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第二章 人として生きる
53 緋色 27
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朱空の病気が再発したらしい。二条家から届く手紙は全て、封も切らずに送り返しているので、はっきりとは知らない。
屋敷に入り込む鼠が増えていく。おおかた乙羽を拐っていこうと思っているのだろう。
流石は二条家の暗部。なかなかの手練れである。相手が常陸丸と利胤で無ければ、簡単な仕事だったことだろう。うちには力丸も遊びに来るからな。なんだ、こりゃ? とか言いながら一人二人捕まえて入ってくる。
面倒くさいと思いながらしばらく放っておいたが、入り込む人数が見逃せない数になってきた。いよいよ切羽詰まってきたのか? 全面戦争か? 滅ぼされたいのかな、二条家。
わざと二日ほど誰一人捕まえずにおいて増やし、力丸の学校の休みに合わせて、全力で遊ぶことを許可する。
注意事項だけ伝えて、俺と常陸丸は王城で仕事ということにした。
はしゃぎすぎて屋敷を壊すなよ? 成人はそういう心配は無さそうだが、力丸は信用ならんので注意事項に付け加えておく。まあしかし、こいつも楽しそうだな。実力が同じくらいの者と訓練するとぐんぐん力が伸びるとは聞くが、成人も力丸も、手がつけられなくなってきた。常陸丸と利胤が近くにいるから、本人たちは全く気付いていないが、俺にはもう止められまい。常陸丸と利胤も、同居し始めてから人間離れしてきたからな。
よくこんな屋敷に何かを仕掛けようと思うものだ。今回の顛末如何によっては、二条の家は断絶しよう。
警官隊を連れて帰った屋敷は、気を付けたのだろう、壊れ具合は予想範囲内だった。よしよし、ちょっとは大人になったか、と安心していたが、侵入者を回収していた警官隊が生松を呼びに走っている。あちこちで呻き声も聞こえる。
「大怪我をさせてはいけない約束は守ったか?」
と聞いてみれば、二人とも当然といった顔で頷く。
担架が準備され、捕まえた全員が担架で運ばれて行った。
「動けないように足の骨、折っただけ」
と力丸が言えば、
「足の腱を切っただけ」
と成人が言う。
こいつらの基準では命に関わらない怪我は大怪我では無かったらしい。
「縄で縛ってたら時間かかるからさあ」
力丸の言葉に成人が、うんうん頷く。
大怪我の定義についての講義は青葉に任せようか……。
屋敷に入り込む鼠が増えていく。おおかた乙羽を拐っていこうと思っているのだろう。
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よくこんな屋敷に何かを仕掛けようと思うものだ。今回の顛末如何によっては、二条の家は断絶しよう。
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「大怪我をさせてはいけない約束は守ったか?」
と聞いてみれば、二人とも当然といった顔で頷く。
担架が準備され、捕まえた全員が担架で運ばれて行った。
「動けないように足の骨、折っただけ」
と力丸が言えば、
「足の腱を切っただけ」
と成人が言う。
こいつらの基準では命に関わらない怪我は大怪我では無かったらしい。
「縄で縛ってたら時間かかるからさあ」
力丸の言葉に成人が、うんうん頷く。
大怪我の定義についての講義は青葉に任せようか……。
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