【完結】人形と皇子

かずえ

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第二章 人として生きる

48 緋色 24 *

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 風呂に一緒に入る度、体を強張らせていた成人なるひとが、最近ようやく力を抜いて入れるようになった。
 誰かと入ることがそんなに恐ろしいのなら、一人で入らせてやった方がいいのかと思ったりもしたが、片手では上手く洗えないし、シャワーだけで出てきてしまい、体が冷えている。
 風呂に浸かったことはなかったらしく、最初は、普通と思える水温でも熱いと言って入れなかったし、今もぬるくしてやっても、直ぐにのぼせてくったりしてしまう。こちらはちっとも温まっていないので、抱いたまましばらく入っているが、のぼせた後も完全に体から力が抜けることは無かった。
 洗った後か、洗っている時かに余程、ひどい目にばかりあっていたのだろう。初めて洗ってやった時も、朦朧としながらその後の行為をしようとしていたな、と思い出す。
 少しでも、風呂への恐怖を無くして欲しくて、抱いて入りながらキスをしてみる。風呂は気持良いということを覚えてほしい、と思っていたら、ここが痛い、と陰茎を指差した。
 毛が生えていないので、はっきり見えるそれは、緩く立ち上がってきている。
 もしかして。

「こんな風になったこと、ないのか?」

 と聞けば、無い、と言う。精通もまだだったのか、と呆然とした。後ろの孔は無茶な使われ方をした痕でいっぱいなのに。
 それは、ただただ苦痛だったことだろう。風呂場で裸になる度に強張っていたのも無理もない。
 そっと、成人なるひとの体にあったサイズのそれを握る。急所を掴まれてひゅっと強張る体をもう片方の手でなだめながら、そっと扱き始める。

「痛いの、治してやる。大丈夫だから力を抜け」

 耳元で言っても緊張は解けない。心を込めて顔中にキスを落とす。

「んっ、んっ……」

 扱いているモノが徐々に立ち上がってくるに従って成人なるひとの口から戸惑うような声が漏れてくる。

「気持ちいいな、成人なるひと

 ぶるっと震えて向きを変えようとしているので、向かい合わせになって成人なるひとの右腕を俺の首に絡ませる。密着したら安心したのか、少し力が抜けてふー、ふー、と荒い息を吐き始めた。なるべく優しくと思いながら扱いていると、

「や、や……。んー」

 と言う声と共にトロリとほんの少し白濁が出た。あまりの可愛さに、こちらの理性が飛びそうになる。

成人なるひと。気持ち良かったな」

 もう一度成人なるひとの体を流して、風呂から上がる。ふわふわと笑いながら、ずっとくっついている。拭きにくいぞ、どうした? と見れば、またする、と呟いた。
 俺のも痛くなってきたけど、どうしてくれる?
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