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7 穏やかな日々
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それからは毎日、食堂へ通った。一太はうどんを頼み、松島は日替わり定食を頼む。ほどなくして松島はそれに、小鉢のおかずと甘味も付けるようになった。
自分のおかずを、
「味見する?」
と、言っては一太の口に放り込む。満遍なく一口ずつ渡して、最後の甘味は自分が一口食べては一太の口にも運んできた。
一太は、色んな品が味見できるのが嬉しくて、ありがとう、と言っては口を開いていた。温かい出来立てのおかずが美味しくて、思わず顔が綻んでしまう。甘味なんてそれこそ、どれくらいぶりに食べただろう。美味しすぎて、
「うま」
「おいし」
と、一口ごとに言ってしまった気がする。一太は、好みの味というのが自分にもあることを発見した。おかずの中にも、うま、と思わず言ってしまう品がある。
唐揚げはとにかく美味しい。今、好きな食べ物は何かと聞かれたら、唐揚げと答えるだろう。
しかし、ふと気付いた。松島がおかずを付け足しで買っているということは、一太が取ってしまうから足りないのかもしれない。
「あのさ。あの。いつもおかず取ってしまってごめん」
「え? 全然いいよ。美味しそうに食べてくれるの見てるのが好き」
「へ?」
「気にしないで、食べたいものがあれば取って食べたらいいよ」
「あ、でも、そしたら松島くんのが足りなくなってしまう……」
「足りるように買ってるから大丈夫」
「でも、付け足し……」
「味見したかっただけ。甘いものもさ、前から食べたかったけど、一人で一つは甘すぎて食べきれないかな、と思ってたんだ。一緒に食べてくれると嬉しい」
松島は爽やかに笑って言う。一人で一つ食べられないから、一緒に食べよう、と誘ってくれているのか。それなら、喜んで協力しよう。
「分かった」
納得した一太は、やっぱり自分からおかずに手を伸ばすことはできなかったが、
「はい、あーん」
と言って松島に差し出されるおかずは、安心して食べることにした。
食堂に行くと、俺も、と向かい側の席に座ってきて一緒に食べることの多い数少ない男子こと安部剛も、毎日、日替わり定食にうどんやラーメンを付け足しているし、平均的な男子には、日替わり定食だけでは足りないのかもしれない。
お金に余裕ができた時には、唐揚げ定食を注文しよう、と壮大な夢を描く。今のところ、昼食がうどんだけならこのままの家計でやっていけそうで、日々は安定していた。
食堂へ通うようになってから、何となく体も軽い。
一太は、穏やかな六月七月を過ごした。
自分のおかずを、
「味見する?」
と、言っては一太の口に放り込む。満遍なく一口ずつ渡して、最後の甘味は自分が一口食べては一太の口にも運んできた。
一太は、色んな品が味見できるのが嬉しくて、ありがとう、と言っては口を開いていた。温かい出来立てのおかずが美味しくて、思わず顔が綻んでしまう。甘味なんてそれこそ、どれくらいぶりに食べただろう。美味しすぎて、
「うま」
「おいし」
と、一口ごとに言ってしまった気がする。一太は、好みの味というのが自分にもあることを発見した。おかずの中にも、うま、と思わず言ってしまう品がある。
唐揚げはとにかく美味しい。今、好きな食べ物は何かと聞かれたら、唐揚げと答えるだろう。
しかし、ふと気付いた。松島がおかずを付け足しで買っているということは、一太が取ってしまうから足りないのかもしれない。
「あのさ。あの。いつもおかず取ってしまってごめん」
「え? 全然いいよ。美味しそうに食べてくれるの見てるのが好き」
「へ?」
「気にしないで、食べたいものがあれば取って食べたらいいよ」
「あ、でも、そしたら松島くんのが足りなくなってしまう……」
「足りるように買ってるから大丈夫」
「でも、付け足し……」
「味見したかっただけ。甘いものもさ、前から食べたかったけど、一人で一つは甘すぎて食べきれないかな、と思ってたんだ。一緒に食べてくれると嬉しい」
松島は爽やかに笑って言う。一人で一つ食べられないから、一緒に食べよう、と誘ってくれているのか。それなら、喜んで協力しよう。
「分かった」
納得した一太は、やっぱり自分からおかずに手を伸ばすことはできなかったが、
「はい、あーん」
と言って松島に差し出されるおかずは、安心して食べることにした。
食堂に行くと、俺も、と向かい側の席に座ってきて一緒に食べることの多い数少ない男子こと安部剛も、毎日、日替わり定食にうどんやラーメンを付け足しているし、平均的な男子には、日替わり定食だけでは足りないのかもしれない。
お金に余裕ができた時には、唐揚げ定食を注文しよう、と壮大な夢を描く。今のところ、昼食がうどんだけならこのままの家計でやっていけそうで、日々は安定していた。
食堂へ通うようになってから、何となく体も軽い。
一太は、穏やかな六月七月を過ごした。
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