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第六章 家族と暮らす
25 春の野菜といつものお肉 成人
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「からい……。にがい……」
口に入れて噛んだものを出しそうになって、きゅっと慌てて口を閉じた。
「菜の花のからし和えやな。菜の花がほんのり苦みがあって、からしがふんわり辛い。大人の味やね」
「うう。俺、まだ大人じゃなかった……」
「私もちょっと苦手」
乙羽も?なら、俺も苦手でも仕方ない。苦いのは薬だけで十分だよね。
「うちもそんなに得意やない」
壱臣がこっそり教えてくれる。
「成人。ほら、卵焼き」
緋色が黄色いのを小さく切って口に運んでくれた。うう。まださっきのからいのが、口にあるう。
「天ぷらも苦かった」
「山菜の天ぷらやったな。ふきを食べた?」
「分かんない。天ぷらはお芋がいい。海老とか」
「春の野菜と気が合わんかった?」
「春の野菜、苦い。もう俺、すき焼きできるの待ってる」
壱臣は、出てくる料理を一つずつじっくり眺めて、大事に食べてふんふんと頷いて、楽しそうにしてる。
俺は今日のお野菜と気が合わない。何か苦いの多い。
「大きなお肉やけど、大丈夫?」
「これ、食べれる」
「へええ、楽しみやな」
机の上には、どんどん色んな料理が並んでいく。あ、茶碗蒸し、くださーい。
「臣。無理して食べたらあかんで」
「時間かけたら、食べれる」
「そんなん言うて、食べ過ぎて腹壊したら、明日出掛けられんくなるからな」
壱臣の前に食べ物がどんどんたまっていって、お品書きと見比べる暇もない。どうせ全然読めないから、まあいっか。
「壱臣。一口ずつ食べて残しておいていいぞ。残りは、俺と常陸丸が勝手に食うから。食べたいもの、好きに味見しろ」
「あ、え、えーと、でも……」
「俺は、茶碗蒸し食べる」
「私もー」
「それでいい」
緋色も、気に入ったものをぱくぱく食べてる。魚の味噌焼き、美味しい?俺も味見する。
じいやは苦い野菜、美味しいの?
「成人さま。歳を取ると、こういうのが美味しいと思うようになるもんなのですよ」
「えー?」
「俺はまだそんなに好きでもないなあ」
常陸丸もまだだって。半助は?
「あー、いや、まあ、嫌いやないですけど、すき焼きの方が好きです」
「一緒だ。すき焼き美味しい」
「こんな美味しいお肉、初めて食べました」
半助が、笑ってる。
「ね?美味しいね」
あ。壱臣も、すき焼きのお肉食べて感動してる?
「こんな大きいのに、口に入ってもうた。すぐ無くなった。すごい……」
美味しいよねえ。
今日も俺は、色んなものを食べた。また大きくなったに違いない!
口に入れて噛んだものを出しそうになって、きゅっと慌てて口を閉じた。
「菜の花のからし和えやな。菜の花がほんのり苦みがあって、からしがふんわり辛い。大人の味やね」
「うう。俺、まだ大人じゃなかった……」
「私もちょっと苦手」
乙羽も?なら、俺も苦手でも仕方ない。苦いのは薬だけで十分だよね。
「うちもそんなに得意やない」
壱臣がこっそり教えてくれる。
「成人。ほら、卵焼き」
緋色が黄色いのを小さく切って口に運んでくれた。うう。まださっきのからいのが、口にあるう。
「天ぷらも苦かった」
「山菜の天ぷらやったな。ふきを食べた?」
「分かんない。天ぷらはお芋がいい。海老とか」
「春の野菜と気が合わんかった?」
「春の野菜、苦い。もう俺、すき焼きできるの待ってる」
壱臣は、出てくる料理を一つずつじっくり眺めて、大事に食べてふんふんと頷いて、楽しそうにしてる。
俺は今日のお野菜と気が合わない。何か苦いの多い。
「大きなお肉やけど、大丈夫?」
「これ、食べれる」
「へええ、楽しみやな」
机の上には、どんどん色んな料理が並んでいく。あ、茶碗蒸し、くださーい。
「臣。無理して食べたらあかんで」
「時間かけたら、食べれる」
「そんなん言うて、食べ過ぎて腹壊したら、明日出掛けられんくなるからな」
壱臣の前に食べ物がどんどんたまっていって、お品書きと見比べる暇もない。どうせ全然読めないから、まあいっか。
「壱臣。一口ずつ食べて残しておいていいぞ。残りは、俺と常陸丸が勝手に食うから。食べたいもの、好きに味見しろ」
「あ、え、えーと、でも……」
「俺は、茶碗蒸し食べる」
「私もー」
「それでいい」
緋色も、気に入ったものをぱくぱく食べてる。魚の味噌焼き、美味しい?俺も味見する。
じいやは苦い野菜、美味しいの?
「成人さま。歳を取ると、こういうのが美味しいと思うようになるもんなのですよ」
「えー?」
「俺はまだそんなに好きでもないなあ」
常陸丸もまだだって。半助は?
「あー、いや、まあ、嫌いやないですけど、すき焼きの方が好きです」
「一緒だ。すき焼き美味しい」
「こんな美味しいお肉、初めて食べました」
半助が、笑ってる。
「ね?美味しいね」
あ。壱臣も、すき焼きのお肉食べて感動してる?
「こんな大きいのに、口に入ってもうた。すぐ無くなった。すごい……」
美味しいよねえ。
今日も俺は、色んなものを食べた。また大きくなったに違いない!
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