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生配信24 感謝、色々と。
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「すぅー」
昼配信後、タバコを吸いながら、ふと思う。
「ふぅ~」
友達が増えたな、と。
始まりは、聡太さんとの繋がりで、サキサキさんこと佐々木美玲さんとコラボ。
次に、佐々木さんに誘われて、佐々木さんと絵茶さんと俺での3人で、エーペックスをプレイして遊んだ。
その次は、エーペックスでのダメージレース。ダメージレースで、ゼロス&ワンスこと笹原夫婦とも出会った。これは絵茶さんのおかげで。
んでもって、今さっきの昼配信。これも絵茶さんの誘いで、レモンさんとシオンさんの女性配信者さんとコラボができ、お近づきになれた。
なんかさ、こういう付き合いって大切なんだなって、今更ながらに思うよ。
だってさ、この前まではさ、配信友達は聡太さんだけで、配信はいつも1人だったんだよ?
それがさ、今ではコラボ配信の方が多くなってさ………なんか夢みたいだよ。
これもそれも全部、聡太さんが友達でいてくれたからなんだけどね。
悩みを聞いてくれて、色々気遣ってくれて、面倒も見てくれる。
本当に凄い人だよ。
これは改めて感謝を伝えなくちゃね。
「ってなわけで、これから聡太さん家に行きますか!」
ん?
昼配信が終わって暇になったから遊びに行くんじゃあないのか、って?
いやいや、感謝を伝えに行くために、聡太さん家に行くんだよ!
決して、暇だからじゃないから!
もう1度言うよ、大事なことだから!
暇だから遊びに行く………わけじゃないからね!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、聡太さん家に着いたわけだが、
「おかしいな、インターフォン押してるのに出てこないや」
さっきまで配信していたので、家に居るのは把握済み。
前にもこんなことがあったような………気のせいだな。
インターフォンに出ない聡太さんに、ラインで「ご飯でもどうですか?」と送る。
今日は奢るつもりで、ここまで来たのだ。
家から出てきてもらわねば困る。
ピコン。
聡太さんから返事が返ってきた。
『本当に飯だけだろうな? 暇だから来たとかじゃあないんだな』
………うーん、これにはなんて返せばいいんだろうか?
ご飯を誘うためにここまで来たのだが、暇を持て余していたのも事実。
………。
「『ご飯だけですよ。俺もそんなに暇じゃあないですよ』っと」
今回はご飯だけにしといてやろう。
ピコン。
『本当だろうな?』
「『本当ですよ!』」
『本当に本当だろうな?』
相変わらず警戒心だけは高いな。
ってか、この人、自分が誘うときは強引なのに、俺が強引に誘うと断ってきそうな感じがあるのなんなの?
「いいからご飯行きましょうよ!」
ラインでは埒があかないので、家の前で叫んでみる。
『叫ぶな! 今準備してるから待ってろ!』
それから10分後、着替えてきた聡太さんと一緒にご飯を食べに行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「悪いな、奢って貰っちゃって」
「いえいえ、俺から誘ったんですから奢りますよ」
今日の晩ご飯はしゃぶしゃぶ。
しゃぶしゃぶってなんであんなに食べれるんだろうね?
牛肉に豚肉にツミレに、びっくりするぐらい食べちゃってさ、肉が薄いからなのかな?
でも、野菜も沢山食べているわけだし、白飯だってさ食べて、〆のラーメンまでいけちゃったんだよ?
しゃぶしゃぶを考えた人は相当頭いい人だね、絶対。
ご飯を食べ終えた俺たちは、お店から歩いて駅へと向かう。
その間、俺と聡太さんは新作のゲームの話や機材の話、自分達の配信についてなどなど、毎回こんな話をしているのだが、案外話のタネは尽きない。
「最近、いろんなゲームに手を出しすぎて、リスナーさん達から『あのゲームの続きはまだか』『1ソフト終わってから新しいゲーム始めろ』とか、めっちゃ怒られるんですよね」
「あるあるだな。気分によってプレイしたいゲームって変わるからな」
「そうなんですよ! まあリスナーさん達も相当ゲームやっている人達なんで、説明すれば許してくれるんですけどね」
「ははは、確かに」
店から大分離れ、そろそろ駅に着くんじゃないかというとき、
「んで、なんで飯に誘ったんだよ? 暇だからって理由じゃあないだろう?」
ああ、
「暇だからですよ」
これは誤魔化したいな。
これで「実は日頃の感謝をしたくて誘いました」って言うのも恥ずかしいというか、ちょっと………いや、めっちゃ恥ずい。
なので、ここは誤魔化されてくれるとありがたいな。
「………」
「………」
「はあ。じゃあ、そういうことにしといてやるよ」
「うっす」
この人は、話すまで待ってくれるタイプの人。そういうところが助かる。
俺のせいで少し気まずい空気が流れる。
話すタネは持っているんだが、こういう空気になると切り出しづらいというか。
ここは俺が責任を持って切り出さなければいけないんだけどね。
話すタネを決め、いざ、口に出そうとすると、
「そういえば、滝。おまえ、今日で20万人突破してたぞ」
「………は? 今なんて?」
「だから! 20万人突破してたって! だから、おめでとう!」
………そんな馬鹿な。
だって、この前見た時は19.5万人で、そのあとすぐに1000人が登録解除押して19.4万人になって、配信後よく確認したら1万人が消えて18.4万人になってたのに?
マジでそん時、俺のリスナー達の結団力半端ないって思ったね。
聡太さんに指摘され、確認すると、
「マジだ! 20万人突破してた!」
これは今日のコラボで新規登録者さんがいたということか?
「うわああ! マジで感謝! これも聡太さんのおかげすっね」
「はあ? なんで、俺?」
言うなら今だな。恥ずかしいという感情は、20万突破という嬉しさによってかき消されている今がチャンス。
「聡太さんとコラボしてから、佐々木さんと繋がりができたじゃないですか? その後もどんどん配信者仲間ができて、念願の20万人突破。これも聡太さんがいてくれたおかげですよ!」
いやあ、マジで嬉しすぎる。
嬉しすぎて、ここでブレイクダンスしたいぐらい。
まあ、出来ないけど。
「何を言ってんだか。それもこれも全部お前の努力で成し得た事なんだから、感謝される謂れはないよ。でも感謝されるのは気分がいいので、受け取っておくけどな」
そう言い、照れ笑いをしながら前を歩く聡太さん。
この人の背中を見ながら思う。
いつか聡太さんみたいな配信者になれれば良いな、と。
昼配信後、タバコを吸いながら、ふと思う。
「ふぅ~」
友達が増えたな、と。
始まりは、聡太さんとの繋がりで、サキサキさんこと佐々木美玲さんとコラボ。
次に、佐々木さんに誘われて、佐々木さんと絵茶さんと俺での3人で、エーペックスをプレイして遊んだ。
その次は、エーペックスでのダメージレース。ダメージレースで、ゼロス&ワンスこと笹原夫婦とも出会った。これは絵茶さんのおかげで。
んでもって、今さっきの昼配信。これも絵茶さんの誘いで、レモンさんとシオンさんの女性配信者さんとコラボができ、お近づきになれた。
なんかさ、こういう付き合いって大切なんだなって、今更ながらに思うよ。
だってさ、この前まではさ、配信友達は聡太さんだけで、配信はいつも1人だったんだよ?
それがさ、今ではコラボ配信の方が多くなってさ………なんか夢みたいだよ。
これもそれも全部、聡太さんが友達でいてくれたからなんだけどね。
悩みを聞いてくれて、色々気遣ってくれて、面倒も見てくれる。
本当に凄い人だよ。
これは改めて感謝を伝えなくちゃね。
「ってなわけで、これから聡太さん家に行きますか!」
ん?
昼配信が終わって暇になったから遊びに行くんじゃあないのか、って?
いやいや、感謝を伝えに行くために、聡太さん家に行くんだよ!
決して、暇だからじゃないから!
もう1度言うよ、大事なことだから!
暇だから遊びに行く………わけじゃないからね!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、聡太さん家に着いたわけだが、
「おかしいな、インターフォン押してるのに出てこないや」
さっきまで配信していたので、家に居るのは把握済み。
前にもこんなことがあったような………気のせいだな。
インターフォンに出ない聡太さんに、ラインで「ご飯でもどうですか?」と送る。
今日は奢るつもりで、ここまで来たのだ。
家から出てきてもらわねば困る。
ピコン。
聡太さんから返事が返ってきた。
『本当に飯だけだろうな? 暇だから来たとかじゃあないんだな』
………うーん、これにはなんて返せばいいんだろうか?
ご飯を誘うためにここまで来たのだが、暇を持て余していたのも事実。
………。
「『ご飯だけですよ。俺もそんなに暇じゃあないですよ』っと」
今回はご飯だけにしといてやろう。
ピコン。
『本当だろうな?』
「『本当ですよ!』」
『本当に本当だろうな?』
相変わらず警戒心だけは高いな。
ってか、この人、自分が誘うときは強引なのに、俺が強引に誘うと断ってきそうな感じがあるのなんなの?
「いいからご飯行きましょうよ!」
ラインでは埒があかないので、家の前で叫んでみる。
『叫ぶな! 今準備してるから待ってろ!』
それから10分後、着替えてきた聡太さんと一緒にご飯を食べに行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「悪いな、奢って貰っちゃって」
「いえいえ、俺から誘ったんですから奢りますよ」
今日の晩ご飯はしゃぶしゃぶ。
しゃぶしゃぶってなんであんなに食べれるんだろうね?
牛肉に豚肉にツミレに、びっくりするぐらい食べちゃってさ、肉が薄いからなのかな?
でも、野菜も沢山食べているわけだし、白飯だってさ食べて、〆のラーメンまでいけちゃったんだよ?
しゃぶしゃぶを考えた人は相当頭いい人だね、絶対。
ご飯を食べ終えた俺たちは、お店から歩いて駅へと向かう。
その間、俺と聡太さんは新作のゲームの話や機材の話、自分達の配信についてなどなど、毎回こんな話をしているのだが、案外話のタネは尽きない。
「最近、いろんなゲームに手を出しすぎて、リスナーさん達から『あのゲームの続きはまだか』『1ソフト終わってから新しいゲーム始めろ』とか、めっちゃ怒られるんですよね」
「あるあるだな。気分によってプレイしたいゲームって変わるからな」
「そうなんですよ! まあリスナーさん達も相当ゲームやっている人達なんで、説明すれば許してくれるんですけどね」
「ははは、確かに」
店から大分離れ、そろそろ駅に着くんじゃないかというとき、
「んで、なんで飯に誘ったんだよ? 暇だからって理由じゃあないだろう?」
ああ、
「暇だからですよ」
これは誤魔化したいな。
これで「実は日頃の感謝をしたくて誘いました」って言うのも恥ずかしいというか、ちょっと………いや、めっちゃ恥ずい。
なので、ここは誤魔化されてくれるとありがたいな。
「………」
「………」
「はあ。じゃあ、そういうことにしといてやるよ」
「うっす」
この人は、話すまで待ってくれるタイプの人。そういうところが助かる。
俺のせいで少し気まずい空気が流れる。
話すタネは持っているんだが、こういう空気になると切り出しづらいというか。
ここは俺が責任を持って切り出さなければいけないんだけどね。
話すタネを決め、いざ、口に出そうとすると、
「そういえば、滝。おまえ、今日で20万人突破してたぞ」
「………は? 今なんて?」
「だから! 20万人突破してたって! だから、おめでとう!」
………そんな馬鹿な。
だって、この前見た時は19.5万人で、そのあとすぐに1000人が登録解除押して19.4万人になって、配信後よく確認したら1万人が消えて18.4万人になってたのに?
マジでそん時、俺のリスナー達の結団力半端ないって思ったね。
聡太さんに指摘され、確認すると、
「マジだ! 20万人突破してた!」
これは今日のコラボで新規登録者さんがいたということか?
「うわああ! マジで感謝! これも聡太さんのおかげすっね」
「はあ? なんで、俺?」
言うなら今だな。恥ずかしいという感情は、20万突破という嬉しさによってかき消されている今がチャンス。
「聡太さんとコラボしてから、佐々木さんと繋がりができたじゃないですか? その後もどんどん配信者仲間ができて、念願の20万人突破。これも聡太さんがいてくれたおかげですよ!」
いやあ、マジで嬉しすぎる。
嬉しすぎて、ここでブレイクダンスしたいぐらい。
まあ、出来ないけど。
「何を言ってんだか。それもこれも全部お前の努力で成し得た事なんだから、感謝される謂れはないよ。でも感謝されるのは気分がいいので、受け取っておくけどな」
そう言い、照れ笑いをしながら前を歩く聡太さん。
この人の背中を見ながら思う。
いつか聡太さんみたいな配信者になれれば良いな、と。
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