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第四章 西からの迷い人
118 祭りの賑わい 力丸
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「さて、どこに行くかなー。」
うきうきしながら車に戻ると、成人がぐったりと座席に寝転んでいた。膝枕をした荘重さまが優しく背中を擦っている。
「おお。大丈夫か。」
「くさかった……。」
顔の前で、何かを払うような仕草をしているから、まだ匂いがまとわりついているような気がするんだろう。分かる。俺も、あれは苦手だ。
「慣れないよなあ。殿下は何か買う気だけど、あの匂いが離宮に漂うのは嫌だなあ。」
「んー。でも、弐角はいい匂い。」
「そうか。まあ、殿下がお前の嫌なことするわけないし、いいか。それより、遊んできていいって。どこ行く?」
「え?遊ぶ?」
「そう、俺らだけで遊んできていいって。」
「ええ?じゃあ、じゃあ、お土産!」
「おお、いいな。お土産買うか!三郎、どっかいいとこ……って知らないか。」
運転席に座りながら聞くと、三郎が申し訳なさそうに体を縮めている。なかなか、慣れてくれないなあ。まあ、仕方ない。
成人が体を起こして伸びをし、荘重さまが腰に下げていた鞄から地図を取り出して広げた。
「え?え?そ、その地図は、持ち出し禁止の……。」
「いえいえ、まさか。」
「え?そやけど……。」
地図を見た三郎が驚いているが、荘重さまはけろりと返事をした。
うん。何となく分かっちゃったぞ。じい様、城から持ち出し禁止の地図を持ってきたんだな。
荘重さまが地図を手に助手席に移動して案内してくれたのは、とても賑やかな、屋台や店屋が並ぶ場所だった。
「お祭りでもやってるのか?」
そのくらいの賑わいだ。
「いえいえ。有名なお社があるので、各地からの参拝客が絶えず、常にこのような賑わいを見せておるようですよ。」
「うわあ、凄い。」
成人も大喜びだし、いいとこだな。
「私が年に一度お詣りするときは、こんなに人はおりませんでした。」
「人払いしてあったんでしょうな。」
「ああ……。」
三郎が賑わいに呆然としている。お前は、自分の領地なのに知らないことだらけだな。身分の高い者は買い物に行く習慣が無いというのは、考えものだ。殿下方のように、お忍びで出掛けまくるのもどうかと思うけど。
「お社って何?」
ここにも、三郎の先輩面して何にも知らないやつが一人。
「神様の居るとこだよ。」
「へええ、ここに居るの?」
「うーん。いや、居るわけじゃないけど。」
「んー?いないのに、お祈りするの?」
「いや、いないわけでもない。」
「ええ?どっち?」
「どっちだろ?たまに居るんじゃないか?」
「いないかもしれないけど、お祈りするの?」
ずっと首を傾げながら聞かれると、俺まで首を傾げてしまう。
「人は弱いですから、神様に祈って許しを乞うたり、幸せを願ったりするんですよ。偶像を置いて神様の代わりにして祈るんです。」
荘重さまの言葉に、ふーん、と言った成人はもう、興味を失ったようで屋台に目を向けていた。
神様は知ってるんだな、なんて思う。神様って何?って聞くかと思ったんだけど違ったな。成人の神様は、どんな神様なんだろう。
うきうきしながら車に戻ると、成人がぐったりと座席に寝転んでいた。膝枕をした荘重さまが優しく背中を擦っている。
「おお。大丈夫か。」
「くさかった……。」
顔の前で、何かを払うような仕草をしているから、まだ匂いがまとわりついているような気がするんだろう。分かる。俺も、あれは苦手だ。
「慣れないよなあ。殿下は何か買う気だけど、あの匂いが離宮に漂うのは嫌だなあ。」
「んー。でも、弐角はいい匂い。」
「そうか。まあ、殿下がお前の嫌なことするわけないし、いいか。それより、遊んできていいって。どこ行く?」
「え?遊ぶ?」
「そう、俺らだけで遊んできていいって。」
「ええ?じゃあ、じゃあ、お土産!」
「おお、いいな。お土産買うか!三郎、どっかいいとこ……って知らないか。」
運転席に座りながら聞くと、三郎が申し訳なさそうに体を縮めている。なかなか、慣れてくれないなあ。まあ、仕方ない。
成人が体を起こして伸びをし、荘重さまが腰に下げていた鞄から地図を取り出して広げた。
「え?え?そ、その地図は、持ち出し禁止の……。」
「いえいえ、まさか。」
「え?そやけど……。」
地図を見た三郎が驚いているが、荘重さまはけろりと返事をした。
うん。何となく分かっちゃったぞ。じい様、城から持ち出し禁止の地図を持ってきたんだな。
荘重さまが地図を手に助手席に移動して案内してくれたのは、とても賑やかな、屋台や店屋が並ぶ場所だった。
「お祭りでもやってるのか?」
そのくらいの賑わいだ。
「いえいえ。有名なお社があるので、各地からの参拝客が絶えず、常にこのような賑わいを見せておるようですよ。」
「うわあ、凄い。」
成人も大喜びだし、いいとこだな。
「私が年に一度お詣りするときは、こんなに人はおりませんでした。」
「人払いしてあったんでしょうな。」
「ああ……。」
三郎が賑わいに呆然としている。お前は、自分の領地なのに知らないことだらけだな。身分の高い者は買い物に行く習慣が無いというのは、考えものだ。殿下方のように、お忍びで出掛けまくるのもどうかと思うけど。
「お社って何?」
ここにも、三郎の先輩面して何にも知らないやつが一人。
「神様の居るとこだよ。」
「へええ、ここに居るの?」
「うーん。いや、居るわけじゃないけど。」
「んー?いないのに、お祈りするの?」
「いや、いないわけでもない。」
「ええ?どっち?」
「どっちだろ?たまに居るんじゃないか?」
「いないかもしれないけど、お祈りするの?」
ずっと首を傾げながら聞かれると、俺まで首を傾げてしまう。
「人は弱いですから、神様に祈って許しを乞うたり、幸せを願ったりするんですよ。偶像を置いて神様の代わりにして祈るんです。」
荘重さまの言葉に、ふーん、と言った成人はもう、興味を失ったようで屋台に目を向けていた。
神様は知ってるんだな、なんて思う。神様って何?って聞くかと思ったんだけど違ったな。成人の神様は、どんな神様なんだろう。
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