【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第四章 西からの迷い人

34 洋服屋さん  成人

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「意外と派手な色が似合うと思うの。」 
 
 色んな服を壱臣いちおみに当ててみながら乙羽おとわが呟く。
 壱臣いちおみは大人しく立っている。顔は、ちょっと困った時の顔だけど。
 乙羽おとわ、楽しそうね。

「赤色無いねえ。」
「鮮やかな赤は貴色だから一般の人は身に付けてはいけないのよ。だから売ってないの。」
「へええ?」

 俺の好きな赤色が無い。がっかり。貴色って何だろ?俺の袖に付いてる赤色の模様はいいの?

「皇家の色だから、お城で作った服にしか鮮やかな赤は付けられないんだよ。」
 
 緋椀ひまりが説明してくれた。じゃあ俺、お城の服がいい。赤が好き。緋色ひいろの色だし!
 半助はんすけの持つかごの中には、パンツと靴下が入っている。靴下はそんなに模様の付いてるのは無かったけど、パンツは色々あって面白かった。全面に動物の絵が描かれていたり、おしりだけに絵があったり。面白い模様のを買おうよって乙羽おとわと選んでいたら、壱臣いちおみがあまり模様の無い三枚セットのパンツをかごに入れちゃった。そんなのだと壱臣いちおみのパンツか半助はんすけのパンツか分からないじゃん。ねえ?

「あ、これ可愛い。」

 さっき見てた靴下のとこは黒っぽいのばっかりだったのに、こっちに色んな絵が描いてある小さい靴下がある。つぶれたような顔のうさぎみたいなのが面白い。
 乙羽おとわに見せに行こう、と少し離れた方へ戻りかけたら、嫌な気配を感じた。
 あ、やっと来た?
 いるのは分かるのに、回りをうろつくばかりだった緋色ひいろ常陸丸ひたちまる、三雲に少し離れてもらったらやっと動いたみたい。緋椀ひまりは軍服を脱いだら強いことが分からないもんねえ。買い物してる美人なお兄さんだ。
 靴下を手に動かずにいると緋色ひいろが少し急ぎ足で近寄ってきた。

「すぐ終わる。ここにいろ。」
「うん。」

 常陸丸ひたちまる乙羽おとわを連れて来て俺の横に置いて、また離れていく。

乙羽おとわ、これ見て。」
「面白い顔。可愛い。」
「靴下?小さいな。気に入ったなら買えばいい。」

 緋色ひいろが言った。
 そっか。俺もお金持ってきたし買おう!

「私も買おうかなあ、可愛いね。私たちにはちょっとサイズが大きいかな。」
「これで?」
「うん。少し大きいかもしれないけど、可愛いから一つ買ってみよう。なるのとちょっと違う顔のにしよう。」

 俺たちが、可愛い靴下を選んでいるうちに、捕り物は終わったみたいだ。
 半助はんすけはかごを置いて緊張していたけど、壱臣いちおみは、動くなって言われて立っとったら、すんだみたいやけど、もうええの?って言っていた。
 壱臣いちおみって戦闘は全く駄目なんだね。ずっと護ってきた半助はんすけはすごいよ!
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