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第二章 人として生きる
18 成人 12
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常陸丸とじいじの戦闘訓練は、凄い。庭の一角で、楽しそうにやっている。
たまに加わる緋色は、すぐに弾き飛ばされてしまう。
あ、常陸丸が吹っ飛んだ。見てたらうずうずしてきて、俺もじいじに回し蹴りをと突っ込む。片目では遠近感が掴みにくくて、少し間合いが近すぎたらしい。じいじがガードした太い腕に太腿が当たって、うまく弾き飛べずにそのまま下に落ちる。くるっと回って着地する筈が、うまくいかずに倒れた。
背中を強かに打った。痛い。
左手の無い分、バランスを崩したらしい。
起き上がれずに空を見てたら、すぐにじいじが抱き上げてくれた。
「驚いた。強いな」
「馬鹿。手加減できないスピードで突っ込むな。速いんだよ、お前。どこを打ったんだ?」
常陸丸が背中をめくる。
「大したことないかな。明日、痛いぞー」
「今、痛い」
「もっと痛くなるの」
「えー、やだ」
「やっぱり目だな。片目では、難しいだろ? 慣れるしかないか」
「うん」
「手の方は、義手つけたらバランス取れるかな」
「重いから、無いことに慣れる方が良い、と聞いたことがあるが」
三人で話してたら、緋色が帰ってきた。じいじの腕の中にいるのを見て、
「どうした?」
と、手を出してくれる。緋色の腕の中に移って、くっついたら、頭がくらくらした。
「何だ? 何してたんだ? 生松呼んでこい」
じいじと常陸丸と三人で、生松に怒られた。まだそんなに動いたら駄目だった。できそうな気がしたんだけど。
背中が痛いのでうつ伏せでベッドに寝る。
「元気になったのはいいが、もっと体を大事にしないと駄目だぞ」
うん。
二人になった部屋で、緋色の声が心地良い。
「俺と結婚するんだろ? 二人でずっと一緒にいるんだから、長生きしないと駄目だ。成人がいなくなったら、俺が悲しいだろ」
うん?
「俺が死んだら、成人はどうする?」
「俺も死ぬ」
「なんで?」
「緋色がいないから」
「なんで、俺がいないと死ぬんだ?」
「……?」
緋色がいないのに生きてても仕方ない。
「成人は俺がいないと、悲しいんだよ。寂しいんだ」
そうか。
「俺も、一緒だ。成人がいないと悲しい。だから、簡単に死んでは駄目だ。生きることを諦めても駄目だ。約束できるな」
「はい」
「よろしい。では」
そう言って、緋色は俺の右手の薬指に指輪をはめる。オレンジと赤の中間のような色味の小さな宝石が埋め込まれている。
「左手無いから、右にはめとけ。天然琥珀、緋色の宝石は、俺の証だ」
そして、お揃いの指輪を自分の左手の薬指にはめた。
きらきら。
乙羽もしてた。
綺麗。
緋色は、俺を抱き上げて、唇に唇を合わせる。長い睫毛をじっと見てたら、
「誓いのキスだ。目を閉じて」
と、緋色が囁いた。
触れあう唇が気持ち良くて、長いことくっついていた。
この口元から、緋色の中に溶けていけたら、いいのに……。
たまに加わる緋色は、すぐに弾き飛ばされてしまう。
あ、常陸丸が吹っ飛んだ。見てたらうずうずしてきて、俺もじいじに回し蹴りをと突っ込む。片目では遠近感が掴みにくくて、少し間合いが近すぎたらしい。じいじがガードした太い腕に太腿が当たって、うまく弾き飛べずにそのまま下に落ちる。くるっと回って着地する筈が、うまくいかずに倒れた。
背中を強かに打った。痛い。
左手の無い分、バランスを崩したらしい。
起き上がれずに空を見てたら、すぐにじいじが抱き上げてくれた。
「驚いた。強いな」
「馬鹿。手加減できないスピードで突っ込むな。速いんだよ、お前。どこを打ったんだ?」
常陸丸が背中をめくる。
「大したことないかな。明日、痛いぞー」
「今、痛い」
「もっと痛くなるの」
「えー、やだ」
「やっぱり目だな。片目では、難しいだろ? 慣れるしかないか」
「うん」
「手の方は、義手つけたらバランス取れるかな」
「重いから、無いことに慣れる方が良い、と聞いたことがあるが」
三人で話してたら、緋色が帰ってきた。じいじの腕の中にいるのを見て、
「どうした?」
と、手を出してくれる。緋色の腕の中に移って、くっついたら、頭がくらくらした。
「何だ? 何してたんだ? 生松呼んでこい」
じいじと常陸丸と三人で、生松に怒られた。まだそんなに動いたら駄目だった。できそうな気がしたんだけど。
背中が痛いのでうつ伏せでベッドに寝る。
「元気になったのはいいが、もっと体を大事にしないと駄目だぞ」
うん。
二人になった部屋で、緋色の声が心地良い。
「俺と結婚するんだろ? 二人でずっと一緒にいるんだから、長生きしないと駄目だ。成人がいなくなったら、俺が悲しいだろ」
うん?
「俺が死んだら、成人はどうする?」
「俺も死ぬ」
「なんで?」
「緋色がいないから」
「なんで、俺がいないと死ぬんだ?」
「……?」
緋色がいないのに生きてても仕方ない。
「成人は俺がいないと、悲しいんだよ。寂しいんだ」
そうか。
「俺も、一緒だ。成人がいないと悲しい。だから、簡単に死んでは駄目だ。生きることを諦めても駄目だ。約束できるな」
「はい」
「よろしい。では」
そう言って、緋色は俺の右手の薬指に指輪をはめる。オレンジと赤の中間のような色味の小さな宝石が埋め込まれている。
「左手無いから、右にはめとけ。天然琥珀、緋色の宝石は、俺の証だ」
そして、お揃いの指輪を自分の左手の薬指にはめた。
きらきら。
乙羽もしてた。
綺麗。
緋色は、俺を抱き上げて、唇に唇を合わせる。長い睫毛をじっと見てたら、
「誓いのキスだ。目を閉じて」
と、緋色が囁いた。
触れあう唇が気持ち良くて、長いことくっついていた。
この口元から、緋色の中に溶けていけたら、いいのに……。
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