【完結】人形と皇子

かずえ

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第四章 西からの迷い人

83 香りを纏う  緋色 *

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 風呂上がりの成人なるひとが、布団の上でぼんやりしている。今日は疲れたのだろう。新しい体験に興奮していたし、朝からばたばたと忙しかった。昼寝もすぐに起こされちまったな。夕食は、ミックスジュースをコップに半分だけ。
 風呂でも、動きが悪かったから、これ幸いと丸洗いした。気持ち良さそうに身をゆだねてくれるから、やりたい放題だ。
 くっついて風呂の中に浸かっていると、ちゅーちゅーとキスしてくるので、俺はすっかりその気分なんだが、体力はどうだ?
 布団の上の成人なるひとの後ろに回る。ふわふわと柔らかくて細い髪の毛をタオルで包み込んで拭くと、気持ち良さそうに目を細めた。
 手の上に、壱臣いちおみに借りた髪の毛の美容液とやらを出してみる。思っていたより、さらりとして粘性がない。良い香りがふわりと漂った。

「い、匂い。」

 振り返った成人なるひとが、にひゃ、と笑う。

「髪の毛の美容液だ。借りてきた。」

 髪に手を入れて揉み込む。するりと通りがよく、揉み込んだところから艶々とし始めた。

「おお。」
「なにー?」
「ん?髪の毛が艶々してる。」
「つやつやって?」
「きれいになったってこと。」
「へえ?」

 くるりと体がこちらを向く。とろん、とした笑顔で抱きついてきた。

「ああ。いい匂い。」
 
 うっとりと言う。
 これはもう、いいよな?

「気持ちいいこと、する?」
「するう。」

 ぱくり、と唇を食べる。
 
「んー。んん……。」

 寝間着の中に手を入れて、すべすべと肌を撫でる。手触りは、いつもいい。ぷくり、と立ってきた乳首を撫でると、んにゃ、と体が跳ねた。
 成人なるひとの右手が、俺の寝間着の中に入り込んで素肌を触る。ぬくいのが気持ちいい。
 ああ、服が邪魔だな。
 成人なるひとを布団の上にそっと寝かせて、寝間着を全部脱いだ。成人なるひとは、くったりと転がって嬉しそうにこちらを見ている。
 成人なるひとも脱がせると、ぞうの絵が幾何学模様のように並んだパンツが目に入った。……どこもかしこも、可愛いな。もちろん、そのパンツもとりあえずよけてもらおう。
 そうして、髪の毛の美容液とよく似た匂いの香油を手に、肉は薄いけど柔らかい尻をゆっくりとほぐす。気持ち良さそうに首筋に吸い付いてくれるのが嬉しい。

「ああ。気持ちいい……。」
「俺も……。」

 受け入れやすく、柔らかくなった孔にゆっくりと入ると、溜め息のように呟くのが聞こえた。
 ゆっくりと奥へいって、ゆっくりと引いて、じんわりとした気持ちよさを味わう。

「ああ……。あん、ああ。」

 掠れた高い声に甘さが乗って、耳からも快感が広がる。愛しい気持ちが高まっていくにまかせて、気持ちいい行為に没頭する。

「はあ……、ひいろ、すき……。」
「俺も……。」

 いい匂いが、部屋中に広がっていく。ああ、幸せ……。
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