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第五章 それは日々の話
154 専属侍女 成人
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扉を叩く音がした。どうぞ、と赤璃さまが言って侍女さんが入ってくる。頬が赤いままだ。大丈夫なのかな?
さっきのワゴンに乗っていた食べ物や飲み物も、ひっくり返って全部駄目になってしまった。また作り直してくれたんだろう。
「大丈夫?」
並べてくれる物を眺めながら言うと、侍女さんがぺこりと頭を下げた。
「白威。手当てをお願いしてもいい?」
「いえ、大したことは……」
「もちろんです。ご不快でなければ、手当てをさせてください」
赤璃さまの言葉に、侍女さんと白威の言葉が重なる。
侍女さんは、座る場所をあけるために立ち上がった俺を困ったような顔で見てから、ソファの端に腰掛けた。
白威がまたソファの近くで膝をつき、誠に申し訳ございませんでした、と謝りながら、侍女さんの頬に黒い鞄から取り出した塗り薬を塗っていく。その上から、ぺたりと白いものを張った。
「冷やして腫れを引かせます」
白威が俺の方を向いて、説明してくれた。
ごめんごめん。
近くで見すぎてたかな。
「冷やすと、腫れが引く?」
「はい。腫れているというのは、熱をもっていることが多いですから、熱を抑えると治まることが多いですね」
「ふーん」
そういうの知っていたかったな、怪我の多かった頃に。
知らないことをたくさん知ることは、長生きに繋がるような気がする。勉強、大事。
侍女さんはすぐにソファから立ち上がって、いつものようにソファの後ろに控えた。
「交代してもいいのよ?」
「いえ」
短く答えた侍女さんは、俺がソファに座り直すのを待ってから静かに机に近寄り、俺のお茶のふたを開ける。まだ熱いみたいで、湯気が上がった。ありがとう。ぬるくなってから飲むね。
俺の右手にはオレンジジュースを持たせてくれた。あんまり冷たくないし、氷も入っていない。
んー、とオレンジジュースを見ていると。
「外は寒いですから、氷は駄目ですよ」
侍女さんは、ほんの少し笑って言った。笑ってから、頬が痛そうにしている。
「なるが帰ったら、少し休みなさい」
「分かりました。お言葉に甘えます」
何で俺が帰ってから?俺、何にも言わないけどなあ。
勧められて、向かいのソファに座った白威が、優しい顔で笑ってこちらを見ていた。
「体を冷やしてはいけませんよ」
部屋の中は、すっごく暖かいのになあ。
「なる。今日は絶対、風邪を引いたら駄目よ。私の部屋に遊びに来れなくなるからね」
それは、困る。
氷は、今日は我慢する。暖かくなったら、お茶にも入れてね。
さっきのワゴンに乗っていた食べ物や飲み物も、ひっくり返って全部駄目になってしまった。また作り直してくれたんだろう。
「大丈夫?」
並べてくれる物を眺めながら言うと、侍女さんがぺこりと頭を下げた。
「白威。手当てをお願いしてもいい?」
「いえ、大したことは……」
「もちろんです。ご不快でなければ、手当てをさせてください」
赤璃さまの言葉に、侍女さんと白威の言葉が重なる。
侍女さんは、座る場所をあけるために立ち上がった俺を困ったような顔で見てから、ソファの端に腰掛けた。
白威がまたソファの近くで膝をつき、誠に申し訳ございませんでした、と謝りながら、侍女さんの頬に黒い鞄から取り出した塗り薬を塗っていく。その上から、ぺたりと白いものを張った。
「冷やして腫れを引かせます」
白威が俺の方を向いて、説明してくれた。
ごめんごめん。
近くで見すぎてたかな。
「冷やすと、腫れが引く?」
「はい。腫れているというのは、熱をもっていることが多いですから、熱を抑えると治まることが多いですね」
「ふーん」
そういうの知っていたかったな、怪我の多かった頃に。
知らないことをたくさん知ることは、長生きに繋がるような気がする。勉強、大事。
侍女さんはすぐにソファから立ち上がって、いつものようにソファの後ろに控えた。
「交代してもいいのよ?」
「いえ」
短く答えた侍女さんは、俺がソファに座り直すのを待ってから静かに机に近寄り、俺のお茶のふたを開ける。まだ熱いみたいで、湯気が上がった。ありがとう。ぬるくなってから飲むね。
俺の右手にはオレンジジュースを持たせてくれた。あんまり冷たくないし、氷も入っていない。
んー、とオレンジジュースを見ていると。
「外は寒いですから、氷は駄目ですよ」
侍女さんは、ほんの少し笑って言った。笑ってから、頬が痛そうにしている。
「なるが帰ったら、少し休みなさい」
「分かりました。お言葉に甘えます」
何で俺が帰ってから?俺、何にも言わないけどなあ。
勧められて、向かいのソファに座った白威が、優しい顔で笑ってこちらを見ていた。
「体を冷やしてはいけませんよ」
部屋の中は、すっごく暖かいのになあ。
「なる。今日は絶対、風邪を引いたら駄目よ。私の部屋に遊びに来れなくなるからね」
それは、困る。
氷は、今日は我慢する。暖かくなったら、お茶にも入れてね。
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