【完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

24 お兄さんなので  成人

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末良すえよし。俺たちと座って待っていような」
「はい」

 すっかり仲良しになった見可みか灯可とうかの間に座って、末良すえよしは手を挙げた。

「賢いなあ」

 と、灯可とうかが頭を撫でるとにこにこしている。俺だけ特別に末良すえよしと仲良しじゃなくなって、ちょっともやもやする。でも、俺の好きな人同士が仲良しになるのはとても良い。
 うーん。
 とりあえず、今日の主役を迎えに行った。
 乙羽おとわ青葉あおば広末ひろすえを連れて食堂に戻ると、集まっていた人たちが拍手をくれる。一緒に拍手をしていた末良すえよし広末ひろすえに気付いて、

「とーちゃん!」

 と、飛び出してきた。

「あ」

 止めようとする見可みか灯可とうかが止めている。

「父上を見つけたんだから、行かせてあげよう」
「あ、そうか」

 広末ひろすえは、持っていた吉野よしのの写真を乙羽おとわに預けて末良すえよしを抱き上げた。吉野よしのも七月のお誕生日だったから、一緒にお祝い。まだ魂が神様の所に行かずにその辺にいるなら、きっとこの部屋に来てくれると思う。四十九日の間はまだ、近くにいるものなんだって。色々、俺の知らないお話がたくさんある。

「七月のお誕生日は、乙羽おとわ青葉あおば広末ひろすえ吉野よしのです。おめでとう!」
「おめでとう!」

 皆で、大きな声でお祝いして、プレゼントを渡して。いつも通りの楽しいお誕生日会になった。吉野よしのは喜んでくれているかな。

「何をきょろきょろしているんだ?」
吉野よしの、いるかなと思って」
「そうか」

 緋色ひいろがひょいと俺を抱っこする。嬉しくてくっつこうとしたけど、俺の他に抱っこされてるのが末良すえよしだけだったからやめた。

「下りる」
「へ?」
「抱っこはお部屋でする」
「構わんだろ」

 緋色ひいろが構わなくても、俺が構う。灯可とうか見可みかに見られてると、何かその……。

「ほほ。なるも、恥ずかしがるお年頃かの?」

 緋見呼ひみこさまが笑う。
 恥ずかしい。
 ああ、そう。きっとそれ。
 緋色ひいろ。俺はお兄さんなので、抱っこはもう外ではあまりしなくていいよ。
 俺は抱っことかちゅうとかすごく好きなんだけどさ。でも、お兄さんなので!
 後で、お部屋で一杯しようね。
 
 
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