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第五章 それは日々の話
177 読めない…… 三郎
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「ふむ。壱臣、三郎。半助もこっちへ来い」
利胤さまの声に、兄上がびっくり跳ねた。半助が半笑いで、兄上の背中をぽんぽんと宥めてから戸を開ける。
この家の人たち相手に隠れるなどというのは、不可能に近い。気を張っていなくとも、兄上のように何の訓練も受けていない者の気配は、近くに居れば分かってしまうのだろう。私も、表面をなぞるように様々な訓練を受け、勉強してきたが、どれもこれもほどほどの出来だった。
もとから、私を飾りの領主として実権を握るつもりだったお祖父様にはちょうど良かったのか、褒められることも貶されることも無かったが。
招かれるままに食堂へと歩を進める。
にこにことした兄上が、
「聞いてしもたんや、ごめんな。あの、おめでとう」
と、手を握りあっていた睦峯先生と斎さんに言った。
何故か兄上の方が照れている。
本当に可愛らしい人やな、と私の頬まで緩みそうになって、慌てて引き締めた。最近、考えることや新しく知る事が多すぎて、表情が平静を保てない。気を付けんとあかん。
「ありがとう。その、まあ、何が変わるというわけでもないんだけど。休み明けに、部屋は同室になるけど」
「え?そうなんですか?私は、伴侶は特別に大切にしますよ。少し今までとは変わってしまうかもしれません」
睦峯先生の言葉に、斎さんがけろりと返した。
「お、俺は、今までも文明のことは特別扱いしてたから、何も変わらないんだよ」
「それは、嬉しいです」
何だか、すごく甘い雰囲気や。殿下と成人さまはもっと、こう、なんというかあけすけなので、甘いというより仲が良いな、と思うくらいなんやけど、これはもう、なんというか……。
「気持ちを確かめ合うのは部屋でやってくれ」
殿下の言葉に、思わず頷きそうになった。
「本題はここからだからな。まあ、お前らは居ても居なくてもいい」
「いや、おかしいでしょう?俺たちが居なくてもいいって。それに、昼ごはん食べに来たんですよ。追い出さないでくださいよ」
睦峯先生の抗議の声に、殿下はそしらぬ顔だ。
「三郎。ちょっとこっち来い」
利胤さまに手招きされて近寄ると、いきなり腕を引っ張られ、胡座をかいた膝の上にぽすりと落ちた。
「???」
そのまま抱き締められて、すっぽりおさまってしまう。
「おお。ええな」
「義父上……」
利胤さまの隣に、ただ静かに座っていた生松先生が呆れたような声を出した。
助けを求めるようにそちらを向くと、いつものように微笑まれる。目元が少し赤かった。
「三郎。お前、わしの孫になれ。九条家の跡取りじゃ」
「は?」
何がどうなって、そうなった?
利胤さまの声に、兄上がびっくり跳ねた。半助が半笑いで、兄上の背中をぽんぽんと宥めてから戸を開ける。
この家の人たち相手に隠れるなどというのは、不可能に近い。気を張っていなくとも、兄上のように何の訓練も受けていない者の気配は、近くに居れば分かってしまうのだろう。私も、表面をなぞるように様々な訓練を受け、勉強してきたが、どれもこれもほどほどの出来だった。
もとから、私を飾りの領主として実権を握るつもりだったお祖父様にはちょうど良かったのか、褒められることも貶されることも無かったが。
招かれるままに食堂へと歩を進める。
にこにことした兄上が、
「聞いてしもたんや、ごめんな。あの、おめでとう」
と、手を握りあっていた睦峯先生と斎さんに言った。
何故か兄上の方が照れている。
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「ありがとう。その、まあ、何が変わるというわけでもないんだけど。休み明けに、部屋は同室になるけど」
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睦峯先生の言葉に、斎さんがけろりと返した。
「お、俺は、今までも文明のことは特別扱いしてたから、何も変わらないんだよ」
「それは、嬉しいです」
何だか、すごく甘い雰囲気や。殿下と成人さまはもっと、こう、なんというかあけすけなので、甘いというより仲が良いな、と思うくらいなんやけど、これはもう、なんというか……。
「気持ちを確かめ合うのは部屋でやってくれ」
殿下の言葉に、思わず頷きそうになった。
「本題はここからだからな。まあ、お前らは居ても居なくてもいい」
「いや、おかしいでしょう?俺たちが居なくてもいいって。それに、昼ごはん食べに来たんですよ。追い出さないでくださいよ」
睦峯先生の抗議の声に、殿下はそしらぬ顔だ。
「三郎。ちょっとこっち来い」
利胤さまに手招きされて近寄ると、いきなり腕を引っ張られ、胡座をかいた膝の上にぽすりと落ちた。
「???」
そのまま抱き締められて、すっぽりおさまってしまう。
「おお。ええな」
「義父上……」
利胤さまの隣に、ただ静かに座っていた生松先生が呆れたような声を出した。
助けを求めるようにそちらを向くと、いつものように微笑まれる。目元が少し赤かった。
「三郎。お前、わしの孫になれ。九条家の跡取りじゃ」
「は?」
何がどうなって、そうなった?
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