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第五章 それは日々の話
146 お手紙 成人
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久しぶりに赤璃さまのお部屋に来た。仕事の後で休憩していたら、赤璃さまからお手紙が届いたんだ。お手紙なんて初めてもらったので、びっくりした。
綺麗な、小さなお花の模様がある封筒に入っているお手紙。薄い赤色のお花だった。中の紙にも同じお花が散っていて、とても綺麗。俺がこの紙をもらったら、もったいなくて何も書けないかも。封筒の表と中の紙の一番上に「なるひとへ」と書いてある。
俺への手紙ってことだ!嬉しい。
その下には「わたしのおへやにあそびにきてください。なかなかでかけられなくて、たいくつしています。あかりより」と書いてあった。
全部ひらがなだと、かえって読みにくい。俺は漢字を書くのは勉強中だけど、読むのは結構できるのに、皆、ひらがなで書いてくれたり、ふりがなを打ってくれたりするんだよな。早く漢字をたくさん書けるようになって皆を驚かせたい。
「お返事をすぐに書かれますか?」
手紙を持って来てくれた一ノ瀬の女の人が言う。
お返事!俺も、手紙を書くってこと?書いてみたい!
こくこく頷くと、書けるまでお待ちします、と女の人は言ってくれた。
急がねば!
可愛い紙や封筒は持っていないので、どうしようかと悩む。白い紙でもいいかな、と思って紙の置き場を漁ったら、誕生日会の飾りつけで使って余っていた折り紙を見つけた。赤い折り紙の裏の、白いとこに書くことにする。
「あかりさまへ
あそびに行きます
成人」
おお。手紙みたい。いや、手紙なんだった。封筒は無いので、そのまま折り畳んで女の人に渡す。女の人は少し笑って、お渡ししますね、と帰って行った。
昼から城へ行く、と言ったら、寒いから歩いて行くな、と緋色が言った。うちから城までなんて、大した距離じゃないのにさ。まあでも、寒いな、って思って少ししてから熱が出ることが多いから、車で来たよ。離宮から出るなって言われるのが一番困る。遊びに出たいから。
緋色が心配してくれてることは嬉しい。緋色が色々言うのは、俺のことが大事って言ってるのとおんなじだからね。
これが分かってから俺は、緋色が心配して俺に何か言うと、嬉しそうな顔になってるらしい。真面目に聞いてるのか?って怒られたこともあった。
うん。まあ、仕方ない。ちゃんと言うこと聞くから、心配しないで。あ、いや、心配はして。……あれ?どっちだろ。自分でもよく分からないな。
今日は、商店街のお店で買った髪の毛の美容液をお土産に持って来た。以前のお土産が無くなりかけてたようだから、ちょうど良かったみたい。
ちょっと付けて、と赤璃さまが言うので、今、赤璃さまの長い髪の毛に、新しい美容液を馴染ませている。
俺が美容液を付ける前に、侍女さんがわざわざ、温めた手拭いで赤璃さまの髪の毛の表面を拭いていたから、もう付いてたよね?だって、つるつるのすべすべだったし、少しだけ良い匂いがしてた。
まあ、いいんだけど。
「ねえ。私も美容液のお店に行きたいわ」
「うん。雫石母さまが、気持ちいいって言ってた」
お店の人のマッサージは、すごく気持ち良かったみたいだよ。
「気持ちいい?」
「お店の人がお手入れしてくれる」
「わあ。何それ、いいじゃない。ね、一緒に行こう?」
「うん」
あ、でも、俺はいいけど、赤璃さまは出かけてもいいの?
綺麗な、小さなお花の模様がある封筒に入っているお手紙。薄い赤色のお花だった。中の紙にも同じお花が散っていて、とても綺麗。俺がこの紙をもらったら、もったいなくて何も書けないかも。封筒の表と中の紙の一番上に「なるひとへ」と書いてある。
俺への手紙ってことだ!嬉しい。
その下には「わたしのおへやにあそびにきてください。なかなかでかけられなくて、たいくつしています。あかりより」と書いてあった。
全部ひらがなだと、かえって読みにくい。俺は漢字を書くのは勉強中だけど、読むのは結構できるのに、皆、ひらがなで書いてくれたり、ふりがなを打ってくれたりするんだよな。早く漢字をたくさん書けるようになって皆を驚かせたい。
「お返事をすぐに書かれますか?」
手紙を持って来てくれた一ノ瀬の女の人が言う。
お返事!俺も、手紙を書くってこと?書いてみたい!
こくこく頷くと、書けるまでお待ちします、と女の人は言ってくれた。
急がねば!
可愛い紙や封筒は持っていないので、どうしようかと悩む。白い紙でもいいかな、と思って紙の置き場を漁ったら、誕生日会の飾りつけで使って余っていた折り紙を見つけた。赤い折り紙の裏の、白いとこに書くことにする。
「あかりさまへ
あそびに行きます
成人」
おお。手紙みたい。いや、手紙なんだった。封筒は無いので、そのまま折り畳んで女の人に渡す。女の人は少し笑って、お渡ししますね、と帰って行った。
昼から城へ行く、と言ったら、寒いから歩いて行くな、と緋色が言った。うちから城までなんて、大した距離じゃないのにさ。まあでも、寒いな、って思って少ししてから熱が出ることが多いから、車で来たよ。離宮から出るなって言われるのが一番困る。遊びに出たいから。
緋色が心配してくれてることは嬉しい。緋色が色々言うのは、俺のことが大事って言ってるのとおんなじだからね。
これが分かってから俺は、緋色が心配して俺に何か言うと、嬉しそうな顔になってるらしい。真面目に聞いてるのか?って怒られたこともあった。
うん。まあ、仕方ない。ちゃんと言うこと聞くから、心配しないで。あ、いや、心配はして。……あれ?どっちだろ。自分でもよく分からないな。
今日は、商店街のお店で買った髪の毛の美容液をお土産に持って来た。以前のお土産が無くなりかけてたようだから、ちょうど良かったみたい。
ちょっと付けて、と赤璃さまが言うので、今、赤璃さまの長い髪の毛に、新しい美容液を馴染ませている。
俺が美容液を付ける前に、侍女さんがわざわざ、温めた手拭いで赤璃さまの髪の毛の表面を拭いていたから、もう付いてたよね?だって、つるつるのすべすべだったし、少しだけ良い匂いがしてた。
まあ、いいんだけど。
「ねえ。私も美容液のお店に行きたいわ」
「うん。雫石母さまが、気持ちいいって言ってた」
お店の人のマッサージは、すごく気持ち良かったみたいだよ。
「気持ちいい?」
「お店の人がお手入れしてくれる」
「わあ。何それ、いいじゃない。ね、一緒に行こう?」
「うん」
あ、でも、俺はいいけど、赤璃さまは出かけてもいいの?
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