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300 起きてすることは、永久に同じ……
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頭が痛い。
これは、一番困るやつだ、と一太は思った。素早く動けない。体がしんどい時よりも、無理がきかないのだ。どんな動きをしても頭は動いてしまって、痛みはずっと引かない。それを堪えて動こうとすると、目の前が真っ白になって何も見えなくなってしまったり、目が開けられなくなってしまったりする。見えないと、仕事ができない。
起きた後の手順を、余程しっかりと考えなくてはいけない、と思った一太は、今日の日付けや曜日が分からないことに愕然とした。
曜日が分からなければ、ごみが出せない。曜日を忘れるなんて、一太は今まで一度も無かった。覚えていて、可燃ごみの日だから可燃ごみをまとめなければいけないな、などと考えながら起きるのだから。不燃ごみの日は、少し離れた集積所まで持っていくのに時間がかかるから、早起きしないといけない。
なのに。
そうした、起きてすぐの行動に直結する情報が今、一太の頭に何も入っていない。
なんで?
なんで、なんで、なんで。
熱い息を吐きながら必死で考えるけれど、頭がずきずきと痛むばかり。
昨日の行動を思い出そうとするが、もやがかかったようによく思い出せない。
とりあえず、このままベッドにいても何も進まない。
一太は、痛む頭をこれ以上刺激しないように気をつけながら、ゆっくりゆっくり起き上がった。体まで怠い。どうやら、今日は最悪の体調らしい。何か体調を崩すようなことをしただろうか、と考えるが、昨日の行動がよく思い出せないことを思い出しただけだった。
目を使うと頭痛が酷くなることは経験から知っているので、体を起こすまで目は閉じていた。本当に困ったことになったぞ、と気持ちは焦る。素早く動きそうになっては酷くなる頭痛に苛まれ、だいぶ時間をかけて体を起こした。そっと目を開け、また愕然とした。
曜日が分からないのは痛手だが、とりあえず洗濯、それから朝食の準備、風呂洗い、部屋の掃除、それらの手順は変わらない。一太は、ずっとずっと、そうしてきた。動かず考えていても何も終わらないのだから、とりあえず動きながら、今日の予定と昨日の行動を思い出すしか無い。
そう思って、やっと起きる体勢に入ったというのに。なのに、カーテンの引かれた薄暗い部屋が、どこなのか分からない。
「え?」
きょろ、と頭を動かして、痛みの強さに頭を抱えて呻く。
ああ。本当に、自分はどうしてしまったのだろう。
朝の仕事をしなければ、と最後にはそればかりが一太の頭を占めていた。
「いっちゃん? どうしたの? 頭痛い? トイレ行っておく? 寝てなきゃ駄目だよ」
看病セットを持って部屋に戻った晃に無理やりベッドに戻されるまでずっと、一太は痛む頭を抱えて、朝の仕事の手順ばかり考えていた。
これは、一番困るやつだ、と一太は思った。素早く動けない。体がしんどい時よりも、無理がきかないのだ。どんな動きをしても頭は動いてしまって、痛みはずっと引かない。それを堪えて動こうとすると、目の前が真っ白になって何も見えなくなってしまったり、目が開けられなくなってしまったりする。見えないと、仕事ができない。
起きた後の手順を、余程しっかりと考えなくてはいけない、と思った一太は、今日の日付けや曜日が分からないことに愕然とした。
曜日が分からなければ、ごみが出せない。曜日を忘れるなんて、一太は今まで一度も無かった。覚えていて、可燃ごみの日だから可燃ごみをまとめなければいけないな、などと考えながら起きるのだから。不燃ごみの日は、少し離れた集積所まで持っていくのに時間がかかるから、早起きしないといけない。
なのに。
そうした、起きてすぐの行動に直結する情報が今、一太の頭に何も入っていない。
なんで?
なんで、なんで、なんで。
熱い息を吐きながら必死で考えるけれど、頭がずきずきと痛むばかり。
昨日の行動を思い出そうとするが、もやがかかったようによく思い出せない。
とりあえず、このままベッドにいても何も進まない。
一太は、痛む頭をこれ以上刺激しないように気をつけながら、ゆっくりゆっくり起き上がった。体まで怠い。どうやら、今日は最悪の体調らしい。何か体調を崩すようなことをしただろうか、と考えるが、昨日の行動がよく思い出せないことを思い出しただけだった。
目を使うと頭痛が酷くなることは経験から知っているので、体を起こすまで目は閉じていた。本当に困ったことになったぞ、と気持ちは焦る。素早く動きそうになっては酷くなる頭痛に苛まれ、だいぶ時間をかけて体を起こした。そっと目を開け、また愕然とした。
曜日が分からないのは痛手だが、とりあえず洗濯、それから朝食の準備、風呂洗い、部屋の掃除、それらの手順は変わらない。一太は、ずっとずっと、そうしてきた。動かず考えていても何も終わらないのだから、とりあえず動きながら、今日の予定と昨日の行動を思い出すしか無い。
そう思って、やっと起きる体勢に入ったというのに。なのに、カーテンの引かれた薄暗い部屋が、どこなのか分からない。
「え?」
きょろ、と頭を動かして、痛みの強さに頭を抱えて呻く。
ああ。本当に、自分はどうしてしまったのだろう。
朝の仕事をしなければ、と最後にはそればかりが一太の頭を占めていた。
「いっちゃん? どうしたの? 頭痛い? トイレ行っておく? 寝てなきゃ駄目だよ」
看病セットを持って部屋に戻った晃に無理やりベッドに戻されるまでずっと、一太は痛む頭を抱えて、朝の仕事の手順ばかり考えていた。
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