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生配信24 嫌がらせ
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「はい、聞こえますか? 音とか大丈夫ですか?」
『聞こえる!』
『こんにちは!』
『こん!』
『こん~!』
「こん! 今日もゲーム配信をしていきまーす。配信者はお馴染みのTakiチャンネルの滝です」
いつもは出だしから自己紹介なのだが、今日は自分の声がリスナーさん達に届いているかどうかが気になり、自己紹介よりも先に聞いてしまった。
まあ、順番なんてどうでも良いんですけどね。
「さて、今日の昼配信はですね、コラボ配信をしていきます」
と、今日の配信内容を伝えるとコメント欄には、『サキサキさん?』とか『サキサキさんとコラボ!』『サキサキさんとしか遊んでなくね?』などなど、サキサキさんの名前が次々と上がってくる。
俺、そんなにサキサキさんと遊んでるかな?
最後にサキサキさんとコラボしたのは………いつだろう? もちろん、俺の家で配信した以外。
……………………忘れた。
でもまあ、最近はしてないよね? てか、今日は違うんだけどね。
まずはリスナーさん達のコメントに訂正しておく。
「今日のコラボ相手は絵茶さんです」
絵茶さんから来たDMの内容をリスナーさん達に伝え、多分人数合わせのために呼ばれたと説明する。
もちろん説明しる前に、絵茶さんにDMの内容をリスナーさん達に伝えていいか訊いたところ、「別に良いよ!」と返ってきたので、包み隠さず喋った。
『まあ確かにね』
『滝、いつも暇してるもんね』
『いつもゴロゴロしてるもん』
『良かったね、遊び相手ができて!』
「ははは、お前らは俺の何を知っているというのだ。まるで、見てきたかの様に呟きやがって!」
『『『実際は?』』』
実際は、だって? そんなの決まってるだろうが!
「ゴロゴロしてるに決まってんじゃん! エゴサとか他の配信者さんの配信を見たりとか、漫画見たりとかしてますよ! だって人間だもの!」
配信外では案外まったり過ごしている。スマホを弄りながら音楽を聴き、眠くなったら寝て、お腹が空いたら何かしら食べる。
そろそろジムとかに通った方が良い様な気………するような、しないような。
まあ、オープニング話はここまでにして。
「そろそろ、絵茶さん達と合流します!」
『はーい』
『はー、、、合流?』
『他にいるの?』
『誰?』
そう言えば他にもいるっていうの忘れてた。まあ、見ててくれれば、分かるでしょ。
リスナーさん達の質問には答えず、合流する。
「お疲れ様です」
「こんん、来たな!」
『絵茶さんだな』
『これは絵茶さん』
『絵茶さんだな』
『絵茶さあああああああん』
何人かコメント欄で発狂している。
そうですよ、現役JKの絵茶さんですよ。
そんでもって、
「初めまして、滝です。今日はよろしくお願いします」
今日初めてコラボするレモンさんとシオンさんに挨拶をする。
「………」
「………」
「………?」
あれ、返事が返ってこない。
ミュートにはなってないよな、絵茶さんは返してくれたし。
ミュートになってないか今一度確認するが、なっていいない。
「すー、初めまして、ですよね? どうも、滝です。よろしくお願いします」
もう1度挨拶を試みるも、
『返事ないね』
『嫌われてるのでは?』
『何かしたな』
『はあ、何をしたんだよ!』
まず、俺を疑ってくるところが俺のリスナーらしい。
と言っても、初めましての彼女達を疑うのも違うような気がする。
………え、もしかして本当に俺のせい?
俺何かした?
急いでTwitterを見返す。
『滝、謝っておけば?』
『何かしたかもしれないしさ』
『一応ね、謝ろう?』
『許してくれるかもしれないよ』
Twitterを見てもレモンさんらしき人のDMやツイートは来ていないし、シオンさんらしき人のDMもツイートも来てない。
もしかして配信中に何かした?
コメントを読まなかったとか、挨拶に来たけど無視しちゃったとか………ありえる。
ウチのコメント欄、荒れたり、リスナーさん同士で話したりするから、コメント欄流れるの早いし、気づかないなんてことも。
『謝っとけ』
『謝ろうよ』
『すみませんって』
『な? 何かやった可能性があるなら謝ろう』
なんか、コメント欄に打たれているコメントが正しい様に見えてきた。
………じゃあ、
「ええっと、その、もしお2人に何かしたのであれば誠に申し訳ございません。故意にやったわけではなく、多分気付かずに何かをしてしまったのだと思うので、どうか許してくだ」
「ただいま、おトイレから戻りましたぁ」
「遅くなってすみません。水を取りに行ってました」
だよね。そうだと思ったよ。
俺、この2人に何もしてないもん。もしかして、トイレかなとは思ったけど、リスナーさん達が『謝れ』っていうから………ってか、絵茶さんは? 知ってたよね、絶対!
知っていたはずの絵茶さんはというと、
「くっ………くくっ、ううぅう」
笑を必死に答えているが、微かに声が漏れている。
あの絵茶さん!
堪えているガキは放って置いて、2人に改めて挨拶をする。
「どうも、滝って言います。本日はよろしくお願いします」
3度目の挨拶にリスナーさん達は、
『同じこと3回も言って、、、ボケてる?』
『聞き飽きた』
『謝ってて草』
『誰に謝ってたんですか? 確認しないからこうなるんですよw』
こいつら、殴りたくなるようなコメントを飛ばしてくるな。
「ああ、どうもですぅ。レモンと言いますぅ、よろしくですぅ」
「初めまして、シオンです」
レモンさんはゆっくり喋るタイプのおっとりとした女性のような感じがする。
シオンさんはさっぱりとしたタイプの女性のようだ。
「今日はよろしくお願いします」
こうしてメンバーが揃い、いよいよ配信が始まる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はい、じゃあメンバーが揃ったのでUNO女子会を始めていこうと思います!」
コラボ企画者の絵茶さんが進行していく。
もちろん、この言葉に俺のリスナーさん達は、
『女?』
『滝は去勢したの?』
『滝、きっつ』
『おい、場違いがいるぞ!』
などなど、至極真っ当なコメントを流してくる。
ねぇ、俺も場違いだと思ってるよ。
場違いだと分かっている上で一応ね、聞いてみよう。
「はい、絵茶さんに質問です」
「はい! なんでしょう、滝さん!」
「なんで男が呼ばれたんでしょうか?」
「んん? ああ、滝さんが呼ばれた理由は、3人集まったけどあと1人足りないねってなって、滝さんを呼んだの!」
うん、予想通り。人数合わせで呼ばれたんだな。でも、助かったか。昼配信の内容を決めてなかったから。
「質問は以上ですか?」
「以上です」
「では、罰ゲームUNOを始めていきます!」
んん、ちょっと待ってね。
「はい、質問です!」
「質問を却下します。では、このコラボ配信の内容を説明していきます」
おっと?
「ルールは簡単です。UNOで4位を取ってしまった人は、1位、2位、3位の順番で質問をしていくので、必ず質問には答えるようにしてください。どんな質問でも例外は無しです」
鬼畜仕様の罰ゲームですね。
「滝さんは気をつけて下さいね?」
んん? 何に気をつけるんだ?
「セクハラはダメですからね!」
「誰がするか!」
この絵茶さんは何を言い出すのやら!
『滝、どんな質問にも例外は無しなんだって』
『滝、期待してるね』
『行けるよな』
『ビビったら負けだぞ』
ちょっとミュートにしてっと。
「おい、俺に死ねって言ってんのか⁉︎ ヤバい質問したら社会的に死ぬだろうが!」
リスナーさん達に言いたいことを言い、ミュートを解除する。
「要するにぃ、負けなければ良いんですよねぇ?」
「簡単」
やる気満々の2人。いや、
「よっしゃ、始めるよ!」
3人か。
罰ゲーム付きUNOが開始される。
『UNO』というのは、カードゲームの一種。
UNOカードには数字カードと文字カードが存在し、赤・青・黄・緑の各4種に色分けがされている。
ルールとしては、1人7枚手札を持ち、前の人が出したカードの同じ色や数字を出していく。
勝利条件は、自身の手札が無くなったら。
もちろん、相手の足を引っ張るためのカードも存在し、そのカード達が文字カードとなっている。
相手にカードを引かせることができる『ドロ2カード』や『ドロ4カード』があったり、『スキップカード』と言って、次の人のターンを文字通りスキップさせるカードなど。
2人から10人で遊べるパーティ用のカードゲームだ。
「よーし、じゃあ、私が親だから私から始めるね!」
みんなでワイワイ仲良くできるはずのカードゲームなのに、何故か俺はワイワイ仲良くできる気がしない。
何でだろうね?
「じゃあ、初手は」
ちなみに順番は、絵茶さん、俺、レモンさん、シオンさんの順。
最初の1巡目は平和に回る、
「ドロ4。んでもって、色は赤!」
わけないよね。
ドロ4カードは、UNOカードで最も強力なカード。出した人は自身の好きな色を宣言し、次の人に4枚カードを引かせ、スキップさせるカード。
そして、1番ムカつくカードでもある。
ここは黙ってカードを引く。
カードを引いた俺はスキップし、次はレモンさん。
「じゃあぁ、私はぁ、これかなぁ?」
そう言って出したカードは………ドロ4。
「チッ」
ですよね、そんな感情になりますよね。
「色はぁ、赤」
「赤なら、ほい!」
今度は数字の8のカード。
これなら俺も出せる。
「じゃあ、同じ赤で5のカード」
このまま少しの間でいいから普通に進めてほしい。
「じゃあぁ、はい。シオンちゃんにはぁ、ドロ2をプレゼント」
レモンさんは、シオンさんに何か恨みでもあるのか?
「それいらないし」
ドロ2を出されたシオンさんは、更にドロ2を重ねて出す。
ドロ2は必ず引かなければならないカードではない。ドロ2を出されたとしても、ドロ2のカードを持っていたら、引かずに出すことができ、次の人に回すことができる。
もちろん、重ねられた分だけ誰かが引かなければならないわけで、
「えっ、私もいらないんだけ、どっ!」
ここにきて更にドロ2。
合計6枚。
これは流石に引いたら負けが濃厚になりそうなので、
「じゃあ、俺も」
絶対に引きたくないので、重ねる。
1周してレモンさんの番。
人を貶めようとするから自分に返ってくるんですよ。
「ええぇ、これは流石に引きたくないわぁ。でも、しょうがない」
そうですよね、始めたのは貴方なんだから、自分で処理して、
「はい、あげるぅ。シオンちゃん」
この人、本当にシオンさんに恨みでもあんの!
ここにきて更に重ねられるドロ2。
合計で10枚引かなければならない。
でも、この流れならもしかしたら、シオンさんも持ってるかも、
「本当に嫌だ。このゲーム嫌い」
持ってませんでした。
これは酷い。あまりに酷すぎてリスナーさん達が、
『エグい』
『レモンさん、、、怖い』
『UNOってこんなに怖かったけ?』
『UNOってホラーゲームだっけ?』
レモンさんのこと怖がってるもん。
「ああ、ここは普通にね」
そうそう、流石にこれ以上ドロー系のカード出したら、何が起こるか分からんから、普通のカードをね。
「うん、それスキップカードだね。絵茶さんって普通のの意味知ってるかな?」
この絵茶さんが!
あとで恐ろしいもん見せてやるからな! 大人舐めんなよ!
「じゃあぁ、今度はぁ」
レモンさん? 分かってるよね?
普通、普通でいいんだよ? じゃないと、レモンさんとシオンさんの間に埋められない亀裂が入ることになるよ。
「ドロ4でぇ、青」
やったわ、この人。
ってか、カード運強すぎない? ドロ4って、UNOのカードに4枚しか入ってないんだよ? それも2枚持ってるって………隣のシオンさんはが可愛そう。
「すん………すん」
………泣いてないよね?
なんか聞こえちゃいけない類の声が入っている気がするんだけど。気のせいだよね?
「ふふふ、シオンちゃん虐めるの楽しぃ」
悪女、悪女がここにいる。
決して関わってはいけないような、悪女がここにいる。
「じゃあ、私は青の3!」
ってか、なんでこの人は普通にプレイできんの!
えっ? 何? ちょっと頭バグってきた。
絵茶さんって本当は冷たい人なの?
焼肉食べに行ったときはそんな感じしなかったけど、素は冷たい人なの?
絵茶さんという人柄に不安を抱いていると、
「次は滝さんの番ですよ! 早く早く!」
こんな状況なのに楽しくUNOしている絵茶さんが急かしてくる。
「いいの、あれ? 放って置いて?」
流石に俺は耐えられない。泣いてそうな人がいるんだもん。
俺んとこのリスナーさん達だって、
『マジ泣きか?』
『事故った?』
『炎上案件じゃないよね?』
『誰か、シオンさんのリスナーさんいる?』
めちゃくちゃ心配してるもん。
「ああ、アレですか」
泣いてるシオンさんをアレ扱いだし。あんなに優しか………たかどうか分からんけど、まあ、冷たくはなかったはずの絵茶さんがこんなに冷たいなんて。
こっちが素なのかもしれ、
「アレはいつもあんな感じです。レモちゃんとシオちゃんはいつもコラボすると、レモちゃんが意地悪しすぎて、シオちゃんは毎回ベソをかくんです。気にしたら負けですよ、滝さん」
ない訳ないよね。信じてたよ、絵茶さん。
そうだよね、泣いてる人いたら心配するほど優しい心を持っている絵茶さんだもんね。
いやあ、危ねぇ。
こんなこと思ってました、なんて口が裂けても言えね。墓場まで持って行かなきゃいけない案件だな。
とまあ、いつも通りならば気にしないほうがいいのか? 多分、気にしない方がいいんだろうな。
じゃあ、俺もUNOを楽しむか。
「じゃあ、黄色の3で、色変で」
こうしてUNOは続いていき、
「はいはい、ウノ!」
「私もぉ、ウノぉ!」
第1回戦目は、
「私の方がぁ、お先ぃ!」
レモンさんが先に上がり、次に絵茶さん。この2人が上がって2周目で、
「あっ、俺も上がりです」
俺も上がってしまった。
もちろんビリは、序盤で大量にカードを引かされたシオンさん。
「うぅ、うぅ、無理だよ。こんなの」
可哀想なのだが、負けは負け。
罰ゲームが開始される。
「まずは1位の私からの質問。んん、迷うけど、これだけは聞きたいのよね」
ぶっ飛んだ質問だけはやめてくれ。リスナーさん達がはしゃぎそうな質問だけは避けたい。なので、
「男がいることを忘れずに。質問内容は考えて下さいね」
センシティブ過ぎる質問は避けてもらいたい、と伝えとく。
「ああ、そうですねぇ。男性がいることを考えると………これがいいかしらねぇ」
ちゃんと伝わったらしく、質問を考えてくれたらしい。
「シオンちゃんのおっぱいのサイズはなんかカ「ちょっと!」ップって、何かしらぁ?」
ええ、ちゃんと伝わったんじゃないの?
「俺、男がいるから質問内容考えてって言いましたよね?」
「だからぁ、男性が喜びそうな質問内容に変えたんじゃない。ほら、シオンちゃん答えてぇ?」
違う! 俺が言った意味は違う!
「なるほど、そういう意味だったのか?」
絵茶さんまで何をって、次この人だから誤解は解かねば!
「絵茶さん、あまり行き過ぎた質問はよろしくないからね。これはマジで言ってるからね!」
「あっ、やっぱりそっちだよね! 危ねぇ!」
こいつもどんな質問をするのやら。
「シオンさんも答えたくなかったら答えなくても「Bカップはある」って、答えるんかい!」
「ルールはルール。必ず答えなければならない。次」
さっきまでベソかいていた奴が、それを言うか?
「じゃあ、次は私だから! うううん、お風呂入ったら先にどこを洗う?」
うんんん、ギリアウトのような気がするけど、これは俺が気にしすぎなのか?
「足の指から洗う」
気にしすぎなのかなぁ?
『足から洗うのか、、、想像できてしまう』
『声からして美女。貧乳美女が足から』
『足からどんどん上に』
『足からってエロくないか?』
気にしすぎの方がいいのかもしれない。
俺はすぐさま、自身のコメント欄に『騒いだ奴からブロックするぞ。本気だ』と打ち込んで、シオンさんに質問する。
「趣味は何ですか?」
「読書にゲーム。あと配信をしながら雑談」
俺が質問したことにより、第1回目のUNOは終わる。そして、
「じゃあ、どんどんやっていきますか!」
第2回目のUNOが始まる。
第2回目のUNOは、シオンさんの逆襲劇。
リバースというカードを使い、順番を逆にし、1回目でやられた事をレモンさんに返し、堂々の1位に。
2位は俺、3位は絵茶さん、ビリはレモンさんになった。
そして罰ゲームなのだが、
「1位の私からの質問。今どんな下着を付けてる? もちろん上下で」
うん、質問のエグさもやり返してる。
「ええっとぉ、ブラは無しで下は紐パンかなぁ? うん、紐パン」
おう、マジで返すんだ。
『えっ、、、』
『あがっ、、、』
『やば、、、』
『げばら、、、』
コメント欄で何人かが死にそうになっている。コメント欄の中にお医者様はいますか⁉︎
これ以上、コメント欄を刺激しないように、普通の質問を。
「趣味はなんですか?」
「エロゲーと1人遊びぃ。あと配信かしらぁ?」
ダメだ、この人。何を言ってもHの世界に持っていこうとしてくる。
『あがっ!』
『ぐはぁ!』
『ごふぅ!』
『ひでぶぅ!』
また何人か死んでしまったのか。
ってか、この人わざとだろ!
「じゃあ私からは、付き合った人の人数は?」
それは、不味いような気がする! 絶対にHの世界に引き込まれる!
「ううん、付き合った人の数はぁ、0人かしらぁ?」
「「ふぇ」」
俺も口からと、今の声的にシオンさんの口から間抜けな声が漏れる。
あれれ、もしかしてキャラ作りのために、そんなHな女性を演じてたんですか?
「ふーん、そうなんだ」
シオンさんの声に何故か、見下しているような感じがするのは気のせいだろうか?
「ええ、そうなのよぉ。お付き合いした人は0人なのよね。それ以外ならいたりするんだけど」
「「ひゅぅ」」
またしても俺とシオンさんから変な声が出る。口からではなく、喉から。
これは触れてはならない女性の類だ。男を弄ぶ悪女のような、そんな気がする。
ここで質問タイムは終わり、次のゲームに。
今度は絵茶さんがビリになってしまった。
「1位は私だからぁ、パンツの色はぁ、何色かしらぁ?」
男がいるんだって言ってんだろうが、バカが!
「今は………ちょっと滝さんは、聞かないでください」
もちろん、ヘッドホンは外しております。
流石に、顔を知っている人の、しかもJKのパンツ事情なんて聞いてはならない。なので、通話アプリから退出する。
『おい!』
『良いところだったのに!』
『何色か聞きたかった!』
『ふざけんな!』
「うっせぇ! 絵茶さんのところ、いや、レモンさんのところのアーカイブでも見てろ! 流石に聞けるか! 知り合いやぞ! 舐めたこと言ってんな!」
こっちの身にもなりやがれ!
退室した俺に通話アプリから招待が届く。多分、終わったのだろう。
「戻りました」
「次は私。男性の体のどこが1番好き?」
これは大丈夫そうだね。
「………強いて言うなら、腹筋が割れている人とか、かな?」
へぇ、あとでサキサキさんに言っといてやろ。
「俺からは、今欲しいものは?」
「新しいPCとデスクトップ!」
とまあ、こんな感じで続いていき、レモンさんのエグい質問やシオンさんの泣きべそ、絵茶さんの楽しそうな声が、配信時間の終わりまで続いていく。
そして、最後のゲームでビリになったのは、俺。
手札が悪すぎて、手に足も出んかった。
順位は1位絵茶さん。2位レモンさん。3位がシオンさんだ。
「私からの質問は、いつ沖縄に行くんですか?」
沖縄? 沖縄ってあのダメージゲームの時の約束だよね? ………ははあん、さてはこの質問をしたいがために、俺を呼んだな?
じゃあ、答えてあげましょう。
「そろそろ企画が立て終わるので、もう間近とだけ言っておきます。今日から2週間は予定を入れないように!」
「はわわわわ! よっしゃあああああ!」
喜んでもらってよかった。沖縄旅行は主に、聡太さんが担当してくれている。だから今、めちゃくちゃあの人忙しいんだよね。
「さてぇ、次は私からぁ。女性のどの部分が好き?」
俺を辱めたいって意思がプンプン匂ってくるな。だが、甘いな。そんな質問で俺が臆すると思ったか!
その質問はな、以前配信で話しておるわい!
なので、
「お尻ですかね。胸より尻派です」
即答しておく。
「あらぁ、珍しい」
そうか? 珍しくも無いような気がするけどな。
さて、難所は過ぎて、最後の1人。
「質問。胸は少しあるけど、お尻は小さい女の子は好き?」
んん、どんな質問?
胸は少しあって、お尻が小さい?
………ロリコン判定しようとしてるのか? 聞いてみるか。
「これってロリコン判定される奴ですか?」
「いいや、されない。成人女性で考えてほしい」
引っかけの質問では無いらしい。なら、
「全然オーケイです」
もちろん、守備範囲だとも。
流石に子供だったら無理だけど、成人女性の場合は全然いけますね。
「本当⁉︎ ならなら、私と結「ブツン」」
ふぅう、なんとか今日も無事に配信を終えることができるな。
「はい、リスナーさん達は今日の昼配信はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました!」
『今、通話切らなかった?』
『強制的に切らなかった?』
『シオンさん何か言ってなかった?』
『大丈夫?』
「はて、何のことか分からないな。じゃあ、皆さん、夜配信もよろしくお願いします!」
そして、急いで配信を切る。
「はぁああ」
タバコを吸いながら、デスクトップを見ると、何故か、さっきのグループ通話のサーバーから着信が何度も何度も掛かってくる。
「すー、はぁああ」
今日のコラボはやばい人たちだったなぁ、軽く振り返り、タバコの火を消して、PCの電源を落とした。
『聞こえる!』
『こんにちは!』
『こん!』
『こん~!』
「こん! 今日もゲーム配信をしていきまーす。配信者はお馴染みのTakiチャンネルの滝です」
いつもは出だしから自己紹介なのだが、今日は自分の声がリスナーさん達に届いているかどうかが気になり、自己紹介よりも先に聞いてしまった。
まあ、順番なんてどうでも良いんですけどね。
「さて、今日の昼配信はですね、コラボ配信をしていきます」
と、今日の配信内容を伝えるとコメント欄には、『サキサキさん?』とか『サキサキさんとコラボ!』『サキサキさんとしか遊んでなくね?』などなど、サキサキさんの名前が次々と上がってくる。
俺、そんなにサキサキさんと遊んでるかな?
最後にサキサキさんとコラボしたのは………いつだろう? もちろん、俺の家で配信した以外。
……………………忘れた。
でもまあ、最近はしてないよね? てか、今日は違うんだけどね。
まずはリスナーさん達のコメントに訂正しておく。
「今日のコラボ相手は絵茶さんです」
絵茶さんから来たDMの内容をリスナーさん達に伝え、多分人数合わせのために呼ばれたと説明する。
もちろん説明しる前に、絵茶さんにDMの内容をリスナーさん達に伝えていいか訊いたところ、「別に良いよ!」と返ってきたので、包み隠さず喋った。
『まあ確かにね』
『滝、いつも暇してるもんね』
『いつもゴロゴロしてるもん』
『良かったね、遊び相手ができて!』
「ははは、お前らは俺の何を知っているというのだ。まるで、見てきたかの様に呟きやがって!」
『『『実際は?』』』
実際は、だって? そんなの決まってるだろうが!
「ゴロゴロしてるに決まってんじゃん! エゴサとか他の配信者さんの配信を見たりとか、漫画見たりとかしてますよ! だって人間だもの!」
配信外では案外まったり過ごしている。スマホを弄りながら音楽を聴き、眠くなったら寝て、お腹が空いたら何かしら食べる。
そろそろジムとかに通った方が良い様な気………するような、しないような。
まあ、オープニング話はここまでにして。
「そろそろ、絵茶さん達と合流します!」
『はーい』
『はー、、、合流?』
『他にいるの?』
『誰?』
そう言えば他にもいるっていうの忘れてた。まあ、見ててくれれば、分かるでしょ。
リスナーさん達の質問には答えず、合流する。
「お疲れ様です」
「こんん、来たな!」
『絵茶さんだな』
『これは絵茶さん』
『絵茶さんだな』
『絵茶さあああああああん』
何人かコメント欄で発狂している。
そうですよ、現役JKの絵茶さんですよ。
そんでもって、
「初めまして、滝です。今日はよろしくお願いします」
今日初めてコラボするレモンさんとシオンさんに挨拶をする。
「………」
「………」
「………?」
あれ、返事が返ってこない。
ミュートにはなってないよな、絵茶さんは返してくれたし。
ミュートになってないか今一度確認するが、なっていいない。
「すー、初めまして、ですよね? どうも、滝です。よろしくお願いします」
もう1度挨拶を試みるも、
『返事ないね』
『嫌われてるのでは?』
『何かしたな』
『はあ、何をしたんだよ!』
まず、俺を疑ってくるところが俺のリスナーらしい。
と言っても、初めましての彼女達を疑うのも違うような気がする。
………え、もしかして本当に俺のせい?
俺何かした?
急いでTwitterを見返す。
『滝、謝っておけば?』
『何かしたかもしれないしさ』
『一応ね、謝ろう?』
『許してくれるかもしれないよ』
Twitterを見てもレモンさんらしき人のDMやツイートは来ていないし、シオンさんらしき人のDMもツイートも来てない。
もしかして配信中に何かした?
コメントを読まなかったとか、挨拶に来たけど無視しちゃったとか………ありえる。
ウチのコメント欄、荒れたり、リスナーさん同士で話したりするから、コメント欄流れるの早いし、気づかないなんてことも。
『謝っとけ』
『謝ろうよ』
『すみませんって』
『な? 何かやった可能性があるなら謝ろう』
なんか、コメント欄に打たれているコメントが正しい様に見えてきた。
………じゃあ、
「ええっと、その、もしお2人に何かしたのであれば誠に申し訳ございません。故意にやったわけではなく、多分気付かずに何かをしてしまったのだと思うので、どうか許してくだ」
「ただいま、おトイレから戻りましたぁ」
「遅くなってすみません。水を取りに行ってました」
だよね。そうだと思ったよ。
俺、この2人に何もしてないもん。もしかして、トイレかなとは思ったけど、リスナーさん達が『謝れ』っていうから………ってか、絵茶さんは? 知ってたよね、絶対!
知っていたはずの絵茶さんはというと、
「くっ………くくっ、ううぅう」
笑を必死に答えているが、微かに声が漏れている。
あの絵茶さん!
堪えているガキは放って置いて、2人に改めて挨拶をする。
「どうも、滝って言います。本日はよろしくお願いします」
3度目の挨拶にリスナーさん達は、
『同じこと3回も言って、、、ボケてる?』
『聞き飽きた』
『謝ってて草』
『誰に謝ってたんですか? 確認しないからこうなるんですよw』
こいつら、殴りたくなるようなコメントを飛ばしてくるな。
「ああ、どうもですぅ。レモンと言いますぅ、よろしくですぅ」
「初めまして、シオンです」
レモンさんはゆっくり喋るタイプのおっとりとした女性のような感じがする。
シオンさんはさっぱりとしたタイプの女性のようだ。
「今日はよろしくお願いします」
こうしてメンバーが揃い、いよいよ配信が始まる。
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「はい、じゃあメンバーが揃ったのでUNO女子会を始めていこうと思います!」
コラボ企画者の絵茶さんが進行していく。
もちろん、この言葉に俺のリスナーさん達は、
『女?』
『滝は去勢したの?』
『滝、きっつ』
『おい、場違いがいるぞ!』
などなど、至極真っ当なコメントを流してくる。
ねぇ、俺も場違いだと思ってるよ。
場違いだと分かっている上で一応ね、聞いてみよう。
「はい、絵茶さんに質問です」
「はい! なんでしょう、滝さん!」
「なんで男が呼ばれたんでしょうか?」
「んん? ああ、滝さんが呼ばれた理由は、3人集まったけどあと1人足りないねってなって、滝さんを呼んだの!」
うん、予想通り。人数合わせで呼ばれたんだな。でも、助かったか。昼配信の内容を決めてなかったから。
「質問は以上ですか?」
「以上です」
「では、罰ゲームUNOを始めていきます!」
んん、ちょっと待ってね。
「はい、質問です!」
「質問を却下します。では、このコラボ配信の内容を説明していきます」
おっと?
「ルールは簡単です。UNOで4位を取ってしまった人は、1位、2位、3位の順番で質問をしていくので、必ず質問には答えるようにしてください。どんな質問でも例外は無しです」
鬼畜仕様の罰ゲームですね。
「滝さんは気をつけて下さいね?」
んん? 何に気をつけるんだ?
「セクハラはダメですからね!」
「誰がするか!」
この絵茶さんは何を言い出すのやら!
『滝、どんな質問にも例外は無しなんだって』
『滝、期待してるね』
『行けるよな』
『ビビったら負けだぞ』
ちょっとミュートにしてっと。
「おい、俺に死ねって言ってんのか⁉︎ ヤバい質問したら社会的に死ぬだろうが!」
リスナーさん達に言いたいことを言い、ミュートを解除する。
「要するにぃ、負けなければ良いんですよねぇ?」
「簡単」
やる気満々の2人。いや、
「よっしゃ、始めるよ!」
3人か。
罰ゲーム付きUNOが開始される。
『UNO』というのは、カードゲームの一種。
UNOカードには数字カードと文字カードが存在し、赤・青・黄・緑の各4種に色分けがされている。
ルールとしては、1人7枚手札を持ち、前の人が出したカードの同じ色や数字を出していく。
勝利条件は、自身の手札が無くなったら。
もちろん、相手の足を引っ張るためのカードも存在し、そのカード達が文字カードとなっている。
相手にカードを引かせることができる『ドロ2カード』や『ドロ4カード』があったり、『スキップカード』と言って、次の人のターンを文字通りスキップさせるカードなど。
2人から10人で遊べるパーティ用のカードゲームだ。
「よーし、じゃあ、私が親だから私から始めるね!」
みんなでワイワイ仲良くできるはずのカードゲームなのに、何故か俺はワイワイ仲良くできる気がしない。
何でだろうね?
「じゃあ、初手は」
ちなみに順番は、絵茶さん、俺、レモンさん、シオンさんの順。
最初の1巡目は平和に回る、
「ドロ4。んでもって、色は赤!」
わけないよね。
ドロ4カードは、UNOカードで最も強力なカード。出した人は自身の好きな色を宣言し、次の人に4枚カードを引かせ、スキップさせるカード。
そして、1番ムカつくカードでもある。
ここは黙ってカードを引く。
カードを引いた俺はスキップし、次はレモンさん。
「じゃあぁ、私はぁ、これかなぁ?」
そう言って出したカードは………ドロ4。
「チッ」
ですよね、そんな感情になりますよね。
「色はぁ、赤」
「赤なら、ほい!」
今度は数字の8のカード。
これなら俺も出せる。
「じゃあ、同じ赤で5のカード」
このまま少しの間でいいから普通に進めてほしい。
「じゃあぁ、はい。シオンちゃんにはぁ、ドロ2をプレゼント」
レモンさんは、シオンさんに何か恨みでもあるのか?
「それいらないし」
ドロ2を出されたシオンさんは、更にドロ2を重ねて出す。
ドロ2は必ず引かなければならないカードではない。ドロ2を出されたとしても、ドロ2のカードを持っていたら、引かずに出すことができ、次の人に回すことができる。
もちろん、重ねられた分だけ誰かが引かなければならないわけで、
「えっ、私もいらないんだけ、どっ!」
ここにきて更にドロ2。
合計6枚。
これは流石に引いたら負けが濃厚になりそうなので、
「じゃあ、俺も」
絶対に引きたくないので、重ねる。
1周してレモンさんの番。
人を貶めようとするから自分に返ってくるんですよ。
「ええぇ、これは流石に引きたくないわぁ。でも、しょうがない」
そうですよね、始めたのは貴方なんだから、自分で処理して、
「はい、あげるぅ。シオンちゃん」
この人、本当にシオンさんに恨みでもあんの!
ここにきて更に重ねられるドロ2。
合計で10枚引かなければならない。
でも、この流れならもしかしたら、シオンさんも持ってるかも、
「本当に嫌だ。このゲーム嫌い」
持ってませんでした。
これは酷い。あまりに酷すぎてリスナーさん達が、
『エグい』
『レモンさん、、、怖い』
『UNOってこんなに怖かったけ?』
『UNOってホラーゲームだっけ?』
レモンさんのこと怖がってるもん。
「ああ、ここは普通にね」
そうそう、流石にこれ以上ドロー系のカード出したら、何が起こるか分からんから、普通のカードをね。
「うん、それスキップカードだね。絵茶さんって普通のの意味知ってるかな?」
この絵茶さんが!
あとで恐ろしいもん見せてやるからな! 大人舐めんなよ!
「じゃあぁ、今度はぁ」
レモンさん? 分かってるよね?
普通、普通でいいんだよ? じゃないと、レモンさんとシオンさんの間に埋められない亀裂が入ることになるよ。
「ドロ4でぇ、青」
やったわ、この人。
ってか、カード運強すぎない? ドロ4って、UNOのカードに4枚しか入ってないんだよ? それも2枚持ってるって………隣のシオンさんはが可愛そう。
「すん………すん」
………泣いてないよね?
なんか聞こえちゃいけない類の声が入っている気がするんだけど。気のせいだよね?
「ふふふ、シオンちゃん虐めるの楽しぃ」
悪女、悪女がここにいる。
決して関わってはいけないような、悪女がここにいる。
「じゃあ、私は青の3!」
ってか、なんでこの人は普通にプレイできんの!
えっ? 何? ちょっと頭バグってきた。
絵茶さんって本当は冷たい人なの?
焼肉食べに行ったときはそんな感じしなかったけど、素は冷たい人なの?
絵茶さんという人柄に不安を抱いていると、
「次は滝さんの番ですよ! 早く早く!」
こんな状況なのに楽しくUNOしている絵茶さんが急かしてくる。
「いいの、あれ? 放って置いて?」
流石に俺は耐えられない。泣いてそうな人がいるんだもん。
俺んとこのリスナーさん達だって、
『マジ泣きか?』
『事故った?』
『炎上案件じゃないよね?』
『誰か、シオンさんのリスナーさんいる?』
めちゃくちゃ心配してるもん。
「ああ、アレですか」
泣いてるシオンさんをアレ扱いだし。あんなに優しか………たかどうか分からんけど、まあ、冷たくはなかったはずの絵茶さんがこんなに冷たいなんて。
こっちが素なのかもしれ、
「アレはいつもあんな感じです。レモちゃんとシオちゃんはいつもコラボすると、レモちゃんが意地悪しすぎて、シオちゃんは毎回ベソをかくんです。気にしたら負けですよ、滝さん」
ない訳ないよね。信じてたよ、絵茶さん。
そうだよね、泣いてる人いたら心配するほど優しい心を持っている絵茶さんだもんね。
いやあ、危ねぇ。
こんなこと思ってました、なんて口が裂けても言えね。墓場まで持って行かなきゃいけない案件だな。
とまあ、いつも通りならば気にしないほうがいいのか? 多分、気にしない方がいいんだろうな。
じゃあ、俺もUNOを楽しむか。
「じゃあ、黄色の3で、色変で」
こうしてUNOは続いていき、
「はいはい、ウノ!」
「私もぉ、ウノぉ!」
第1回戦目は、
「私の方がぁ、お先ぃ!」
レモンさんが先に上がり、次に絵茶さん。この2人が上がって2周目で、
「あっ、俺も上がりです」
俺も上がってしまった。
もちろんビリは、序盤で大量にカードを引かされたシオンさん。
「うぅ、うぅ、無理だよ。こんなの」
可哀想なのだが、負けは負け。
罰ゲームが開始される。
「まずは1位の私からの質問。んん、迷うけど、これだけは聞きたいのよね」
ぶっ飛んだ質問だけはやめてくれ。リスナーさん達がはしゃぎそうな質問だけは避けたい。なので、
「男がいることを忘れずに。質問内容は考えて下さいね」
センシティブ過ぎる質問は避けてもらいたい、と伝えとく。
「ああ、そうですねぇ。男性がいることを考えると………これがいいかしらねぇ」
ちゃんと伝わったらしく、質問を考えてくれたらしい。
「シオンちゃんのおっぱいのサイズはなんかカ「ちょっと!」ップって、何かしらぁ?」
ええ、ちゃんと伝わったんじゃないの?
「俺、男がいるから質問内容考えてって言いましたよね?」
「だからぁ、男性が喜びそうな質問内容に変えたんじゃない。ほら、シオンちゃん答えてぇ?」
違う! 俺が言った意味は違う!
「なるほど、そういう意味だったのか?」
絵茶さんまで何をって、次この人だから誤解は解かねば!
「絵茶さん、あまり行き過ぎた質問はよろしくないからね。これはマジで言ってるからね!」
「あっ、やっぱりそっちだよね! 危ねぇ!」
こいつもどんな質問をするのやら。
「シオンさんも答えたくなかったら答えなくても「Bカップはある」って、答えるんかい!」
「ルールはルール。必ず答えなければならない。次」
さっきまでベソかいていた奴が、それを言うか?
「じゃあ、次は私だから! うううん、お風呂入ったら先にどこを洗う?」
うんんん、ギリアウトのような気がするけど、これは俺が気にしすぎなのか?
「足の指から洗う」
気にしすぎなのかなぁ?
『足から洗うのか、、、想像できてしまう』
『声からして美女。貧乳美女が足から』
『足からどんどん上に』
『足からってエロくないか?』
気にしすぎの方がいいのかもしれない。
俺はすぐさま、自身のコメント欄に『騒いだ奴からブロックするぞ。本気だ』と打ち込んで、シオンさんに質問する。
「趣味は何ですか?」
「読書にゲーム。あと配信をしながら雑談」
俺が質問したことにより、第1回目のUNOは終わる。そして、
「じゃあ、どんどんやっていきますか!」
第2回目のUNOが始まる。
第2回目のUNOは、シオンさんの逆襲劇。
リバースというカードを使い、順番を逆にし、1回目でやられた事をレモンさんに返し、堂々の1位に。
2位は俺、3位は絵茶さん、ビリはレモンさんになった。
そして罰ゲームなのだが、
「1位の私からの質問。今どんな下着を付けてる? もちろん上下で」
うん、質問のエグさもやり返してる。
「ええっとぉ、ブラは無しで下は紐パンかなぁ? うん、紐パン」
おう、マジで返すんだ。
『えっ、、、』
『あがっ、、、』
『やば、、、』
『げばら、、、』
コメント欄で何人かが死にそうになっている。コメント欄の中にお医者様はいますか⁉︎
これ以上、コメント欄を刺激しないように、普通の質問を。
「趣味はなんですか?」
「エロゲーと1人遊びぃ。あと配信かしらぁ?」
ダメだ、この人。何を言ってもHの世界に持っていこうとしてくる。
『あがっ!』
『ぐはぁ!』
『ごふぅ!』
『ひでぶぅ!』
また何人か死んでしまったのか。
ってか、この人わざとだろ!
「じゃあ私からは、付き合った人の人数は?」
それは、不味いような気がする! 絶対にHの世界に引き込まれる!
「ううん、付き合った人の数はぁ、0人かしらぁ?」
「「ふぇ」」
俺も口からと、今の声的にシオンさんの口から間抜けな声が漏れる。
あれれ、もしかしてキャラ作りのために、そんなHな女性を演じてたんですか?
「ふーん、そうなんだ」
シオンさんの声に何故か、見下しているような感じがするのは気のせいだろうか?
「ええ、そうなのよぉ。お付き合いした人は0人なのよね。それ以外ならいたりするんだけど」
「「ひゅぅ」」
またしても俺とシオンさんから変な声が出る。口からではなく、喉から。
これは触れてはならない女性の類だ。男を弄ぶ悪女のような、そんな気がする。
ここで質問タイムは終わり、次のゲームに。
今度は絵茶さんがビリになってしまった。
「1位は私だからぁ、パンツの色はぁ、何色かしらぁ?」
男がいるんだって言ってんだろうが、バカが!
「今は………ちょっと滝さんは、聞かないでください」
もちろん、ヘッドホンは外しております。
流石に、顔を知っている人の、しかもJKのパンツ事情なんて聞いてはならない。なので、通話アプリから退出する。
『おい!』
『良いところだったのに!』
『何色か聞きたかった!』
『ふざけんな!』
「うっせぇ! 絵茶さんのところ、いや、レモンさんのところのアーカイブでも見てろ! 流石に聞けるか! 知り合いやぞ! 舐めたこと言ってんな!」
こっちの身にもなりやがれ!
退室した俺に通話アプリから招待が届く。多分、終わったのだろう。
「戻りました」
「次は私。男性の体のどこが1番好き?」
これは大丈夫そうだね。
「………強いて言うなら、腹筋が割れている人とか、かな?」
へぇ、あとでサキサキさんに言っといてやろ。
「俺からは、今欲しいものは?」
「新しいPCとデスクトップ!」
とまあ、こんな感じで続いていき、レモンさんのエグい質問やシオンさんの泣きべそ、絵茶さんの楽しそうな声が、配信時間の終わりまで続いていく。
そして、最後のゲームでビリになったのは、俺。
手札が悪すぎて、手に足も出んかった。
順位は1位絵茶さん。2位レモンさん。3位がシオンさんだ。
「私からの質問は、いつ沖縄に行くんですか?」
沖縄? 沖縄ってあのダメージゲームの時の約束だよね? ………ははあん、さてはこの質問をしたいがために、俺を呼んだな?
じゃあ、答えてあげましょう。
「そろそろ企画が立て終わるので、もう間近とだけ言っておきます。今日から2週間は予定を入れないように!」
「はわわわわ! よっしゃあああああ!」
喜んでもらってよかった。沖縄旅行は主に、聡太さんが担当してくれている。だから今、めちゃくちゃあの人忙しいんだよね。
「さてぇ、次は私からぁ。女性のどの部分が好き?」
俺を辱めたいって意思がプンプン匂ってくるな。だが、甘いな。そんな質問で俺が臆すると思ったか!
その質問はな、以前配信で話しておるわい!
なので、
「お尻ですかね。胸より尻派です」
即答しておく。
「あらぁ、珍しい」
そうか? 珍しくも無いような気がするけどな。
さて、難所は過ぎて、最後の1人。
「質問。胸は少しあるけど、お尻は小さい女の子は好き?」
んん、どんな質問?
胸は少しあって、お尻が小さい?
………ロリコン判定しようとしてるのか? 聞いてみるか。
「これってロリコン判定される奴ですか?」
「いいや、されない。成人女性で考えてほしい」
引っかけの質問では無いらしい。なら、
「全然オーケイです」
もちろん、守備範囲だとも。
流石に子供だったら無理だけど、成人女性の場合は全然いけますね。
「本当⁉︎ ならなら、私と結「ブツン」」
ふぅう、なんとか今日も無事に配信を終えることができるな。
「はい、リスナーさん達は今日の昼配信はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました!」
『今、通話切らなかった?』
『強制的に切らなかった?』
『シオンさん何か言ってなかった?』
『大丈夫?』
「はて、何のことか分からないな。じゃあ、皆さん、夜配信もよろしくお願いします!」
そして、急いで配信を切る。
「はぁああ」
タバコを吸いながら、デスクトップを見ると、何故か、さっきのグループ通話のサーバーから着信が何度も何度も掛かってくる。
「すー、はぁああ」
今日のコラボはやばい人たちだったなぁ、軽く振り返り、タバコの火を消して、PCの電源を落とした。
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