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151 謝罪は受けても
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「……ガラス代を、弁償すればいいんですか」
「私は! 本当に! 関係ないから。真衣が早織の手を掴んでたんじゃん」
八木教授の言葉に伊東は、ぼそりと呟いた。観念したようにうつむいて。
けれど、渡辺が大きな声で言った言葉に反応して、同じように声を荒らげる。
「は? はああ? 小春、あんただって、早織に色々言って責めてたでしょ」
「でも、ガラスは関係ない!」
パンッと八木教授が手を叩いて、全員の肩がびくんと跳ねた。あっという間に全員の視線を集めた八木教授が、厳しい表情で伊東と渡辺を見る。
「まずは、岸田さんの怪我を心配する言葉は無い? 友達が酷い怪我をしていれば、私ならまずはその怪我の具合が心配だわ。そんな気持ちはないの? 友達でなくても、怪我をしている知り合いを見かけたら、どうしたの? って心配になるものではない?」
「あ、え。あの……」
「そ、それは、心配、ですけど……」
「そう。それならまずは、謝らないとね?」
「え?」
「岸田さんに、謝罪をしないと」
「あ……」
二人は、ぽかり、と口を開けた。
「う、あ。え、と、でも」
「でも?」
「あの」
「岸田さんに怪我をさせてしまったのよね? しかも、そのまま逃げた」
「…………」
「近くで聞いていただけの村瀬くんが、必死で私たちに連絡をしに来て、岸田さんを助けたのよ。あなた達は、どうして連絡してくれなかったのかな?」
「…………」
「駄目だったね。良くなかった。そんな時、どうしたらいい?」
「う……」
伊東が泣き出した。渡辺も、口を引き結んで涙を堪えている。
何故? と一太は思った。
二人が泣くのはおかしい。
「ご、ごめんなさい」
「ごめん……」
二人の泣き声が部屋に響いて、一太は岸田の方を見た。岸田は、複雑な顔で二人を見ている。
「うん……。でも、もう、私に構わないで」
「え……」
「な、なに?」
二人は、涙を浮かべた目で岸田を見る。
「友達だから、彼氏の友達を紹介してほしい、とか、言われるの、迷惑、だから、だから、もう、その、友達……じゃなくていい……」
「は?」
「はああ?」
涙声のまま、責めるような問いかけ。器用だな、と一太はただ、感心した。
「や、何? 何言ってるの?」
「ほんと、やめてよ。そんな、そんな事……」
二人は、泣いていたのが嘘みたいに、ちらちらと松島を見た。
「そ、そういえば、何で松島くんと安倍くんもここに……?」
「ああ。僕のことで揉めたって聞いたから」
「え? いや、そんな。そんな何も揉めたり……」
「僕は今、好きな人がいるから、君たちに好かれても迷惑なんだ。僕が、君たちと付き合ったりすることは決してない。それをしっかり伝えた方がいいと思って同席した。それから、僕のことで、僕の大事な友達に迷惑をかけるのはやめて欲しい。言いたいことがあるなら、直接伝えてくれると嬉しいな」
松島の声は、明るく、でも冷たかった。
「私は! 本当に! 関係ないから。真衣が早織の手を掴んでたんじゃん」
八木教授の言葉に伊東は、ぼそりと呟いた。観念したようにうつむいて。
けれど、渡辺が大きな声で言った言葉に反応して、同じように声を荒らげる。
「は? はああ? 小春、あんただって、早織に色々言って責めてたでしょ」
「でも、ガラスは関係ない!」
パンッと八木教授が手を叩いて、全員の肩がびくんと跳ねた。あっという間に全員の視線を集めた八木教授が、厳しい表情で伊東と渡辺を見る。
「まずは、岸田さんの怪我を心配する言葉は無い? 友達が酷い怪我をしていれば、私ならまずはその怪我の具合が心配だわ。そんな気持ちはないの? 友達でなくても、怪我をしている知り合いを見かけたら、どうしたの? って心配になるものではない?」
「あ、え。あの……」
「そ、それは、心配、ですけど……」
「そう。それならまずは、謝らないとね?」
「え?」
「岸田さんに、謝罪をしないと」
「あ……」
二人は、ぽかり、と口を開けた。
「う、あ。え、と、でも」
「でも?」
「あの」
「岸田さんに怪我をさせてしまったのよね? しかも、そのまま逃げた」
「…………」
「近くで聞いていただけの村瀬くんが、必死で私たちに連絡をしに来て、岸田さんを助けたのよ。あなた達は、どうして連絡してくれなかったのかな?」
「…………」
「駄目だったね。良くなかった。そんな時、どうしたらいい?」
「う……」
伊東が泣き出した。渡辺も、口を引き結んで涙を堪えている。
何故? と一太は思った。
二人が泣くのはおかしい。
「ご、ごめんなさい」
「ごめん……」
二人の泣き声が部屋に響いて、一太は岸田の方を見た。岸田は、複雑な顔で二人を見ている。
「うん……。でも、もう、私に構わないで」
「え……」
「な、なに?」
二人は、涙を浮かべた目で岸田を見る。
「友達だから、彼氏の友達を紹介してほしい、とか、言われるの、迷惑、だから、だから、もう、その、友達……じゃなくていい……」
「は?」
「はああ?」
涙声のまま、責めるような問いかけ。器用だな、と一太はただ、感心した。
「や、何? 何言ってるの?」
「ほんと、やめてよ。そんな、そんな事……」
二人は、泣いていたのが嘘みたいに、ちらちらと松島を見た。
「そ、そういえば、何で松島くんと安倍くんもここに……?」
「ああ。僕のことで揉めたって聞いたから」
「え? いや、そんな。そんな何も揉めたり……」
「僕は今、好きな人がいるから、君たちに好かれても迷惑なんだ。僕が、君たちと付き合ったりすることは決してない。それをしっかり伝えた方がいいと思って同席した。それから、僕のことで、僕の大事な友達に迷惑をかけるのはやめて欲しい。言いたいことがあるなら、直接伝えてくれると嬉しいな」
松島の声は、明るく、でも冷たかった。
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と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
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