【完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

27 いっしょ  成人

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「あ、成人なるひとさま。いた!」
見可みか。いらっしゃったと言いなさい」
「はーい、兄上。末良すえよし成人なるひとさまの横で食べよう」
「あーい」

 末良すえよしが右手を上げて返事をした。すっかり見可みかと仲良しだ。可愛い。
 今日は、末良すえよしがいるから、おやつは白玉だんご。だんごも大好き。
 たこ焼きの鉄板は、見可みかくらい大きくなってもうっかり触ってしまいそうになるのだから、小さい末良すえよしは絶対触っちゃうだろうと出さないことになった。火傷したら大変だもんね。
 暑くなってきたから、とろんと冷えただんごが美味しい。俺の前には、一番好きなフルーツのシロップに浸かった白玉が置いてある。緋色ひいろのは醤油。砂糖は入ってないからしょっぱい。でも、緋色ひいろはこれが美味しいんだって。俺は砂糖も入れて、みたらしにした方が好き。
 見可みかも俺とおんなじフルーツのを机に置いて、末良すえよしを隣に座らせた。末良すえよしは背が低くて机に届かないな。抱っこしようか?

「ん?下りるのか?」

 緋色ひいろの膝から下りないと、末良すえよしのこと抱っこできない。うんうんと頷くと、ちょっと寂しいって緋色ひいろが小さな声で言った。俺の聞こえやすい右の耳に。うう。そんなこと言われると悩むけど。でも。このままじゃ末良すえよしがおやつを食べれないし。

末良すえよし

 俺が緋色ひいろの膝で悩んでいたら、にこにこの広末ひろすえが来てお膝の上に乗せた。
 ああ、出遅れた。

「良かったなあ、見可みかさまと灯可とうかさまに遊んでもらったのか。お二人とも、ありがとうございます」
「いいよー。末良すえよし、賢いもんな」

 見可みか、お兄さんみたい。今日は見可みかも賢いな。
 ふふ、と笑って見てたら、末良すえよしがこっちを向いてにま、と笑った。

「いっしょ」

 何が?

「ああ。お膝に乗ってるのが成人なるひとさまと一緒だな」
「…………」

 見可みかの言葉に、うわあってなった。さっき、俺はお兄さんだからくっつくのはお部屋だけにしようと思ったのに、また緋色ひいろにくっついてた。
 そっと下りようとしたけれど、緋色ひいろがお腹をぎゅっと押さえている。

緋色ひいろお……」
「まあまあ。いいじゃないか、今更だ」
「うう……」

 嫌じゃないけど。これでいいんだけど。でも、ちょっとだけ。ちょっとだけ恥ずかしいんだよ……。
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