【完結】人形と皇子

かずえ

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第二章 人として生きる

51 成人 29

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 腰につけた袋から団子を一つ取り出す。小さくて、あんまりもちもちしてないので、俺も食べられる団子! 広末ひろすえが作ってくれた。腰にぶら下げた袋は、片手で出せるようにボタン止めにしてある。絵本みたいに巾着袋にすると、右手しかない俺には取り出せなかったのだ。
 じいじの手に一つ乗せると、ぱくっと食べて笑った。

「じいじは、成人なるひとの仲間になりましたよ」

 うんうん。
 乙羽おとわもどうぞ、と渡すとにこにこ笑って食べている。

「美味しい。私も仲間にしてくださいな」

 バタン、と扉が開いて力丸りきまるが入ってきた。力丸りきまるもどうぞ。

「何、なに? 団子? え、美味しい。小さくて食べた気がしない。もっとちょうだい。え? 駄目? 広末ひろすえに貰ってくるからちょっと待ってて」

 団子を食べたのに仲間になってない上に、もっとよこせとは。もうっ、と思っていたら、慌ただしく帰ってきた。腰に巾着袋をぶら下げている。俺が取り出せなかった袋ね。
 中から、俺のよりだいぶ大きなもちもちの団子を取り出してもぐもぐ食べた。あれが、本物か。

「よし。それではこれより、鬼ごっこを始めまーす」

 幾つか食べて満足した力丸りきまるが、背負ってきた袋から縄や、赤と水色のシール、電気ショックを与える武器? みたいなのを取り出して言った。

「ルールは簡単。屋敷に入り込んだ敵を捕まえるゲームです。相手を殺さないで捕まえます。気絶させたり、動けなくして縄で縛る。大きな怪我もなるべくさせないように、と魔王が、いや、緋色ひいろ殿下が言ってました。後は、自分達も怪我をしないこと、屋敷は壊さないこと、だそうです」
「はい!」
「俺と成人なるひとの勝負です。捕まえた人には、成人なるひとは赤いシール、俺は水色のシールを貼ります。九条さまは、義姉上あねうえを守ってください。では、スタート!」
 
 俺は縄とシールを袋に入れて背負った。手に、電気ショックの武器。腰にナイフも差しておく。力丸も、道具を手に持って走り出す。
 今日は、知らない人がたくさん屋敷にいると思ったら、鬼ごっこのためだったのか。
 ものすごく楽しくなってきて、まずは庭に飛び出した。
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