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第五章 それは日々の話
81 ぞうカステラは可愛い 成人
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「なんで、殿下付きで帰ってくるんだよ。殿下、お菓子食べないでしょ」
「うるさいぞ、力。狭いならお前が出ていけ」
うん。今日も緋色と力丸は仲良し。朱実殿下と話してる時よりもっと、仲良しな感じがする。家族だから?いや、朱実殿下が家族だっけ?
お土産を取りに部屋に戻ったら、どこに行ってたんだ、また行く?なら、俺も行くって言って、緋色が付いてきちゃった。別にいいけど。
緋色がいても狭くもならないし、座る椅子が足りなくもならない。だって俺、緋色の膝の上にいるし。
机には人数分のお茶と、力丸と村次が買ってきた四角いお菓子。俺が動物園で買ってきたお土産も箱のふたを開けて置いてある。
どちらの名前も、カステラらしい。
俺のは、一つずつ包みに入っていて小さいぞうの形をしている。可愛い。力丸達のは、大きな四角い形なので、村次が包丁で切り分けた。おんなじには見えないけれど、名前がおんなじだ。
「いただきまーす」
どんなのか分からないときは、少しだけを切って口に入れることにしてる。軟らかいから、大丈夫そう。
「おお。思ったよりしっとりしてるな」
「もっとふわふわとして、水分が少ないかと思ってましたけど」
「おお。甘い。とんでもなく甘い」
料理人二人の感想で、しっとりしてるのが分かった。力丸の味の感想は、緋色が苦手な味って言いたくて、大げさに言ってるんじゃないかなあ。三郎はどう?
「カステラ、久しぶりです」
あ、食べたことあるんだ。
口に入れてみたら、本当にすごく甘かった。軟らかくて美味しい。けど、甘過ぎてたくさんは食べられないかも。
「成人のもカステラ?」
「うん。でも全然違う」
「おんなじ名前なのにな」
力丸はそう言いながら、あっという間に一つ、口の中に放り込む。
「おお。こっちはそんなに甘すぎない。でも、もう少ししっとりしててもいいな」
「こっち食べてから食べたから、そう思うんじゃない?」
村次がお茶を飲んでから、俺のお土産の包みを開いた。
「ぞうさん。可愛い」
そうそう。ぞうの形なんだよ。ぞうさんカステラ。力丸、見ないで食べたでしょ。
俺も、一つ味見しようかな。ぞうのカステラを手に持って見てると、可愛くて食べにくい。
「お土産だから、日持ちするように作ってあるんだな。あまり水分が多いと日持ちしないし」
村次がぱくりとぞうを半分食べて、半分の食べ口を見ながらぶつぶつ言っている。
「好みはそれぞれだが、元はこちらのしっとりしたのがカステラというもので、それを日持ちするようにして小さくしたのがぞうのカステラってことだな」
「ですね。やっぱり日持ちを考えると食感がもそりとしますね」
うーん。何か広末と村次が難しい話をし始めたなあ。
俺は、ぞうが可愛いので噛めなくてしばらく手に持っていたけど、思いきって口に入れた。半分に噛むのが嫌で一口で詰め込む。
「こらこら、一気に入れるな」
「詰まるぞ」
う。ほんとだ。詰まりそう。口の中で噛んだ半分を取り出して、やっと食べられた。うん。半分にしても、飲み込みにくいや。
「何で詰め込んだんだ?」
「ぞうを噛みたく無かったんだろ」
ははは、と緋色が笑う。
「うちで作るなら、しっとりの甘さ控えめにしよう」
広末が笑いながら言って、
「ええ?作れるんですか?」
と、三郎が驚いた声を上げた。
「うるさいぞ、力。狭いならお前が出ていけ」
うん。今日も緋色と力丸は仲良し。朱実殿下と話してる時よりもっと、仲良しな感じがする。家族だから?いや、朱実殿下が家族だっけ?
お土産を取りに部屋に戻ったら、どこに行ってたんだ、また行く?なら、俺も行くって言って、緋色が付いてきちゃった。別にいいけど。
緋色がいても狭くもならないし、座る椅子が足りなくもならない。だって俺、緋色の膝の上にいるし。
机には人数分のお茶と、力丸と村次が買ってきた四角いお菓子。俺が動物園で買ってきたお土産も箱のふたを開けて置いてある。
どちらの名前も、カステラらしい。
俺のは、一つずつ包みに入っていて小さいぞうの形をしている。可愛い。力丸達のは、大きな四角い形なので、村次が包丁で切り分けた。おんなじには見えないけれど、名前がおんなじだ。
「いただきまーす」
どんなのか分からないときは、少しだけを切って口に入れることにしてる。軟らかいから、大丈夫そう。
「おお。思ったよりしっとりしてるな」
「もっとふわふわとして、水分が少ないかと思ってましたけど」
「おお。甘い。とんでもなく甘い」
料理人二人の感想で、しっとりしてるのが分かった。力丸の味の感想は、緋色が苦手な味って言いたくて、大げさに言ってるんじゃないかなあ。三郎はどう?
「カステラ、久しぶりです」
あ、食べたことあるんだ。
口に入れてみたら、本当にすごく甘かった。軟らかくて美味しい。けど、甘過ぎてたくさんは食べられないかも。
「成人のもカステラ?」
「うん。でも全然違う」
「おんなじ名前なのにな」
力丸はそう言いながら、あっという間に一つ、口の中に放り込む。
「おお。こっちはそんなに甘すぎない。でも、もう少ししっとりしててもいいな」
「こっち食べてから食べたから、そう思うんじゃない?」
村次がお茶を飲んでから、俺のお土産の包みを開いた。
「ぞうさん。可愛い」
そうそう。ぞうの形なんだよ。ぞうさんカステラ。力丸、見ないで食べたでしょ。
俺も、一つ味見しようかな。ぞうのカステラを手に持って見てると、可愛くて食べにくい。
「お土産だから、日持ちするように作ってあるんだな。あまり水分が多いと日持ちしないし」
村次がぱくりとぞうを半分食べて、半分の食べ口を見ながらぶつぶつ言っている。
「好みはそれぞれだが、元はこちらのしっとりしたのがカステラというもので、それを日持ちするようにして小さくしたのがぞうのカステラってことだな」
「ですね。やっぱり日持ちを考えると食感がもそりとしますね」
うーん。何か広末と村次が難しい話をし始めたなあ。
俺は、ぞうが可愛いので噛めなくてしばらく手に持っていたけど、思いきって口に入れた。半分に噛むのが嫌で一口で詰め込む。
「こらこら、一気に入れるな」
「詰まるぞ」
う。ほんとだ。詰まりそう。口の中で噛んだ半分を取り出して、やっと食べられた。うん。半分にしても、飲み込みにくいや。
「何で詰め込んだんだ?」
「ぞうを噛みたく無かったんだろ」
ははは、と緋色が笑う。
「うちで作るなら、しっとりの甘さ控えめにしよう」
広末が笑いながら言って、
「ええ?作れるんですか?」
と、三郎が驚いた声を上げた。
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