ずつアイスクリームを食べるのを俺も見守ることになった。ずっと付いてきてくれているじいやの提案だ。
今日はじいやと二人で来た。すぐ近くだし、一条の家だし、護衛は一人で充分だなってなった時に、半助は運転できないからじいやになった。運転して連れてきてくれて、そのまま近くで護衛してくれている。
半助はお休みでいいよーって言ったら、鍛錬してきます、と出ていっちゃった。そんなに表情は変わらないけど、悔しかったんだよね。何か分かる。俺もたまにある。仕方ないけど、手が一つしか無いのはもう仕方ないんだけど、納得出来ない時ってある。
鍛錬所の兵士たち、今日は付き合わされて大変なことになりそう。腕が一つでも運転できる車を、誰か早く作ってくれないかな。
茉璃は先に、お部屋に行って休んでてもらうことにした。赤ちゃんがお腹にいるんだから、無理は駄目。すぐにアイスクリームを持っていくから、のんびりしてて。
「そ、それでは、いただきます」
「いただきます」
スプーンに一口ずつのアイスクリームを乗せて、五人の料理人が震える声を上げた。スプーンを持つ手も震えている。うん。そうだよね。緊張するよね。
いただきますって言ったけれど、皆そのまま、まじまじとスプーンの上のアイスクリームを眺めていてなかなか口に入れない。うん。分かる。俺も、美味しすぎてのんびりのんびり食べてしまうんだよ。でも、そうするとアイスクリームは……。
「早く食べないと溶けるよー」
「あ、は、はい。そ、そうですよね……。勿体無くてつい……」
俺はうんうんと頷く。
俺から見て、右の端に座っている料理人が最初にぱくっと食べた。若い、と思う。五人の中で一番若い人。俺はそういう見分けがあんまりできないから、自信はないけど。偉い人の反対側の端っこにいるから、村次みたいな感じかなと思っている。見習いとか、そんな感じ。
他の人はまだ食べずに、それをじいっと見ていた。
「おお」
「ど、どうだ?」
「とろける……」
うんうん。アイスクリームはとろってとろけるの。冷たくて甘い。美味しい。
「おお」
その若い人が、とろける……だけ言って黙ってしまったから、他の人も次々口にスプーンを入れた。美味しそうな顔してるしね。溶ける前に、食べて。
口に入れたら皆、おお、しか言わないじゃん。でも、そうだよね。本当に、おお……って味だ。
……なんか、俺も食べたくなってきたな。一口もらってもいいかな。
今日はじいやと二人で来た。すぐ近くだし、一条の家だし、護衛は一人で充分だなってなった時に、半助は運転できないからじいやになった。運転して連れてきてくれて、そのまま近くで護衛してくれている。
半助はお休みでいいよーって言ったら、鍛錬してきます、と出ていっちゃった。そんなに表情は変わらないけど、悔しかったんだよね。何か分かる。俺もたまにある。仕方ないけど、手が一つしか無いのはもう仕方ないんだけど、納得出来ない時ってある。
鍛錬所の兵士たち、今日は付き合わされて大変なことになりそう。腕が一つでも運転できる車を、誰か早く作ってくれないかな。
茉璃は先に、お部屋に行って休んでてもらうことにした。赤ちゃんがお腹にいるんだから、無理は駄目。すぐにアイスクリームを持っていくから、のんびりしてて。
「そ、それでは、いただきます」
「いただきます」
スプーンに一口ずつのアイスクリームを乗せて、五人の料理人が震える声を上げた。スプーンを持つ手も震えている。うん。そうだよね。緊張するよね。
いただきますって言ったけれど、皆そのまま、まじまじとスプーンの上のアイスクリームを眺めていてなかなか口に入れない。うん。分かる。俺も、美味しすぎてのんびりのんびり食べてしまうんだよ。でも、そうするとアイスクリームは……。
「早く食べないと溶けるよー」
「あ、は、はい。そ、そうですよね……。勿体無くてつい……」
俺はうんうんと頷く。
俺から見て、右の端に座っている料理人が最初にぱくっと食べた。若い、と思う。五人の中で一番若い人。俺はそういう見分けがあんまりできないから、自信はないけど。偉い人の反対側の端っこにいるから、村次みたいな感じかなと思っている。見習いとか、そんな感じ。
他の人はまだ食べずに、それをじいっと見ていた。
「おお」
「ど、どうだ?」
「とろける……」
うんうん。アイスクリームはとろってとろけるの。冷たくて甘い。美味しい。
「おお」
その若い人が、とろける……だけ言って黙ってしまったから、他の人も次々口にスプーンを入れた。美味しそうな顔してるしね。溶ける前に、食べて。
口に入れたら皆、おお、しか言わないじゃん。でも、そうだよね。本当に、おお……って味だ。
……なんか、俺も食べたくなってきたな。一口もらってもいいかな。
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