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324 誕生日おめでとうの言葉を一番に伝えたい
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「晃くん。誕生日おめでとう」
目が覚めたらやっぱり晃の腕の中で、一太はくふ、と笑ってから顔を上に向け、晃の顎にキスをした。ぐっすり眠っている晃の反応はないが、満足して体を擦り寄せる。
本当は昨夜、日付けが変わるまで起きていて晃に誕生日おめでとうのメールを送りたかった。一太が今年の誕生日にしてもらって、とても嬉しかったからだ。けれど、病み上がりの体は思っていたより弱っていたのか、お風呂に入ったらあっという間に、眠たくて眠たくて堪らなくなってしまった。
「いっちゃん。もう寝よう?」
晃の言葉に、はっと目を開ける時間を繰り返して、とうとう怒られた。
「無理して起きてたら、また熱が出るよ! 普通に生活してて体調を崩してしまうのは仕方ないけど、寝られる時間があるのに寝ずにいて体調を崩すのは駄目だと思う」
「ご、ごめん……」
「なんで寝たくないの?」
ぐ、と言葉に詰まった一太の上着を脱がして自分も上着を脱ぎ、晃は一太を抱きしめて、ベッド下に敷いた布団に一緒に寝転がった。
あ、昨日と同じ……。そう思うと、ふと一太の力が抜けた。緩く暖房が付けてある晃の部屋は寒くはなかったが、布団に入るとやはり暖かさのレベルが違う。寝た後、夜中に暖房が消えるタイマー設定にしてあるからと暖房はそのまま、部屋の電気を消す。すぐにうと、としかけて一太は頭を振った。尋ねられたことに答えていない……。
「あきらくんの、たんじょうび……」
「うん?」
「たんじょうび、おめでとうっていちばんに……」
ああ、駄目だ。寝てしまう。
不意に、ぎゅう、と強く抱きしめられた。
「僕に、一番に、おめでとうって言いたかったの?」
「うん……」
昨日の第一回誕生日パーティで、すでにたくさんたくさん言ってしまったけれど。
でも、本当の誕生日の日に一番に伝えたかった。おめでとうって。誕生日おめでとうって。だって、一太がしてもらってとても嬉しかったから。
「嬉しい。ありがとう」
「ねたら、メール……」
「大丈夫。このまま寝るから、起きてすぐ僕に伝えて」
「え?」
「起きてすぐに言ってくれたら、いっちゃんが絶対に一番最初だよ」
そうなのか。ぼんやりした頭で一太は思った。
「メール見るより先に、いっちゃんの声でおめでとうって言ってもらえたら最高だ。一番好きな人に、一番最初に祝ってもらえて嬉しいよ」
そうして一太は、安心して寝たのだ。
だから今、起きてすぐに、とりあえず一度伝えることができて満足した。もう少ししたら起こして、もう一度言おう。
何度でも。嬉しいことは何度でも伝えていいんだ。
今日も、なんて幸せな一日の始まりなんだろう。
目が覚めたらやっぱり晃の腕の中で、一太はくふ、と笑ってから顔を上に向け、晃の顎にキスをした。ぐっすり眠っている晃の反応はないが、満足して体を擦り寄せる。
本当は昨夜、日付けが変わるまで起きていて晃に誕生日おめでとうのメールを送りたかった。一太が今年の誕生日にしてもらって、とても嬉しかったからだ。けれど、病み上がりの体は思っていたより弱っていたのか、お風呂に入ったらあっという間に、眠たくて眠たくて堪らなくなってしまった。
「いっちゃん。もう寝よう?」
晃の言葉に、はっと目を開ける時間を繰り返して、とうとう怒られた。
「無理して起きてたら、また熱が出るよ! 普通に生活してて体調を崩してしまうのは仕方ないけど、寝られる時間があるのに寝ずにいて体調を崩すのは駄目だと思う」
「ご、ごめん……」
「なんで寝たくないの?」
ぐ、と言葉に詰まった一太の上着を脱がして自分も上着を脱ぎ、晃は一太を抱きしめて、ベッド下に敷いた布団に一緒に寝転がった。
あ、昨日と同じ……。そう思うと、ふと一太の力が抜けた。緩く暖房が付けてある晃の部屋は寒くはなかったが、布団に入るとやはり暖かさのレベルが違う。寝た後、夜中に暖房が消えるタイマー設定にしてあるからと暖房はそのまま、部屋の電気を消す。すぐにうと、としかけて一太は頭を振った。尋ねられたことに答えていない……。
「あきらくんの、たんじょうび……」
「うん?」
「たんじょうび、おめでとうっていちばんに……」
ああ、駄目だ。寝てしまう。
不意に、ぎゅう、と強く抱きしめられた。
「僕に、一番に、おめでとうって言いたかったの?」
「うん……」
昨日の第一回誕生日パーティで、すでにたくさんたくさん言ってしまったけれど。
でも、本当の誕生日の日に一番に伝えたかった。おめでとうって。誕生日おめでとうって。だって、一太がしてもらってとても嬉しかったから。
「嬉しい。ありがとう」
「ねたら、メール……」
「大丈夫。このまま寝るから、起きてすぐ僕に伝えて」
「え?」
「起きてすぐに言ってくれたら、いっちゃんが絶対に一番最初だよ」
そうなのか。ぼんやりした頭で一太は思った。
「メール見るより先に、いっちゃんの声でおめでとうって言ってもらえたら最高だ。一番好きな人に、一番最初に祝ってもらえて嬉しいよ」
そうして一太は、安心して寝たのだ。
だから今、起きてすぐに、とりあえず一度伝えることができて満足した。もう少ししたら起こして、もう一度言おう。
何度でも。嬉しいことは何度でも伝えていいんだ。
今日も、なんて幸せな一日の始まりなんだろう。
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