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第六章 家族と暮らす
89 家族のお話 成人
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「名字が違うと何が違うの?」
俺が聞いたら見可は首を傾げた。
「んー?分かんない。父さまが増えた?」
へええ。
「いいね」
「うん」
はあ、と灯可のため息。
「戸籍上は、兄弟ではなく従兄弟になったんです」
「んー?」
「家族では無くなったんです」
「ええ?見可と灯可、家族じゃなくなったの?」
「え?でも兄上は兄上のまんまだよ」
「えーと、だから戸籍上は、です」
「ふーん?」
くっくっくっ、と緋色と作治の笑い声が聞こえる。この二人は前も思ったけど、なんだか似てるよね。
緋色が俺を膝の上に抱える。
「各家には当主がいるだろう?分かるか。その家の代表の人」
「うん。家族の隊長?」
「まあ、それだ。隊長は各家の家族の中から選ぶことが多い。親が隊長を引退したら、その子どもが隊長になることが多いな。一条の家は朱可が今、隊長で次に隊長になるのは灯可だ」
おお、すごいな。こんな小さいのに、もう次の隊長って決まってるんだ。
「そんで、七条は今緋椀が隊長。でも家族は作治だけで、これから増える予定もない。分かるか」
「えーと、赤ちゃんが生まれないから」
知ってる。大好き同士で結婚しても、男と男とか女と女の組み合わせだと赤ちゃんは生まれないって習った。だから、性別違いで結婚する人が多いんだって。赤ちゃん、可愛いもんね。生まれた方が嬉しいかも。
でも、一番好きな人が同じ性別だったら赤ちゃんはあきらめるしかないなあ。だって、一番好きな人と一生を共に生きる誓いを、性別が一緒だからってあきらめることなんてできない。俺は、赤ちゃんが生まれなくても、結婚するのは緋色じゃないと嫌だ。
「そうだ」
緋色が俺の頭を撫でた。
「で、家族が増えないと、次の隊長がいなくなっちまうだろ」
「うん」
「そういうとき、よそから子どもをもらってきて家族を新しく増やすことができる」
「あ」
分かった。生松だ。生松はじいじの子どもになった。じいじは一人だったけど、今はたくさん子どもができて家族が増えて嬉しいって言ってた。
「一条には隊長になれる子どもが二人いたから、一人は七条の隊長にするためにもらったんだ」
おおお。じゃあ見可も隊長になるの?七条の?
「見可、隊長になるんだ?」
「隊長って格好いいー!やるやる。俺、隊長やるよ」
「うん、格好いい」
周りで皆笑っている。見可もにこにこだ。
灯可だけが、うーんって唸っていた。
「大丈夫?緋椀兄さま」
「やる気があるなら大丈夫だよ」
「緋椀兄さま、優しいから心配」
え?
「緋椀、怖いよ」
「緋椀父さま、怖いよ」
俺と見可の声が重なって、灯可は、へ?って顔をして、作治があーっははははは、って大笑いした。
俺が聞いたら見可は首を傾げた。
「んー?分かんない。父さまが増えた?」
へええ。
「いいね」
「うん」
はあ、と灯可のため息。
「戸籍上は、兄弟ではなく従兄弟になったんです」
「んー?」
「家族では無くなったんです」
「ええ?見可と灯可、家族じゃなくなったの?」
「え?でも兄上は兄上のまんまだよ」
「えーと、だから戸籍上は、です」
「ふーん?」
くっくっくっ、と緋色と作治の笑い声が聞こえる。この二人は前も思ったけど、なんだか似てるよね。
緋色が俺を膝の上に抱える。
「各家には当主がいるだろう?分かるか。その家の代表の人」
「うん。家族の隊長?」
「まあ、それだ。隊長は各家の家族の中から選ぶことが多い。親が隊長を引退したら、その子どもが隊長になることが多いな。一条の家は朱可が今、隊長で次に隊長になるのは灯可だ」
おお、すごいな。こんな小さいのに、もう次の隊長って決まってるんだ。
「そんで、七条は今緋椀が隊長。でも家族は作治だけで、これから増える予定もない。分かるか」
「えーと、赤ちゃんが生まれないから」
知ってる。大好き同士で結婚しても、男と男とか女と女の組み合わせだと赤ちゃんは生まれないって習った。だから、性別違いで結婚する人が多いんだって。赤ちゃん、可愛いもんね。生まれた方が嬉しいかも。
でも、一番好きな人が同じ性別だったら赤ちゃんはあきらめるしかないなあ。だって、一番好きな人と一生を共に生きる誓いを、性別が一緒だからってあきらめることなんてできない。俺は、赤ちゃんが生まれなくても、結婚するのは緋色じゃないと嫌だ。
「そうだ」
緋色が俺の頭を撫でた。
「で、家族が増えないと、次の隊長がいなくなっちまうだろ」
「うん」
「そういうとき、よそから子どもをもらってきて家族を新しく増やすことができる」
「あ」
分かった。生松だ。生松はじいじの子どもになった。じいじは一人だったけど、今はたくさん子どもができて家族が増えて嬉しいって言ってた。
「一条には隊長になれる子どもが二人いたから、一人は七条の隊長にするためにもらったんだ」
おおお。じゃあ見可も隊長になるの?七条の?
「見可、隊長になるんだ?」
「隊長って格好いいー!やるやる。俺、隊長やるよ」
「うん、格好いい」
周りで皆笑っている。見可もにこにこだ。
灯可だけが、うーんって唸っていた。
「大丈夫?緋椀兄さま」
「やる気があるなら大丈夫だよ」
「緋椀兄さま、優しいから心配」
え?
「緋椀、怖いよ」
「緋椀父さま、怖いよ」
俺と見可の声が重なって、灯可は、へ?って顔をして、作治があーっははははは、って大笑いした。
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