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生配信22 サキサキさんのリスナーだな
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「どうも、今日もゲーム配信。配信者はお馴染み、Takiチャンネルの滝です!」
『今度はお前か』
『さっきまでそのPCでサキサキさんが配信してたな』
『昨日は楽しかったらしいですね?クソが』
『サキサキさんは帰ったの?』
とまあ、僻み地味たコメント欄があるので、開始早々煽って行こうかと思う。
「僻み? 妬み? どっち?」
『殺すぞ』
『やっちまうぞ!』
『炎上させるぞ!』
『僻んでねぇし!』
「はいはい、言いたいことは聡太さんへお願いしますね」
『今の俺の気持ちを送ってやる! 聡太さんに』
『あああ、俺を怒らせたな! この気持ちは聡太さんへ送らせていただくからな!』
『滝の悪口たくさん送ろう』
『聡太さん、可愛そう、、、俺も送ってくる』
はい、聡太さんのTwitterはDMで荒れると。そして、俺はまたドヤされると。
本当は、人様に迷惑をかけるような事をするのは駄目。子供でも大人でも。
でも、これは俺と聡太さんだから出来る悪ふざけ。
この後、倍返しで何か返ってくるには確か。なので、それを楽しく待とうと思う。
とまあ、このことは置いといて、今日の配信について話さなきゃ行けないことがある。
「コメント欄にね、『サキサキさんは帰ったのか』っていう質問があったので答えますが、まだ帰ってません。今、隣にいます」
ってなことで、マイクをサキサキさんに向け「挨拶、挨拶」と促す。
「今来た皆さん、さっき私の配信を見てくれた皆さん。どうも、サキサキチャンネルのサキサキです! よろ・しく・ね」
『なんでまだいるの?』
『2人とも付き合ってるの?』
『滝、死にたいの?』
『離れて、今すぐ離れて!』
とまあ、サキサキさんがいることを伝えると、さっきも荒れていたコメント欄が、更に荒れる。
主に俺に対しての暴言で。
「ねぇ、リスナーさんたち? 他の配信者さんのコメント欄でもこんな暴言吐くの? 俺のコメント欄だけだよね?」
少し気になったので、訊いてみる。
『俺は滝の配信以外暴言吐かない』
『滝だけ』
『滝のコメント欄は暴言のゴミ箱って聡太さんが言ってたから、暴言を吐き捨ててる』
『滝のコメント欄はいつも荒れてるね? 炎上してんのかってぐらい荒れてて草』
だよね、俺のところだけだよね。
「ちなみに、俺は基本的にはコメント自由にしてるけど、リスナーさん同士で喧嘩したら、ブロックするかね。それだけはやめてね。あと、これは炎上してるのかな? それと、聡太さんが俺のコメント欄を暴言のゴミ箱って言った動画をDMで送ってください」
まあ、いつも俺の悪口が書かれているコメント欄だから炎上してるように見えるよな。
隣にいるサキサキさんだって、「凄い暴言の数! 燃えてるの? 炎上してるの?」って小声で言ってるもん。
もちろん、この小声をマイクが拾っているため、
『いや、これは炎上じゃない』
『ただのおふざけ』
『暴言そんなに続かないから安心して』
『燃えてないよ! 滝が許してくれそうな範囲で暴言吐いてるだけ。みんな本気じゃない死ね』
サキサキさんを安心させるために、優しさを感じるコメントが流れ続け………おい、1人だけ誤変換してる奴いるぞ! お前、俺に『死ね』とか打ってるせいで『し』って打つだけで『死ね』って出てくる奴だな。
とまあ、サキサキさんを安心させるコメントのおかげで、サキサキさんも安心した様子。
なので、伝えなくては行けないことを、続けて話していく。
「サキサキさんが何故帰っていないのかはわかりませんが、サキサキさんの要望で、ここでコラボをして行こうと思います」
『ん? その言い方は帰って欲しいのか?』
『なんか帰って欲しい感ない?』
『なんでそんな言い方するの?』
『サキサキさんとコラボいいじゃん。なんでそんなに嫌なの?』
『『『『『サキサキさん嫌いなの?』』』』』
「いや、帰って欲しいか、帰って欲しくないか、で言うと帰って欲しいよ? だって、勘違いしちゃうリスナーさんとか出てきそうじゃん! 実際、勘違いしちゃったリスナーさんいるしね」
ちょっと遡ると『2人とも付き合ってる?』ってコメントしたリスナーさんいるし。
それに、
「俺のコメント欄は基本荒れてるから、勘違いしたリスナーさんが暴言吐いたぐらいじゃあ落ち込まないけど、サキサキさんは違うでしょ?」
サキサキさんのリスナーさん達の中には、サキサキさんに幻想を抱いている奴とか居そうだし。そういう人らが勘違いして、炎上させたら………ねぇ?
「だから、配信前に帰った方が良いですよ、帰りなさいとは言った。本人に」
横にいるサキサキさんには、危機感が無い様子。ってか、俺と付き合ってるって噂流れたら嫌じゃないのかな?
毎回コメント欄が荒れているように見える配信者の恋人。俺だったら、少し嫌だな。
サキサキさんの考えは分からないので、ここからはサキサキさんに答えてもらう。
って事で、マイクをもう1度向ける。
「確かに、滝くんには「帰りなさい」って言われたけど、配信者仲間の家で一緒に配信するっていう夢があるので、それを叶えようかなと」
『それじゃあ仕方ない!』
『夢って大事だね!』
『サキサキさんの夢なら仕方ない』
『滝は少し喋らないでください。サキサキさんはもっと喋ってください』
『ってか、質問に答えろよ! サキサキさんは嫌いなのか、滝?』
「あっ、そうだった! 滝くん、私のこと嫌い? それとも好き?」
まあ、サキサキさんに帰って欲しかった理由は、勘違いだけではなく、こういった悪ふざけをするからなんだよな。
なんて答えても、リスナーさん達に角が立ちそう。
『おい、どうなんだよ!』
『サキサキさんが訊いてるだろ? 答えろよ!』
『おい、無視すなよ?』
『悲しませるような事言ったら、どうなるか分かるよな?』
『あっ、でも俺らをイラつかせないでね?』
クソが! 八方塞がりじゃねぇか!
横では首を傾げて上目遣いで見てくる美女が、画面越しには荒れ狂った狂信者どもがいやがる。
………仕方ない。ここは覚悟を決めて、
「ではね、今日プレイするゲームはスマブラ。スマブラを俺とサキサキさん、リスナーさん達とでやって行こうと思います」
話題転換をして行こう。
『スマブラ』
『今回はスマブラか!』
『サキサキさんとスマブラできるなんて、、、嬉し!』
『サキサキさんとスマブラだ!』
『滝の配信の中で1番嬉しい企画だ!』
失礼なコメントが流れるが、触れずに行こう。話題を変えられただけで良しとする。
「………滝くんのバカ!」
1人だけ不機嫌な人が居るが、仕方なし。
「サキサキさんはスマブラの経験どれぐらいあります?」
今回スマブラを選んだ理由は、任天堂Switchが2台、家にあったため。ただそれだけ。
1台は買ったのだが、もう1台は何かの懸賞で当たり、放置されていた。
今回、その放置されていたSwitchをサキサキさんに使って貰う。ちなみに、スマブラはインストール済みだ。
「スマブラっていうか、格ゲー自体初心者です。なので、一切触った事ないです!」
なるほど、格ゲー経験ゼロですか。じゃあ、練習から入った方が良い感じだな。
「じゃあ、まずはトレーニングで操作方法の確認から行きますか。そのあと、対戦ルームを作って遊びましょう」
トレーニングから始めたいので、まずは1台のSwitchを使い、教えていく。
任天堂Switchのコントローラーをサキサキさんに渡してから、配信画面を待機中の絵からゲーム画面へと変えていく。
「じゃあ、操作方法を教えますね」
トレーニングルームへ行き、スマブラ特有の顔のある白いサンドバッグを叩いて教えていく。
「少し時間を置いてから、リスナー参加型を始めます」
「もう少し待っててね? すぐ操作方法覚えるから」
やる気満々なサキサキさんにどんどん教えていく。その間、コメント欄では、
『頑張ってね、サキサキさん!』
『ゆっくりで良いよ』
『慣れるまで待つ!』
『頑張れ!』
応援コメントだけが流れていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
多少は時間が掛かったが、簡単な操作方法を覚えたサキサキさん。
次に覚えなくてはいけないのが、使うキャラの攻撃またコンボ技。
まだ使うキャラを決めてないサキサキさんは、数ある中のキャラから1体を選ぶのに苦労する。
「ああ、『ペルソナ』のジョーカーも良いし、『ポケモン』のピチュウも可愛い! わあ、『星のカービー』のカービー………カービーにしようかな」
操作方法の確認は、マリオを使って貰っていた。マリオの攻撃ってシンプルだから初心者に教えるのに適しているんだよね、俺の感想だけど。
今回、数ある中から選ばれたキャラは『星のカービー』のカービーさんとなった。
キャラをカービーに変更し、またトレーニングルームへと向かう。
まず、カービーの操作方法を教えていく。通常攻撃からリングアウト時の復帰の仕方まで。
ここまで教えるのに20分は掛かった。
次に教えるのはカービーの醍醐味で、カービーの面白いところである。
俺はも選択したクッパを使い、サキサキさんが選んだカービーの前に立つ。
そして、
「クッパを吸い込んで、ごっくんしてください!」
俺の言われた通りに、サキサキさんが操作をすると、
「わあああああああ! 凄い、凄いですよ!」
カービーの見た目が変わったことに驚き、驚きのあまり俺を揺さぶり始める。
「カービーは吸い込んで吸収したキャラの技なんか使えたりするので面白いし、見た目も多少変わるので見ても楽しめます」
クッパを吸収したおかげで、見た目が変わり、クッパ仕様となったカービー。そのカービーを使い、サンドバッグを殴っていく。
他のキャラを吸収したカービーを見せて上げたいのだが、全て見せるとなると時間が掛かってしまうので、それはまた今度。
一応は戦えるようになったので、俺はそのまま使っているSwitchで対戦ルームを作り、サキサキさんには放置されていたSwitchを使って貰って、対戦ルームに入って貰う。
「あっ、出来ました! リングの上に上がりますね?」
無事、対戦ルームに入れたサキサキさんを見て、今度はリスナーさん達を招待する。
今回の対戦ルームは、優先ルールを使って建てた。
優先ルールとは、ルームを建てた人が対戦形式や対戦方法、ステージ、アイテムなどを決め、そのルールに沿って遊ばせるもの。
用は、ルームの主がゲームマスター。ゲームマスターの好きなように、戦いを設定できる。
なので今回は、
「今回の対戦形式はチームバトルにして、ストック制を起用します。対戦時間は3分。ステージに関してなのですが、サキサキさんが初心者なので、ギミックなしにしました。もちろん、アイテムも無しです」
サキサキさんに優しいように設定したつもり。もちろん、サキサキさんのために行ったため、
『オーケイ!』
『ギミックとアイテムまでは覚えられんよな』
『ステージギミックは、ない方が優しい』
『初心者のサキサキさんには良いかもね』
と、いつもならば『何ビビってんだよ!』『全てありありだろうが!』『怖いんですか? 仕方ないですよね、弱いんですから』などなどの煽り文句を言ってくるのだが、サキサキさんの事になると、甘々なになるリスナーさんたち。
ちなみに、言っておくが、
「チーム戦なので俺とサキサキさんがペアで、リスナーさん達がペアになります。なので、君たちがサキサキさんとペアになることはありません」
淡い希望は、今ここで潰しておく。戦いはもう始まってるんだよ!
『ふざけんな!』
『サキサキさんとペア組ませろ!』
『ってか、3対1でよくね?』
『滝、ぶっ殺すぞ!』
ははははははははは、何とでも言いたまえ!
「サキサキさんとペアを組みたかったら、声を出してサキサキさんにお願いしたまえ! まあ、画面越しのリスナーさん達には無理だろうけどね!」
リスナーさん達を煽りに煽っていく。
ってな事で、チームは俺とサキサキさん。リスナーさん2人となる。
リスナーさん達を既に招待しており、リスナー参加型のいつものルールを伝えとく。
「良いですか! 喧嘩は無しで、プレイしているリスナーさんに対しての暴言も無し。1度戦ったリスナーさんはルームから出てもらい、まだ戦ってないリスナーさんが入ってきてください。全員終わったら2週目行きましょう」
『いつものね』
『不正は無しで』
『了解!』
『1度やったら抜ける。これ常識!』
何度もこのルールを使っているおかげで、理解が早い。
ってな事で、準備が整ったので対戦を始めていく。
「頑張って勝ちましょう、サキサキさん!」
「うん! 足引っ張ちゃうけどよろしくね、滝くん!」
こうして1回戦目が始まる。
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1回戦目が始まったのは良いんだが、まずは対戦相手のリスナーさん2人に言いたい。
「名前変えてこい!」
リスナーさん達の名前が、『たきちんんんこ』と『たきどうてい』。
完全に俺の配信用のアカウントがある様に見える。しかも予習しているのか、はたまた前回のスマブラに参加していたリスナーさん達なのか知らないが、どちらもキャラがピーチ姫。
「サキサキさんがいるのに、よくド下ネタ入れたな! 俺のときは良いけど、人とコラボしてるときは、下ネタ入れてくんな!」
サキサキさんは女性だぞ! サキサキさんに嫌われても知らんからな!
「まあ変な名前ですね。ぶっ飛ばしてやりましょう、滝くん」
横にいるサキサキさんから表情が抜け落ちる。初手でド下ネタはこうなるよな。しかも、初めての格闘ゲームで、初めての対戦でこれだもんな。
良い思い出になると良いな。ならないだろうけど。
全員のキャラがステージに配置され、そろそろ対戦が始まる。
3、2、1、GO!
こうして始まったチーム戦バトル。リスナーさん達の考えることは手にとるように分かる。
「まずは俺を排除しようて魂胆なんでしょ! ただで負けると思うなよ!」
1人3ストック制なので、3回死んでしまった場合はその人は負けとなってしまう。
初心者のサキサキさんはいつでも倒せると思ったリスナーさん達は、手こずりそうな俺めがけて、連携の取れた攻撃を仕掛け、3ストックの命を削りにくる。
「くっ、くそ! 掴まんねぇな! じゃあ、これならどうよ!」
クッパの俺は、ピーチ姫を掴んでダメージを与えようとするが素早く逃げられ、掴むことができず、ならばと、炎を吹き、ダメージを与えていく。
前方への範囲攻撃なのですが、仲良くピーチ姫達が焼かれていく。
「ははははははは、ざあまねぇな」
積年の恨み、焼き殺してやる!
炎の攻撃が終わり、動き出すピーチ姫。もちろん、俺も移動し、より良い炎のダメージが出そうな位置に移動する。
が、
「うわああああああああああ!」
横で大きな声を出すサキサキさん。横を向いてサキサキさんを確認し、すぐさま原因のゲームへと視線を向ける。
すると、そこには、ストックが2になっているカービーがいるではないか。
ピーチ2人と戦っていた俺は、サキサキさんが何にやられたのか分からない。
「っ!」
考え事をしてしまったのがいけなかったのか、ピーチ姫らの連打をくらい、奈落へと落とされてしまった。
リスポーンの間に話を訊いておく。
「サキサキさん、誰かにやられました?」
もしかしたら、俺が見ていないうちに、ピーチ姫の攻撃を食らったのかもしれない。
そう思わないが尋ねてみると、やはり答えは違ったらしい。
「お、落ちちゃった」
なるほど。
「ですよね。俺がピーチ姫2人と戦ってる最中に、死んじゃったんですもんね。敵の攻撃とかじゃないって分かってました!」
「なら、恥ずかしいから聞かないでよ!」
横にいる俺の腕を何度も叩きながら、そう言う。
ははははは、痛くないわい、痛くなぁああイッタイ!コントローラーで叩いたら、痛いでしょうが!
もう、そんな暴力はやめて、
「ほら、サキサキさん! 戦って! ピーチ姫をやっつけて!」
敵は画面内に居るんだから、そっちをどうにかしてください!
俺より先にリングアウトしたサキサキさんのカービィが、戦場に舞い戻り、敵のピーチ姫に向かって走っていく。
「おりゃああああ! ピーチ姫を食べさせろ!」
走って向かっていくカービィ。
どう攻撃するか、攻撃範囲はどれくらいなのか、なんて一切考えてないサキサキさんは、カービィが敵を吸い込める一方手前から吸い始める。
「あれ、なんで吸えないの?」
そりゃあ、攻撃範囲外だからでしょ。
格ゲーではキャラの攻撃範囲を知ることが、大切とされている。攻撃範囲を知らないままでいると、今のサキサキさんのように、隙だらけになってしまう。
この事を教えても良いんだが、これはこれで面白いので、見てるだけにする。
吸い込めないのに、その場から動かないカービィ。流石のリスナーさん達も、そろそろ攻撃を仕掛けてくる気がするのだが………って、ええ!
吸い込まれる要素は1つも無い。無いのだが、ピーチ姫がカービィに向かって歩いて行き、勝手に吸い込まれて行った。
「やったああああ! 吸い込みましたよ、滝くん! このままごっくんして、私はピーチ姫カービィになります」
宣言通り、カービィはピーチ姫を吸収し、カービィの頭にはピーチ姫の冠は乗っている。
「可愛い」
ピーチ姫カービィとなり、浮かれているサキサキさん。
そんな浮かれているサキサキさんに、俺は言う。
「助けて、サキサキさん! ピーチ姫が、ピーチ姫2人が襲ってきてる!」
今、リスポーンした俺目掛けて、走って殺そうとしてくるピーチ姫2人。
「………」
「サキサキさん⁉︎ 聞いてますか、助けて!」
「………もう、もう少し待っててください。はぁ、本当に可愛いな、カービィ」
カービィに魅入られ、格ゲーを放棄してしまったサキサキさん。
もちろん、2対1での戦闘は無理がある。なので、
「サキサキさん、あとは任せる!」
すぐに残りの2スタックを削られ、リスポーンの回数が終わってしまった俺は、サキサキさんに全て任せ、観戦する。
自分の世界に入ってしまったサキサキさん。それを配信で見ているのか、ピーチ姫2人は自分からリングアウトをしていき、残っていた3スタックを無駄に削っていく。
「え、サキサキさん倒さないの? それでいいの、リスナーさん達よ!」
3スタックをリスナーさん達が削り終わると、勝者の名前が出てくる。
「こんな勝ち方ありか?」
なんて呟くと、
『まあ、目標は果たしたんじゃ無いのか?』
『滝だけ殺せたしね』
『マジで良くやった』
『サキサキさんに暴力は振れる奴、いないでしょ!』
とまあ、コメント欄にはリスナーさん達の行動が褒め称えられている。
ははっ、なるほどね。標的は俺だけで、サキサキさんを倒すことはしないと。
舐められてるよな、俺のこと舐めてるよな!
俺のプライドに火がつき、2回戦目以降、舐めたプレイが出来ないように活躍する。
3回戦目、4回戦目、5、6、7 と、順調に進んでいき、21回戦目を終えたところで、終了にお時間がやってくる。
「はい、最後の人も終わったことですし、配信を閉めていこうと思います! 今回、楽しく参加してくれたリスナーさん達ありがとうございました。今度も機会があるので遊びに来てください! じゃあ、お疲れ様でした!」
『おつ』
『お疲れ様、サキサキさん!』
『サキサキさん、バイバイ!』
『サキサキさん、また配信で』
「はい、皆さん配信でまた会いましょう! じゃあね!』
こうして配信を切っていくのだが、最初のリスナーさん達はサキサキさんのファンで良かったのかあ?
一切手を出してない感じからして、サキサキさんのリスナーさんなんだろうな。
勝手にそう決めつけ、俺は配信を閉じた。
『今度はお前か』
『さっきまでそのPCでサキサキさんが配信してたな』
『昨日は楽しかったらしいですね?クソが』
『サキサキさんは帰ったの?』
とまあ、僻み地味たコメント欄があるので、開始早々煽って行こうかと思う。
「僻み? 妬み? どっち?」
『殺すぞ』
『やっちまうぞ!』
『炎上させるぞ!』
『僻んでねぇし!』
「はいはい、言いたいことは聡太さんへお願いしますね」
『今の俺の気持ちを送ってやる! 聡太さんに』
『あああ、俺を怒らせたな! この気持ちは聡太さんへ送らせていただくからな!』
『滝の悪口たくさん送ろう』
『聡太さん、可愛そう、、、俺も送ってくる』
はい、聡太さんのTwitterはDMで荒れると。そして、俺はまたドヤされると。
本当は、人様に迷惑をかけるような事をするのは駄目。子供でも大人でも。
でも、これは俺と聡太さんだから出来る悪ふざけ。
この後、倍返しで何か返ってくるには確か。なので、それを楽しく待とうと思う。
とまあ、このことは置いといて、今日の配信について話さなきゃ行けないことがある。
「コメント欄にね、『サキサキさんは帰ったのか』っていう質問があったので答えますが、まだ帰ってません。今、隣にいます」
ってなことで、マイクをサキサキさんに向け「挨拶、挨拶」と促す。
「今来た皆さん、さっき私の配信を見てくれた皆さん。どうも、サキサキチャンネルのサキサキです! よろ・しく・ね」
『なんでまだいるの?』
『2人とも付き合ってるの?』
『滝、死にたいの?』
『離れて、今すぐ離れて!』
とまあ、サキサキさんがいることを伝えると、さっきも荒れていたコメント欄が、更に荒れる。
主に俺に対しての暴言で。
「ねぇ、リスナーさんたち? 他の配信者さんのコメント欄でもこんな暴言吐くの? 俺のコメント欄だけだよね?」
少し気になったので、訊いてみる。
『俺は滝の配信以外暴言吐かない』
『滝だけ』
『滝のコメント欄は暴言のゴミ箱って聡太さんが言ってたから、暴言を吐き捨ててる』
『滝のコメント欄はいつも荒れてるね? 炎上してんのかってぐらい荒れてて草』
だよね、俺のところだけだよね。
「ちなみに、俺は基本的にはコメント自由にしてるけど、リスナーさん同士で喧嘩したら、ブロックするかね。それだけはやめてね。あと、これは炎上してるのかな? それと、聡太さんが俺のコメント欄を暴言のゴミ箱って言った動画をDMで送ってください」
まあ、いつも俺の悪口が書かれているコメント欄だから炎上してるように見えるよな。
隣にいるサキサキさんだって、「凄い暴言の数! 燃えてるの? 炎上してるの?」って小声で言ってるもん。
もちろん、この小声をマイクが拾っているため、
『いや、これは炎上じゃない』
『ただのおふざけ』
『暴言そんなに続かないから安心して』
『燃えてないよ! 滝が許してくれそうな範囲で暴言吐いてるだけ。みんな本気じゃない死ね』
サキサキさんを安心させるために、優しさを感じるコメントが流れ続け………おい、1人だけ誤変換してる奴いるぞ! お前、俺に『死ね』とか打ってるせいで『し』って打つだけで『死ね』って出てくる奴だな。
とまあ、サキサキさんを安心させるコメントのおかげで、サキサキさんも安心した様子。
なので、伝えなくては行けないことを、続けて話していく。
「サキサキさんが何故帰っていないのかはわかりませんが、サキサキさんの要望で、ここでコラボをして行こうと思います」
『ん? その言い方は帰って欲しいのか?』
『なんか帰って欲しい感ない?』
『なんでそんな言い方するの?』
『サキサキさんとコラボいいじゃん。なんでそんなに嫌なの?』
『『『『『サキサキさん嫌いなの?』』』』』
「いや、帰って欲しいか、帰って欲しくないか、で言うと帰って欲しいよ? だって、勘違いしちゃうリスナーさんとか出てきそうじゃん! 実際、勘違いしちゃったリスナーさんいるしね」
ちょっと遡ると『2人とも付き合ってる?』ってコメントしたリスナーさんいるし。
それに、
「俺のコメント欄は基本荒れてるから、勘違いしたリスナーさんが暴言吐いたぐらいじゃあ落ち込まないけど、サキサキさんは違うでしょ?」
サキサキさんのリスナーさん達の中には、サキサキさんに幻想を抱いている奴とか居そうだし。そういう人らが勘違いして、炎上させたら………ねぇ?
「だから、配信前に帰った方が良いですよ、帰りなさいとは言った。本人に」
横にいるサキサキさんには、危機感が無い様子。ってか、俺と付き合ってるって噂流れたら嫌じゃないのかな?
毎回コメント欄が荒れているように見える配信者の恋人。俺だったら、少し嫌だな。
サキサキさんの考えは分からないので、ここからはサキサキさんに答えてもらう。
って事で、マイクをもう1度向ける。
「確かに、滝くんには「帰りなさい」って言われたけど、配信者仲間の家で一緒に配信するっていう夢があるので、それを叶えようかなと」
『それじゃあ仕方ない!』
『夢って大事だね!』
『サキサキさんの夢なら仕方ない』
『滝は少し喋らないでください。サキサキさんはもっと喋ってください』
『ってか、質問に答えろよ! サキサキさんは嫌いなのか、滝?』
「あっ、そうだった! 滝くん、私のこと嫌い? それとも好き?」
まあ、サキサキさんに帰って欲しかった理由は、勘違いだけではなく、こういった悪ふざけをするからなんだよな。
なんて答えても、リスナーさん達に角が立ちそう。
『おい、どうなんだよ!』
『サキサキさんが訊いてるだろ? 答えろよ!』
『おい、無視すなよ?』
『悲しませるような事言ったら、どうなるか分かるよな?』
『あっ、でも俺らをイラつかせないでね?』
クソが! 八方塞がりじゃねぇか!
横では首を傾げて上目遣いで見てくる美女が、画面越しには荒れ狂った狂信者どもがいやがる。
………仕方ない。ここは覚悟を決めて、
「ではね、今日プレイするゲームはスマブラ。スマブラを俺とサキサキさん、リスナーさん達とでやって行こうと思います」
話題転換をして行こう。
『スマブラ』
『今回はスマブラか!』
『サキサキさんとスマブラできるなんて、、、嬉し!』
『サキサキさんとスマブラだ!』
『滝の配信の中で1番嬉しい企画だ!』
失礼なコメントが流れるが、触れずに行こう。話題を変えられただけで良しとする。
「………滝くんのバカ!」
1人だけ不機嫌な人が居るが、仕方なし。
「サキサキさんはスマブラの経験どれぐらいあります?」
今回スマブラを選んだ理由は、任天堂Switchが2台、家にあったため。ただそれだけ。
1台は買ったのだが、もう1台は何かの懸賞で当たり、放置されていた。
今回、その放置されていたSwitchをサキサキさんに使って貰う。ちなみに、スマブラはインストール済みだ。
「スマブラっていうか、格ゲー自体初心者です。なので、一切触った事ないです!」
なるほど、格ゲー経験ゼロですか。じゃあ、練習から入った方が良い感じだな。
「じゃあ、まずはトレーニングで操作方法の確認から行きますか。そのあと、対戦ルームを作って遊びましょう」
トレーニングから始めたいので、まずは1台のSwitchを使い、教えていく。
任天堂Switchのコントローラーをサキサキさんに渡してから、配信画面を待機中の絵からゲーム画面へと変えていく。
「じゃあ、操作方法を教えますね」
トレーニングルームへ行き、スマブラ特有の顔のある白いサンドバッグを叩いて教えていく。
「少し時間を置いてから、リスナー参加型を始めます」
「もう少し待っててね? すぐ操作方法覚えるから」
やる気満々なサキサキさんにどんどん教えていく。その間、コメント欄では、
『頑張ってね、サキサキさん!』
『ゆっくりで良いよ』
『慣れるまで待つ!』
『頑張れ!』
応援コメントだけが流れていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
多少は時間が掛かったが、簡単な操作方法を覚えたサキサキさん。
次に覚えなくてはいけないのが、使うキャラの攻撃またコンボ技。
まだ使うキャラを決めてないサキサキさんは、数ある中のキャラから1体を選ぶのに苦労する。
「ああ、『ペルソナ』のジョーカーも良いし、『ポケモン』のピチュウも可愛い! わあ、『星のカービー』のカービー………カービーにしようかな」
操作方法の確認は、マリオを使って貰っていた。マリオの攻撃ってシンプルだから初心者に教えるのに適しているんだよね、俺の感想だけど。
今回、数ある中から選ばれたキャラは『星のカービー』のカービーさんとなった。
キャラをカービーに変更し、またトレーニングルームへと向かう。
まず、カービーの操作方法を教えていく。通常攻撃からリングアウト時の復帰の仕方まで。
ここまで教えるのに20分は掛かった。
次に教えるのはカービーの醍醐味で、カービーの面白いところである。
俺はも選択したクッパを使い、サキサキさんが選んだカービーの前に立つ。
そして、
「クッパを吸い込んで、ごっくんしてください!」
俺の言われた通りに、サキサキさんが操作をすると、
「わあああああああ! 凄い、凄いですよ!」
カービーの見た目が変わったことに驚き、驚きのあまり俺を揺さぶり始める。
「カービーは吸い込んで吸収したキャラの技なんか使えたりするので面白いし、見た目も多少変わるので見ても楽しめます」
クッパを吸収したおかげで、見た目が変わり、クッパ仕様となったカービー。そのカービーを使い、サンドバッグを殴っていく。
他のキャラを吸収したカービーを見せて上げたいのだが、全て見せるとなると時間が掛かってしまうので、それはまた今度。
一応は戦えるようになったので、俺はそのまま使っているSwitchで対戦ルームを作り、サキサキさんには放置されていたSwitchを使って貰って、対戦ルームに入って貰う。
「あっ、出来ました! リングの上に上がりますね?」
無事、対戦ルームに入れたサキサキさんを見て、今度はリスナーさん達を招待する。
今回の対戦ルームは、優先ルールを使って建てた。
優先ルールとは、ルームを建てた人が対戦形式や対戦方法、ステージ、アイテムなどを決め、そのルールに沿って遊ばせるもの。
用は、ルームの主がゲームマスター。ゲームマスターの好きなように、戦いを設定できる。
なので今回は、
「今回の対戦形式はチームバトルにして、ストック制を起用します。対戦時間は3分。ステージに関してなのですが、サキサキさんが初心者なので、ギミックなしにしました。もちろん、アイテムも無しです」
サキサキさんに優しいように設定したつもり。もちろん、サキサキさんのために行ったため、
『オーケイ!』
『ギミックとアイテムまでは覚えられんよな』
『ステージギミックは、ない方が優しい』
『初心者のサキサキさんには良いかもね』
と、いつもならば『何ビビってんだよ!』『全てありありだろうが!』『怖いんですか? 仕方ないですよね、弱いんですから』などなどの煽り文句を言ってくるのだが、サキサキさんの事になると、甘々なになるリスナーさんたち。
ちなみに、言っておくが、
「チーム戦なので俺とサキサキさんがペアで、リスナーさん達がペアになります。なので、君たちがサキサキさんとペアになることはありません」
淡い希望は、今ここで潰しておく。戦いはもう始まってるんだよ!
『ふざけんな!』
『サキサキさんとペア組ませろ!』
『ってか、3対1でよくね?』
『滝、ぶっ殺すぞ!』
ははははははははは、何とでも言いたまえ!
「サキサキさんとペアを組みたかったら、声を出してサキサキさんにお願いしたまえ! まあ、画面越しのリスナーさん達には無理だろうけどね!」
リスナーさん達を煽りに煽っていく。
ってな事で、チームは俺とサキサキさん。リスナーさん2人となる。
リスナーさん達を既に招待しており、リスナー参加型のいつものルールを伝えとく。
「良いですか! 喧嘩は無しで、プレイしているリスナーさんに対しての暴言も無し。1度戦ったリスナーさんはルームから出てもらい、まだ戦ってないリスナーさんが入ってきてください。全員終わったら2週目行きましょう」
『いつものね』
『不正は無しで』
『了解!』
『1度やったら抜ける。これ常識!』
何度もこのルールを使っているおかげで、理解が早い。
ってな事で、準備が整ったので対戦を始めていく。
「頑張って勝ちましょう、サキサキさん!」
「うん! 足引っ張ちゃうけどよろしくね、滝くん!」
こうして1回戦目が始まる。
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1回戦目が始まったのは良いんだが、まずは対戦相手のリスナーさん2人に言いたい。
「名前変えてこい!」
リスナーさん達の名前が、『たきちんんんこ』と『たきどうてい』。
完全に俺の配信用のアカウントがある様に見える。しかも予習しているのか、はたまた前回のスマブラに参加していたリスナーさん達なのか知らないが、どちらもキャラがピーチ姫。
「サキサキさんがいるのに、よくド下ネタ入れたな! 俺のときは良いけど、人とコラボしてるときは、下ネタ入れてくんな!」
サキサキさんは女性だぞ! サキサキさんに嫌われても知らんからな!
「まあ変な名前ですね。ぶっ飛ばしてやりましょう、滝くん」
横にいるサキサキさんから表情が抜け落ちる。初手でド下ネタはこうなるよな。しかも、初めての格闘ゲームで、初めての対戦でこれだもんな。
良い思い出になると良いな。ならないだろうけど。
全員のキャラがステージに配置され、そろそろ対戦が始まる。
3、2、1、GO!
こうして始まったチーム戦バトル。リスナーさん達の考えることは手にとるように分かる。
「まずは俺を排除しようて魂胆なんでしょ! ただで負けると思うなよ!」
1人3ストック制なので、3回死んでしまった場合はその人は負けとなってしまう。
初心者のサキサキさんはいつでも倒せると思ったリスナーさん達は、手こずりそうな俺めがけて、連携の取れた攻撃を仕掛け、3ストックの命を削りにくる。
「くっ、くそ! 掴まんねぇな! じゃあ、これならどうよ!」
クッパの俺は、ピーチ姫を掴んでダメージを与えようとするが素早く逃げられ、掴むことができず、ならばと、炎を吹き、ダメージを与えていく。
前方への範囲攻撃なのですが、仲良くピーチ姫達が焼かれていく。
「ははははははは、ざあまねぇな」
積年の恨み、焼き殺してやる!
炎の攻撃が終わり、動き出すピーチ姫。もちろん、俺も移動し、より良い炎のダメージが出そうな位置に移動する。
が、
「うわああああああああああ!」
横で大きな声を出すサキサキさん。横を向いてサキサキさんを確認し、すぐさま原因のゲームへと視線を向ける。
すると、そこには、ストックが2になっているカービーがいるではないか。
ピーチ2人と戦っていた俺は、サキサキさんが何にやられたのか分からない。
「っ!」
考え事をしてしまったのがいけなかったのか、ピーチ姫らの連打をくらい、奈落へと落とされてしまった。
リスポーンの間に話を訊いておく。
「サキサキさん、誰かにやられました?」
もしかしたら、俺が見ていないうちに、ピーチ姫の攻撃を食らったのかもしれない。
そう思わないが尋ねてみると、やはり答えは違ったらしい。
「お、落ちちゃった」
なるほど。
「ですよね。俺がピーチ姫2人と戦ってる最中に、死んじゃったんですもんね。敵の攻撃とかじゃないって分かってました!」
「なら、恥ずかしいから聞かないでよ!」
横にいる俺の腕を何度も叩きながら、そう言う。
ははははは、痛くないわい、痛くなぁああイッタイ!コントローラーで叩いたら、痛いでしょうが!
もう、そんな暴力はやめて、
「ほら、サキサキさん! 戦って! ピーチ姫をやっつけて!」
敵は画面内に居るんだから、そっちをどうにかしてください!
俺より先にリングアウトしたサキサキさんのカービィが、戦場に舞い戻り、敵のピーチ姫に向かって走っていく。
「おりゃああああ! ピーチ姫を食べさせろ!」
走って向かっていくカービィ。
どう攻撃するか、攻撃範囲はどれくらいなのか、なんて一切考えてないサキサキさんは、カービィが敵を吸い込める一方手前から吸い始める。
「あれ、なんで吸えないの?」
そりゃあ、攻撃範囲外だからでしょ。
格ゲーではキャラの攻撃範囲を知ることが、大切とされている。攻撃範囲を知らないままでいると、今のサキサキさんのように、隙だらけになってしまう。
この事を教えても良いんだが、これはこれで面白いので、見てるだけにする。
吸い込めないのに、その場から動かないカービィ。流石のリスナーさん達も、そろそろ攻撃を仕掛けてくる気がするのだが………って、ええ!
吸い込まれる要素は1つも無い。無いのだが、ピーチ姫がカービィに向かって歩いて行き、勝手に吸い込まれて行った。
「やったああああ! 吸い込みましたよ、滝くん! このままごっくんして、私はピーチ姫カービィになります」
宣言通り、カービィはピーチ姫を吸収し、カービィの頭にはピーチ姫の冠は乗っている。
「可愛い」
ピーチ姫カービィとなり、浮かれているサキサキさん。
そんな浮かれているサキサキさんに、俺は言う。
「助けて、サキサキさん! ピーチ姫が、ピーチ姫2人が襲ってきてる!」
今、リスポーンした俺目掛けて、走って殺そうとしてくるピーチ姫2人。
「………」
「サキサキさん⁉︎ 聞いてますか、助けて!」
「………もう、もう少し待っててください。はぁ、本当に可愛いな、カービィ」
カービィに魅入られ、格ゲーを放棄してしまったサキサキさん。
もちろん、2対1での戦闘は無理がある。なので、
「サキサキさん、あとは任せる!」
すぐに残りの2スタックを削られ、リスポーンの回数が終わってしまった俺は、サキサキさんに全て任せ、観戦する。
自分の世界に入ってしまったサキサキさん。それを配信で見ているのか、ピーチ姫2人は自分からリングアウトをしていき、残っていた3スタックを無駄に削っていく。
「え、サキサキさん倒さないの? それでいいの、リスナーさん達よ!」
3スタックをリスナーさん達が削り終わると、勝者の名前が出てくる。
「こんな勝ち方ありか?」
なんて呟くと、
『まあ、目標は果たしたんじゃ無いのか?』
『滝だけ殺せたしね』
『マジで良くやった』
『サキサキさんに暴力は振れる奴、いないでしょ!』
とまあ、コメント欄にはリスナーさん達の行動が褒め称えられている。
ははっ、なるほどね。標的は俺だけで、サキサキさんを倒すことはしないと。
舐められてるよな、俺のこと舐めてるよな!
俺のプライドに火がつき、2回戦目以降、舐めたプレイが出来ないように活躍する。
3回戦目、4回戦目、5、6、7 と、順調に進んでいき、21回戦目を終えたところで、終了にお時間がやってくる。
「はい、最後の人も終わったことですし、配信を閉めていこうと思います! 今回、楽しく参加してくれたリスナーさん達ありがとうございました。今度も機会があるので遊びに来てください! じゃあ、お疲れ様でした!」
『おつ』
『お疲れ様、サキサキさん!』
『サキサキさん、バイバイ!』
『サキサキさん、また配信で』
「はい、皆さん配信でまた会いましょう! じゃあね!』
こうして配信を切っていくのだが、最初のリスナーさん達はサキサキさんのファンで良かったのかあ?
一切手を出してない感じからして、サキサキさんのリスナーさんなんだろうな。
勝手にそう決めつけ、俺は配信を閉じた。
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