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第五章 それは日々の話
188 じゃんけん 成人
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「ねえ、福笑いしよ」
「誰からする?」
「私、一番」
「私も」
見可と鶴来は二人とも、一番にやりたいらしい。
「じゃんけんする?」
「ちゃんと順番決めよう」
「姉上は何番がいい?」
「私は何番でもいいわよ」
「じゃあ、じゃんけんしない?」
「じゃんけんはするけど」
「ええ?一番は取らないでよ?」
「勝ったら取るわよ」
「えええ。何番でもいいって言ったのに」
「だって、じゃんけん勝ったら一番でしょ」
「成人さま、一番先にしますか?」
ぽんぽん話すので、楽しいなあと聞いてたら、それまで黙ってた灯可が、急に俺の方を向いて言ったので、慌てた。
「え、俺、福笑いのやり方知らない」
「ええ?福笑い知らないの?」
「うん」
「よし、私が教えてあげる。見てて」
鶴来が言ったことに答えたら、見可が大きな紙を自分の前に置いて言った。
「ええ。私も一番にしたい」
「ああもう。見可と鶴来くんでじゃんけんしなさい」
「え?私もじゃんけん……」
「ええ?美鶴ちゃんも一番にしたいの?」
「うーん、うん」
「じゃあ、三人でじゃんけんしなよ」
じゃんけんも、何だろな。順番が決められるものなのか?
首を傾げていたら、じゃーんけん、ぽん、の声で三人が手を突きだした。それぞれ違う形になってる。と、形をじっくり見る間もなく、あーいこでしょ、とまた手の形が変わる。今度は二つ同じ形で、一つだけ違った。一つ違ったのは美鶴で、やった、と喜んでいる。他の二人はがっくりしてるから、美鶴が勝ったらしい。
「何で美鶴が勝ち?」
「美鶴ちゃん、パーだから。私たちグーだし」
見可が答えてくれるけど、分からない。
「どんな決まり?」
「ええ?じゃんけん知らないの?」
「うん」
「だからさ、パーはグーを包めちゃうから、パーが強いの」
「うん」
「チョキはパーを切れちゃうからチョキが強いの」
手を色んな形にしながら教えてくれる。ふんふん。
「で、グーはチョキで切れないから、グーの勝ち」
へええ。
勝ち負けがつくのか。それで順番を決めたりできるんだな。やってみたいな。
「成人さま、何にも知らないねえ」
「こら、見可」
「俺、じゃんけんしたい」
「いいよー、じゃ福笑いの順番決めのじゃんけんしよ?」
まだ、勝ち負けがはっきり分からないけど、じゃんけんの三つの手の形のどれかを出せば、一緒にじゃんけんしてる相手が勝ち負けを判定してくれるだろう。俺は手の形を色々変えて出すだけだ。
何回かしたら覚えるかと思ったのに、一発で勝ってしまったらしい。また、見可と鶴来が、がっくりしている。
「あの、俺、後でいいよ?」
「いいや、じゃんけんで決まったのだから、二番目は成人さまですよ」
じゃんけんをしていない灯可が言って、
「当たり前だ」
「男の約束だからな」
二人が、ぷいっとふくれながら言った。
男の約束って、何か格好いいな?
「誰からする?」
「私、一番」
「私も」
見可と鶴来は二人とも、一番にやりたいらしい。
「じゃんけんする?」
「ちゃんと順番決めよう」
「姉上は何番がいい?」
「私は何番でもいいわよ」
「じゃあ、じゃんけんしない?」
「じゃんけんはするけど」
「ええ?一番は取らないでよ?」
「勝ったら取るわよ」
「えええ。何番でもいいって言ったのに」
「だって、じゃんけん勝ったら一番でしょ」
「成人さま、一番先にしますか?」
ぽんぽん話すので、楽しいなあと聞いてたら、それまで黙ってた灯可が、急に俺の方を向いて言ったので、慌てた。
「え、俺、福笑いのやり方知らない」
「ええ?福笑い知らないの?」
「うん」
「よし、私が教えてあげる。見てて」
鶴来が言ったことに答えたら、見可が大きな紙を自分の前に置いて言った。
「ええ。私も一番にしたい」
「ああもう。見可と鶴来くんでじゃんけんしなさい」
「え?私もじゃんけん……」
「ええ?美鶴ちゃんも一番にしたいの?」
「うーん、うん」
「じゃあ、三人でじゃんけんしなよ」
じゃんけんも、何だろな。順番が決められるものなのか?
首を傾げていたら、じゃーんけん、ぽん、の声で三人が手を突きだした。それぞれ違う形になってる。と、形をじっくり見る間もなく、あーいこでしょ、とまた手の形が変わる。今度は二つ同じ形で、一つだけ違った。一つ違ったのは美鶴で、やった、と喜んでいる。他の二人はがっくりしてるから、美鶴が勝ったらしい。
「何で美鶴が勝ち?」
「美鶴ちゃん、パーだから。私たちグーだし」
見可が答えてくれるけど、分からない。
「どんな決まり?」
「ええ?じゃんけん知らないの?」
「うん」
「だからさ、パーはグーを包めちゃうから、パーが強いの」
「うん」
「チョキはパーを切れちゃうからチョキが強いの」
手を色んな形にしながら教えてくれる。ふんふん。
「で、グーはチョキで切れないから、グーの勝ち」
へええ。
勝ち負けがつくのか。それで順番を決めたりできるんだな。やってみたいな。
「成人さま、何にも知らないねえ」
「こら、見可」
「俺、じゃんけんしたい」
「いいよー、じゃ福笑いの順番決めのじゃんけんしよ?」
まだ、勝ち負けがはっきり分からないけど、じゃんけんの三つの手の形のどれかを出せば、一緒にじゃんけんしてる相手が勝ち負けを判定してくれるだろう。俺は手の形を色々変えて出すだけだ。
何回かしたら覚えるかと思ったのに、一発で勝ってしまったらしい。また、見可と鶴来が、がっくりしている。
「あの、俺、後でいいよ?」
「いいや、じゃんけんで決まったのだから、二番目は成人さまですよ」
じゃんけんをしていない灯可が言って、
「当たり前だ」
「男の約束だからな」
二人が、ぷいっとふくれながら言った。
男の約束って、何か格好いいな?
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