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第四章 西からの迷い人
6 美味しいランチ 成人
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火の上にあるわけでも無いのに、ぐつぐつと熱そうな器の中で豆腐が揺れている。
むりむりむり。
こんな熱いの食べられないよー。
俺は一番大きな器の豆腐は早々にあきらめて、冷たい器を手前に引き寄せた。柔らかそうな丸い豆腐がふんわりと盛られている。薄い茶色の汁に浸かっていて冷たくて美味しそう。
スプーンですくって食べてみる。
おお。
美味しい!
今まで食べた豆腐の中で一番柔らかい。豆腐の味も濃いし、汁と一緒に食べるとその味もついてまた、美味しい。
これ好き。
「お、美味いか?」
力丸がそう言いながら、俺の丸い豆腐を取っていった。
「あー。俺の。」
「俺も味見。それと色々あるから、ばっかり食いすんな。ほら、だし巻き玉子。」
そう言って、黄色い卵焼きを小さく切って俺の口に持ってくる。
うーん。卵焼きかあ。
そう思いながら口に入れると、ふわりと柔らかくて、ちっとももそもそしていなかった。丸い豆腐の汁と似た優しい味がじゅわりと口に広がる。
美味しい!
だし巻き玉子は、焦げ目なんて何にも無い綺麗な黄色だった。やっぱり黄色い食べ物は、全部美味しいんだ。
俺のとこにも小皿にだし巻き玉子が付いていたので、手前に引き寄せる。
「お、気に入ったか?美味しいよな、これ。」
「うん。」
「卵焼きがこんなに柔らかく綺麗に焼けるなんて、すごい。美味しい。」
村次は一つ口に入れて、もう一つを箸で持ち上げてじっくりと眺めている。
「この豆腐も美味いなー。」
力丸はそう言いながら俺の丸い豆腐を半分食べて村次に回した。俺は、だし巻き玉子をもう一個食べるー。
「味噌汁も、こんなに色が薄いのにしっかりと味がある。何となくまろやか?」
村次がぶつぶつと言いながら、あちこち味見している。俺も味噌汁飲みたい。味噌汁にも豆腐入ってるなあ。スプーンですくって、ふーふーする。本当だ。いつもと色も違うし味も違うけど美味しいね。
小皿にある白いぺらりとした物はなんだろうなあ。持ち上げて眺めていると、店員さんがきつねうどんを持ってきた。
「それは湯葉と言って、豆乳を温めて上にできる膜を取り出した料理です。なんとも言えず美味しいものですよ。」
にこりと笑って説明してくれる。醤油をつけて口に入れると、これもとろりとして好み。
うどんも気になって、持ってきてくれた器をのぞくと、大きな四角いものがうどんを隠してしまっている。
「この四角いのがきつね?」
村次も向かいの席からのぞいて尋ねた。
「ええ。甘く煮たお揚げはおきつね様の好物ですので。」
「へええ。甘く煮たお揚げ。それがきつね。」
村次が箸でお揚げを持ち上げると、他の料理と同じように色の薄い汁の中にうどんが見えた。
あっという間に自分のだし巻き玉子定食を食べてしまった力丸が、きつねうどんに手を伸ばす。
「俺の味見も置いといて。」
村次が言って、残りを食べ始めた。俺も味見したいな、と思いながら味噌汁をふーふーしてると、じっと俺たちの様子を見ていた店員さんが、小さな器とはさみを持ってきて、うどんとお揚げを小さく切って入れ、俺の前に置いてくれた。
むりむりむり。
こんな熱いの食べられないよー。
俺は一番大きな器の豆腐は早々にあきらめて、冷たい器を手前に引き寄せた。柔らかそうな丸い豆腐がふんわりと盛られている。薄い茶色の汁に浸かっていて冷たくて美味しそう。
スプーンですくって食べてみる。
おお。
美味しい!
今まで食べた豆腐の中で一番柔らかい。豆腐の味も濃いし、汁と一緒に食べるとその味もついてまた、美味しい。
これ好き。
「お、美味いか?」
力丸がそう言いながら、俺の丸い豆腐を取っていった。
「あー。俺の。」
「俺も味見。それと色々あるから、ばっかり食いすんな。ほら、だし巻き玉子。」
そう言って、黄色い卵焼きを小さく切って俺の口に持ってくる。
うーん。卵焼きかあ。
そう思いながら口に入れると、ふわりと柔らかくて、ちっとももそもそしていなかった。丸い豆腐の汁と似た優しい味がじゅわりと口に広がる。
美味しい!
だし巻き玉子は、焦げ目なんて何にも無い綺麗な黄色だった。やっぱり黄色い食べ物は、全部美味しいんだ。
俺のとこにも小皿にだし巻き玉子が付いていたので、手前に引き寄せる。
「お、気に入ったか?美味しいよな、これ。」
「うん。」
「卵焼きがこんなに柔らかく綺麗に焼けるなんて、すごい。美味しい。」
村次は一つ口に入れて、もう一つを箸で持ち上げてじっくりと眺めている。
「この豆腐も美味いなー。」
力丸はそう言いながら俺の丸い豆腐を半分食べて村次に回した。俺は、だし巻き玉子をもう一個食べるー。
「味噌汁も、こんなに色が薄いのにしっかりと味がある。何となくまろやか?」
村次がぶつぶつと言いながら、あちこち味見している。俺も味噌汁飲みたい。味噌汁にも豆腐入ってるなあ。スプーンですくって、ふーふーする。本当だ。いつもと色も違うし味も違うけど美味しいね。
小皿にある白いぺらりとした物はなんだろうなあ。持ち上げて眺めていると、店員さんがきつねうどんを持ってきた。
「それは湯葉と言って、豆乳を温めて上にできる膜を取り出した料理です。なんとも言えず美味しいものですよ。」
にこりと笑って説明してくれる。醤油をつけて口に入れると、これもとろりとして好み。
うどんも気になって、持ってきてくれた器をのぞくと、大きな四角いものがうどんを隠してしまっている。
「この四角いのがきつね?」
村次も向かいの席からのぞいて尋ねた。
「ええ。甘く煮たお揚げはおきつね様の好物ですので。」
「へええ。甘く煮たお揚げ。それがきつね。」
村次が箸でお揚げを持ち上げると、他の料理と同じように色の薄い汁の中にうどんが見えた。
あっという間に自分のだし巻き玉子定食を食べてしまった力丸が、きつねうどんに手を伸ばす。
「俺の味見も置いといて。」
村次が言って、残りを食べ始めた。俺も味見したいな、と思いながら味噌汁をふーふーしてると、じっと俺たちの様子を見ていた店員さんが、小さな器とはさみを持ってきて、うどんとお揚げを小さく切って入れ、俺の前に置いてくれた。
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