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九月生

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生配信30 病み上がり配信 part2

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「まずは名前から」

 プレイヤーネームを決めていく。

 もちろん、俺は『たき』。

 そのままだ。

 順々に名前を決めていくので、次のプレイヤーである聡太さんの番。

「じゃあ、俺は『てんさい』にしておこうかな」

『てんさいか』
『天才なんだな』
『滝と違うしな』
『滝とは真逆だしな』

 なに、まだサキサキさんと絵茶さんに看病してもらったこと怒ってるの?

 心が狭い奴らだ。

 もちろん俺に推しがいたとしての話なのだが、リスナーさん達同様に言い続ける。

 ………おっと、類は友を呼ぶとはこういうことか!

「じゃあ、私は『びじょ』にしようかな」

 うん、サキサキさん? 美女は美女なんだけど、本当にその名前にするのかな………するんだ。

 最後に絵茶さんなのだが、こっちを見ている。

 何、なんかジト目で見てくるんだけど?

 俺何かしたかな?

 周りを見て見ると、俺と同様に困惑している聡太さんと目が合う。

 アイコンタクトで通じ合う仲なので、聡太さんが何を言いたいのか分かる。

 あの目は「何かしたのか」だな。

 もちろん言葉に出さずに、「いいえ、何も」と答える。

 ええっと、なになに聡太さんの返答は、

 そ・れ・は・お・こ・ら・れ・る・わ。

「………」
 
 うん、通じてたのは俺だけだったみたい。

 聡太さん、送信機能は有っても受信機能が無いポンコツだったわ。

 名前も天才からポンコツに変えればいいのに。

 使えない聡太さんから目を離し、サキサキさんの方を見ると、ニコニコしている。

 何故?

 もう訳が分からないので、絵茶さんにニコッと笑いか「チッ」けると舌打ちが帰ってきましたね。

 何かしてますね、これは。

 舌打ちをした後に、絵茶さんは名前を入力していく。

 ええっと、

「じゃあ、わたしは『がき』で」

「すみませんでした」

 思い出しました。

 今朝のことを言ってるんですね。

 ええ、サキサキさんが『びじょ』と入力した時点で思い出すべきでした。

 でもさ、俺「ガキ」とは言ってないような気がするんだけど?

 鼻で笑った、

「本当にすみませんでした」

 数時間前の自分を殴ってやりたいです。

 そんでもって多分だが、ガキと言ったにはサキサキさんでしょう。

 さっきからクスクス笑ってるもん。

 もちろん、こちらの状況が掴めないリスナーさん達はコメント欄で、

『滝、絵茶さんにガキって言ったんだ』
『お前の方がガキだよ』
『もっと謝って!』
『謝罪動画あげとく?』

 と、俺が言ったみたいになっている。

 まあ、鼻で笑った時点で同罪みたいなものなので弁明はしない。

「なあ、滝? お前」

「ゔうんんん」

「なあ、お前絵茶さんに」

「さて、期間は十年ぐらいでいいですかね」

「なあ、滝よ。質問が」

 察してくれよ、聡太さん!

 執拗に追及してくんなよ!

「じゃあ、そろそろ「滝『ガキって言ったの』って質問来てるけど?」言ってないです。鼻で笑っただけです」

 経緯を知らない聡太さんとリスナーさん達に説明を求められて、説明すること10分。

 俺のプレイヤー名が『たき』から『くず』へと変化し、リスナーさん達の当たりが更に強くなった以外の変化はありませんでした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さて、じゃあ始めますね」

 やっとゲーム配信が出来る。

 今回の目的地は兵庫県の淡路島。もちろんスタート地点は東京駅から。

「じゃあ、くず社長の俺から」

 サイコロを振っていく。

「6出ろ、6出ろ!」

『1こい』
『1!』
『1しか出ない呪いにかかれ!』
『赤マス踏め!』

 コメント欄では、1の文字しか表示されていない。

 しかーし! ここでいい数字を引くのが配信者なのですよ、リスナー諸君。

「よし!」

「「「おお!」」」

 見たか、これが配信者だ。

「本当に1を出すんですね、滝くんは」

「ふぅ、サキサキさん。リスナーさん達の要望を叶えるのが配信者なのですよ」

『きっしょ』
『ざま』
『借金背負ってくれないかな』
『このままビリを要望する』

「ふっ、黙れリスナーさん達」

 クソ、いい出目を出して差を付けたかったのに。

「じゃあ、今度は俺だな」

 次は聡太さん。

「ねぇ、聡太さん一緒に走って、一緒ゴールしよう?」

「近づくな、貧乏神め。一生東京駅の近くをウロウロしてろ」

「誰が貧乏神だ」

 失礼な。お前に出目数が低くなる呪いをかけるぞ!

『それはオモロいな』
『滝自体が貧乏神か』
『確かにな』
『俺たちの貴重な時間を消費させやがって』

 確かにじゃないんよ。まあ、リスナーさん達の貴重な時間を貰っていることは否定できないけど、貧乏神は否定させてくれ。

「おっ、5か。まあいいでしょう、1よりかは」

 サイコロを振って5を出し、先に進む聡太さん。

「チッ、1出ろよ」

 別に羨ましくはないんだよ、本当だよ?

「じゃあ、私も振ります」

『6!6!』
『6しか出ませんよ』
『6以外あり得ない』
『神様6を!』

「君達、俺の時とサキサキさんの時の扱い違い過ぎない?」

『そんなことは』
『まあね』
『いや、、、』
『な訳ないじゃん』

 いや、絶対俺に対してのときだけ辛辣よね。

「おお、6出ました。リスナーさん達が6って言ってくれたおかげですね」

 本当に6を出すサキサキさん。だが、

「いや、運だよ。リスナーさん達のコメントにそんな力はない」

「ええ、でも本当に6出たし、滝くんのときは1を」

「そんな力があったらリスナーさん達の靴舐めてますよ」

 そんな力があるなら舐めた事言わないですよ、俺は。

『そういうところだぞ』
『サキサキさんはマジで天使。滝はクソ野郎』
『リスナーを信じないから、扱い方がクソみたいになる』
『今後もゴミみたいな扱いだから、よろ』

 ゴミはないだろう!

 せめて、生物にしてくれ。

「次はわたしか。ほい!」

『6』
『66666666』
『6しか出ん!』
『絵茶さんに6を』

 そしてリスナーさん達の願いを込めたコメントが流れていく。

 そして、

「はあ⁉︎ 1なんだけど!」

 願いは叶わなかったようだ。

「リスナーさん達、どういうこと?」

「分かったか、リスナーさん達よ。君達にそんな力はない」

『すみません、絵茶さん』
『調子に乗ってました』
『俺らにそんな力はありません』
『勘違いをしてました、すみませんでした』

 1を出した後コメント欄の流れは止まり、絵茶さんの発言後『すみません』のコメントで埋め尽くされる。

 その後も俺とは低い出目しか出てこず、聡太さんは良い出目や悪い出目を交互に出していった。

 サキサキさんはというと、

「これで4回連続6ですよ」

 1人だけガンガン進んでいき、俺らに差をつけて行く。

 しかも、何が凄いって。

 全て青いマスに止まっていることね。

『桃鉄』では青いマスと赤いマス、黄色いマスが存在している。

 青いマスは、所持金が増えていくマス。

 赤いマスは、青とは逆で所持金が減っていくマス。

 黄色いマスは、進行を手助けしてくれるカードのマスなのだ。

 ちなみに、俺と絵茶さんは青いマスと赤いマスを踏んで、ちょいプラスぐらいの所持金。

 聡太さんは「赤マス踏むぐらいなら遠くなってもいい」との事で、赤マスの代わりに黄色いマスを何度か踏んでる。

 そんで、サキサキさんは先程言った通り青いマスしか踏んでないので所持金が、

『3億』
『後1マスで4億になる』
『金持ちか』
『これサキサキさんが勝つんじゃない?』

 1人だけおかしな数字を叩き出している。

「………チート?」

 同意したいが、残念ながら実力なんですよ、絵茶さん。

 もちろん、淡路島に1番に着いたのは言うまでもなくサキサキさんだった。

 そして、ここからが『桃鉄』の醍醐味が始まる。

 の擦り付け合いが。


 

 



 


 

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