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第三章 幸せの行方
82 成人 78
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昼寝から起きたら、食堂に集合だ。力丸の時に一回やってるから分かる。パーティーだ。誕生日パーティー。俺の!
団子は今日も山盛りで、お汁粉やきな粉やみたらし、フルーツシロップもいつも通り。今日が、本番の誕生日パーティーだ。
みんなでジュースを持って、
「成人、誕生日おめでとう!」
の大きな声が響く。
「ありがと!」
俺も大きな声で返事をした。楽しいな。嬉しいな。ジュースを飲んだら、緋色がきれいな包み紙にくるんだ物を二つもくれた。
「二つもある?」
「開けてみろ。」
きれいな包み紙を破りたくなくて、そっとテープをはがす。右手だけだと難しい。皆が見てる。緊張するなあ。
大きな包み紙は、音の鳴る箱だった。オルゴールって言うんだよね。蝶々の模様が彫ってある。ふたを開けると音楽が流れた。これ、ものすごく高いのに!
「これ、どうしたの?」
「お前のだよ。誕生日のプレゼントだからな。」
「でも、これ高いのに。」
「俺は稼いでるからな。心配するな。」
いいのかなあ。本当に高いんだよ。
とりあえず、もう一つの小さいのも開けてみる。
ガラスの金魚が出てきた……!
「金魚…。」
きらきらの金魚。
「緋色、金魚だ。」
「これも、プレゼント。」
「でも。」
「こういうときは、ありがとうだろ?」
嬉しい。どうしよう。欲しかったきらきらの金魚が手の上にある。
「あ、ありがと。」
嬉しすぎて、はあーって息が出た。
「殿下ばっかり、成人の一番欲しいもの二つとも買っちゃってさ、ずるいんですよ。」
力丸が、ガラスの金魚を俺の手からよけて、違う包みを乗せてくれた。
「はい、俺からのプレゼント。金魚は、俺が買おうと思ってたんだぜ?でも、殿下が買いたいって言うから譲ったの。」
ビー玉が十個もきれいな箱に入っていた。おおー。たくさんある。色んな色がある。きれいー。
「ありがと!」
乙羽は色鉛筆をくれて、常陸丸は色鉛筆で色をぬって遊ぶ塗り絵という本をくれた。青葉さんは図鑑という大きな本。色んな生き物が載っていた。じいじは、棒付きの大きな飴だった。うずまきのきれいな色の大きな飴。これを食べたら、絶対ご飯は入らないなあ!じいやは、金魚の絵が描いてあるガラスのコップだった。これも、きれい!斎は、パズル。他の人も、飴をころころと置いてくれる。すごい、すごい。ありがとうが間に合わない。笑いすぎて頬っぺたが疲れるくらいだ。
失礼します、と白い箱が置かれる。開けてみると袋に入れた氷に囲まれたアイスクリームが入っていた。蓋つきの入れ物に詰めてある。驚いて顔を上げると、雫石さんの侍女さんが立っていた。
「皇妃殿下からの贈り物でございます。」
頭を下げて、すぐに帰ろうとするから慌てて言った。
「明日、ありがとうしに行くね。」
はい、と侍女さんはほんの少し笑った。
アイスクリームと聞いた広末が飛んできて、そこにいた皆でほんのちょっとずつ味見して、美味しい、美味しいと大騒ぎになった。
「これなら、斑鹿乃ちゃんも食べられるんじゃないかい?」
青葉さんの言葉に、皆で部屋に押し掛けて、斑鹿乃がアイスクリームを食べる様子を見守った。
「美味しい。」
と、斑鹿乃が笑った。最近、食べ物を前にしたら感じていた吐き気もなかったらしい。
最高の誕生日だった!
団子は今日も山盛りで、お汁粉やきな粉やみたらし、フルーツシロップもいつも通り。今日が、本番の誕生日パーティーだ。
みんなでジュースを持って、
「成人、誕生日おめでとう!」
の大きな声が響く。
「ありがと!」
俺も大きな声で返事をした。楽しいな。嬉しいな。ジュースを飲んだら、緋色がきれいな包み紙にくるんだ物を二つもくれた。
「二つもある?」
「開けてみろ。」
きれいな包み紙を破りたくなくて、そっとテープをはがす。右手だけだと難しい。皆が見てる。緊張するなあ。
大きな包み紙は、音の鳴る箱だった。オルゴールって言うんだよね。蝶々の模様が彫ってある。ふたを開けると音楽が流れた。これ、ものすごく高いのに!
「これ、どうしたの?」
「お前のだよ。誕生日のプレゼントだからな。」
「でも、これ高いのに。」
「俺は稼いでるからな。心配するな。」
いいのかなあ。本当に高いんだよ。
とりあえず、もう一つの小さいのも開けてみる。
ガラスの金魚が出てきた……!
「金魚…。」
きらきらの金魚。
「緋色、金魚だ。」
「これも、プレゼント。」
「でも。」
「こういうときは、ありがとうだろ?」
嬉しい。どうしよう。欲しかったきらきらの金魚が手の上にある。
「あ、ありがと。」
嬉しすぎて、はあーって息が出た。
「殿下ばっかり、成人の一番欲しいもの二つとも買っちゃってさ、ずるいんですよ。」
力丸が、ガラスの金魚を俺の手からよけて、違う包みを乗せてくれた。
「はい、俺からのプレゼント。金魚は、俺が買おうと思ってたんだぜ?でも、殿下が買いたいって言うから譲ったの。」
ビー玉が十個もきれいな箱に入っていた。おおー。たくさんある。色んな色がある。きれいー。
「ありがと!」
乙羽は色鉛筆をくれて、常陸丸は色鉛筆で色をぬって遊ぶ塗り絵という本をくれた。青葉さんは図鑑という大きな本。色んな生き物が載っていた。じいじは、棒付きの大きな飴だった。うずまきのきれいな色の大きな飴。これを食べたら、絶対ご飯は入らないなあ!じいやは、金魚の絵が描いてあるガラスのコップだった。これも、きれい!斎は、パズル。他の人も、飴をころころと置いてくれる。すごい、すごい。ありがとうが間に合わない。笑いすぎて頬っぺたが疲れるくらいだ。
失礼します、と白い箱が置かれる。開けてみると袋に入れた氷に囲まれたアイスクリームが入っていた。蓋つきの入れ物に詰めてある。驚いて顔を上げると、雫石さんの侍女さんが立っていた。
「皇妃殿下からの贈り物でございます。」
頭を下げて、すぐに帰ろうとするから慌てて言った。
「明日、ありがとうしに行くね。」
はい、と侍女さんはほんの少し笑った。
アイスクリームと聞いた広末が飛んできて、そこにいた皆でほんのちょっとずつ味見して、美味しい、美味しいと大騒ぎになった。
「これなら、斑鹿乃ちゃんも食べられるんじゃないかい?」
青葉さんの言葉に、皆で部屋に押し掛けて、斑鹿乃がアイスクリームを食べる様子を見守った。
「美味しい。」
と、斑鹿乃が笑った。最近、食べ物を前にしたら感じていた吐き気もなかったらしい。
最高の誕生日だった!
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