22 / 89
生配信9 追い越すぞ、サキサキさん
しおりを挟む
「はい、今日もゲーム配信。配信者はお馴染みTakiチャンネルの滝です」
『こんばんは!』
『こんばんは!』
『こんばんは』
「皆さんこんばんは。今日はね、エーペックスというゲームをしていきたいと思います」
エーペックスのゲーム画面を配信画面に表示しながら、紹介していく。そして、
「今日ね、昼配信が終わった時に」
エーペックスをやるきっかけになった話をする。サキサキさんとの電話やコラボ配信にお邪魔していた事、このままコラボ配信に参加しようか迷っていた事、全て。
もちろん、1人配信を見たい人がいたから1人で配信しようと決めたことも。
『1人配信見たかったから嬉しい』
『コラボ配信も見たかった』
『3人でやるの初めてだったんじゃない?』
『滝はうまそう、エーペックス』
1人配信が見たかったリスナーさんは、やはりいるようで、俺の決断に間違いはなかった。
まあ、コラボ配信が見たい人もいるようだけど、それはまた今度やると思うので、その時まで待っていて欲しい。
「そうだね、3人で同じゲームやるのは初めて、オフの時も含めてね。でも、エーペックスやり続ければ、いつかコラボする時が来るので、待ってて欲しいです。もし待てない場合は、聡太さんかサキサキさんのアーカイブで見てください」
リスナーさんのコメントに返事を返し、エーペックスのただのマッチ、カジュアルマッチに参加していく。
『まだ2人はやっているの?』
マッチング中は暇なのでコメントをいくつか拾い、返事を返していく。
「2人はね、まだやってるね。サキサキさんがガチでハマったらしく、まだまだ続けるって言ってた」
『もしかしたら、マッチングで被るかも』
「マッチングではね、多分被らないね。サーバーが幾つもあって、俺は日本サーバーだけど、あっちはね違うサーバーでやってるから被んない」
『同じサーバーにしてよ』
「しませーん! 今日は1人配信なので、この配信画面に聡太さんやサキサキさんが映ることは絶対にさせませーん」
こんな感じであと2つほどコメントを拾い、返していると、マッチングが終了する。
「おお、終わった。さてと、どんなキャラを使って行こうかな」
先ほどまではレイスというキャラを使っていたので、今回も使う予定。
「レイスってダメージ量多いんだっけ? エーペックスの有識者さんいたら教えてください」
事前に調べておけばよかったと、今思う。
『被ダメージが多いはず』
『小柄っていうパッシブでダメージが5%上がる』
『上がるよー』
「小柄っていうパッシブで5パーか。結構キツくない?」
『そのためのアビリティだよ』
『アビリティ使えば逃げれる』
『アビリティ使えばチームの生存率が上がるよ』
「マジか。アビリティ、使ってなかったから知らんかった。逃げるために使うのか」
『あと奇襲とかにも使える』
「奇襲にも使える、か。ありがとう、リスナーさんたち」
エーペックスの有識者達に聞いた情報を頭の中で整理し、キャラ選択へ向かう。
そして、
「あ、取られた」
レイスは味方の野良さんに取られた。
「やばい、やばい! 何使えば良いんだよ!」
レイス以外使ったことのない俺は、今現在使えるキャラを探す。
『ライフライン!』
『取られてて草』
『チュートリアルで使ったライフライン!』
「ああ、ライフライン! チュートリアルで使ったわ!」
1番目の人がレイスを選び、2番目の人がキャラを選択する。ちなみに俺は3番目。
2番目の人が選択をするのだが、なぜか画面にライフラインというキャラが映っている。
「まさか」
『……あ』
『あ』
『あ』
2番目の野良さんのキャラ選択時間が終わりに近づいてくる。画面は未だにライフライン。
「お願いお願いお願いお願いお願いお願い」
取らないで!
強く念じるも、虚しく取られる。
『ライフライン取られたね』
『ライフラァアアア!』
『残念無念』
少しやる気が起きない。使いたいキャラが全て使われてしまった。
「左上のやつを使っていきます」
声のトーンが1段階下がったのを自覚し、パッと目に入った奴を使う。
ブラットハウンド。
カラスみたいな仮面を被ったキャラ。これは声的に女性なのかな。
『ブラハは索敵ができる』
『索敵が優秀』
『ブラハ頑張れ!』
『使ったことのないキャラは難しいよね』
ブラットハウンドについて何も知らない俺に、事前に教えてくれるリスナーさん達。
「ありがてぇです。索敵が優秀なんですね、把握しました。使ったことのないキャラは動きが分からないから難しい」
前衛なのか後衛なのかが分かれば、やりようはあるのだが、初心者はそれが分からん。
仲間の足を引っ張らないような動きをするしかない。
俺のキャラ選択時間が終わり、部隊の成績とチャンピオン部隊の成績が画面に表示される。
「さすがチャンピオン部隊。めちゃくちゃキル数が多い奴いるし。お相撲さんみたいなキャラやばくない?」
お相撲さんみたいなおじさんキャラのキル数が3桁超えていた。
『お相撲さんw』
『ジブかな』
『お相撲さんは草』
『825はそこまでよ』
「ジブって名前なの? 825はそこそこなの、マジで?俺からしたら凄い方なんだけど」
『ジブラルタルね』
『ジブは略称』
『万超えてる人いるよ』
ジブは略称でジブラルタルが本名なのね、あのお相撲さん。
「万超えてるとか、俺その人に勝てる気がしないんだけど」
リスナーさん達のコメントに返していると、マッチが始まる。
今回はライフラインはジャンプマスター。ライフラインが戦場を決める。
「初心者に優しい場所に降りて欲しいな」
誰もいないところに降りて貰えたら、ゆっくりアイテムを漁ることが出来るので、そうして欲しい。
さて、この人はどこに降りるのか。
画面には船にいる人の人数が表示されている。最初の方に降りて行った人がいるため、今船に乗っているのは俺達を含め、21人。
あと7部隊が降りていない。
「どこに降りるんだろうね。あそこら辺降りてない、あっ、降りた」
ライフラインが船から降り、戦場に降下中。
「1部隊降りてきてない?」
俺らの後を追ってきているかのように、1部隊が降りてきている。
急降下している俺達。この調子なら先に降りることができる。
「よしよし、これなら先に武器を取れるね」
『チャンピオン部隊じゃね?』
『降りたところに武器があったらいいね』
『アーマーとかもあったらなお良いね』
「武器とアーマーがあったら良いけど、それよりもチャンピオン部隊ってほんと?」
800人キルしてるあのジブラルタルがいる部隊? これ、俺死んじゃうんじゃね。
そして、相手よりも先に降下。
1番近くの部屋に1人で入る。
「キタ、武器を発見! ショットガンにハンドガンかな?」
武器を拾い、名前を見る。
「マスティフにRE-45ね。………何これ、強いの?」
『武器ゲット、ナイス』
『殺しに行こう!』
『奥にアーマーあった気がする』
『まあまあだと思うよ』
「アーマー奥にある? どれ………あれか!」
白色のアーマーを装備する。確か50ダメージを肩代わりしてくれるんだっけ?
「倒しに行くのは却下で」
次のアイテムと武器を探しに行く。
「バックがあれば持ち物沢山持てるのになぁ」
『バックは最低限青欲しいよね』
『バック探しに行けば』
『バック欲しいね』
バックにもレベルがあり、1から4まである。レベルによって持てるアイテムの量が変わるのだ。だから欲しい。
「バック探しに行く? 探しに行くか!」
バック探しの旅に出る。旅に出ながらリスナーさん達に聞く。
「ショットガンってダメージいい感じに入るの? 現実なら、当たった時悲惨になるけど」
エーペックス内のショットガンの立ち位置がどんな感じなのか、使っていて使いやすいのか、ショットガンのマスティフを持つものとして非常に気になる。
『強いよ』
『使ってる人多いよ』
『俺は好きだけど』
「マジか! じゃあ使おう」
『ハンドガンの方はあまり使わないから分からん』
『ハンドガンは分からん』
『ハンドガンは使わん』
「使わない? じゃあ、一生使っていこう。マッチするたびにハンドガン系使っていくわ」
ハンドガン宣言をし、バックを探していると、遠くの方に人影が。
「あれ、敵じゃね?」
前方に走っている敵がいることを仲間に知らせる。
「スナイパーライフルを持ってれば、撃ってるんだけどな。バンって」
バン!
「え?」
後ろを見ると、仲間がスナイパーライフルで撃っていた。
弾は敵にあたらず、敵に俺たちがいるとバレただけ。しかも、仲間は結構後ろから撃っており、敵に1番近い俺が狙われる。
バババババン、ババババン!
「ひゃあああああああ! 撃たれてる撃たれてる!」
走って逃げるも狙い撃ちされる。
「味方、援護してくれ!」
走りながら味方の位置を確認すると、味方2人は明後日の方向に動いていた。
「はあああああああ! 逃げんなや! 助けろよ!」
頑張ってジグザグに走ったり真っ直ぐ走ったりする。
「ひいいいいいいい!」
『うるさw』
『ウルト、ウルト』
『足早くなるからウルト発動して!』
ウルト? ウルト使えば足が速くなるの? じゃあ、使うわ!
「ほい!」
ウルトを使うと、ブラッドハウンドの視界がモノクロに変わり、移動が速くなるのを感じる。
「何これ、何これ!」
銃声は聞こえるものの、一向に当たらない。
足が早すぎて、照準が定まらないのかもしれない。
よしゃ、これで逃げられる。
走って仲間の方に向かう。俺を見捨てた奴らだが、仲間は仲間。一緒に行動しなくては。
走って走って仲間の方へ逃げる。が、
パスッン。
「はあ?」
横からの弾丸により、何故かダウンしてしまう。
「え、え?」
何が起きたのか分からないまま、這って仲間の方に動いていく。
パスッン!
被弾。
パスッン!
もう撃たないで、死んじゃう!
パスッン!
ひいいいいい、後1発食らったら死んじゃうよ! 助けて、仲間たち!
そして、トドメのパスッン!
デスボックス化する俺。
「………」
仲間はどんどん離れていく。
『gg』
『ナイス』
『しゃあない』
『gg』
「gg。終わるまで話そ」
暇を持て余しているので、終わるまでリスナーさんのコメントを拾い続ける。
『見捨てられたな』
「見捨てられたな、いや分からないよ。俺が撃たれてるの気付かなかったのかもしれない」
『それはないよ!』
「仲間が俺を見捨てるわけがない! だって仲間だよ。仲間だったら見捨てるはず」
『仲間じゃないのか?』
『滝は仲間じゃない』
『仲間じゃないのなら見捨てるな』
「仲間じゃなかったのか、俺は。じゃあ、仕方ないな」
『仲間じゃないのは草』
『納得してんの草』
『俺ならキレてるわ』
「ゲームでキレるわけないじゃん。ちょっと待ってて」
俺はデスクから離れ、近くのベットにある枕に顔を埋め、マイクが拾えるくらいの声で、
「俺を見捨てんないでよぉおお!」
と叫ぶ。
叫ぶだけ叫んでからデスクに戻るとコメント欄には『草』『草』『草』『キレてんやんw』などなどコメントが流れている。
「キレてないよ」
言葉通りキレてはいない。ただのノリだ。
『キレてなかった?』
『枕かな?』
『叫んでなかった?』
「え、何か聞こえた? 親かな? さっき親が帰って来てたから」
もちろん1人暮らしなので、親はいない。
『親か!』
『親は何に見捨てられたのかなw』
『親も同じゲームやってんのかな?』
なんて茶番をやってると、仲間が死亡し、部隊が壊滅した。
「さあ、次行きますか。サキサキさんのね、ランクを超えるのが俺の目的なんでね。どんどんやっていきたいと思います」
現在レベルの方が10になったので、これでランクマッチができるようになる。
「じゃあ、これから本番ね。サキサキさんのランクを越したいと思います。ちなみにサキサキさんのランクがどれくらいなのか分かりません。誰か見てきてください」
俺はそう言い、ランクマッチが開始させる。
『了解。行ってきます』
『行ってきます』
『行ってきます』
『いってらっしゃい』
「いってらっしゃい」
偵察部隊をサキサキさんのところに派遣する。
キャラ選択は今度は俺が1番。なので、
「レイスを使っていきまーす」
仲間はパスファインダーという機械にお相撲さん。
ジャンプマスターはお相撲さんがしてくれるようで、俺はただただ待つのみ。
『まだブロンズ』
『ランクやってない』
『すぐ超せるやん!』
「よし、すぐ超そう!」
ラックマッチでポイントを荒稼ぎすればいいのだ。すぐに上がってやる。
お相撲さんが降りた場所には人が人もおらず、ゆっくりとアイテム探しができる。
ハンドガン宣言してしまったからには、この1戦もハンドガン系を使う。
仲間のことを考えて強い武器を持てって? ゲームは自分がやりたいように遊ぶものだ。知ったこっちゃない。まあ、マナーは守らなきゃならないけどね。
「あ、ハンドガン発見。ウィングマン? 羽男? 羽男は強いの?」
『羽男は強いw』
『羽男は強い』
『羽男にしな』
「おけおけ。あとは、おおお! RE-45じゃん。これと羽男でいいや」
『いやいや、他の銃にしな』
『他の方がいいよ!』
『滝、他を選ぶんだ!』
「いやだ! これに決めたの! なんと言われてもこれにするの!」
『ママ怒るよ!』
『パパも怒るよ!』
『お姉ちゃんも怒るよ!』
「ママとパパとお姉ちゃんって。笑わせんでください」
『おばあちゃんも怒ってるぞ!』
「おばあちゃんも怒ってるぞ、お前誰だよ! おばあちゃんじゃないのかよ!」
『お姉ちゃんの友達の彼氏の元カノも怒ってるぞ!』
「お姉ちゃんの友達の彼氏の元カノは、もう赤の他人だし、お前は誰だ?」
コメントを少しだけ読み、仲間と合流する。
「今度はチームプレイできればいいな」
さっきのカジュアルマッチはチームプレイが出来なかったので、今度こそはと、仲間についていく。
「実際さ、持ってる武器の相性よくない? RE-45はフルオートだし、羽男は単発だし。RE-45で敵を攻撃して、羽男でトドメみたいな」
俺の妄想では、フルオートのハンドガンであるRE-45で敵のアーマーとHPを少し削り、羽男で残りのHPを削る。
………うん。完璧では?
俺は完璧な攻撃の仕方だと思ったのだが、リスナーさん達は違うようだ。
『逆!』
『逆がいい!』
『羽男でアーマーとHPを削った方がいい!』
「え、そうなの? じゃあ、そうしてみるわ」
リスナーさん達の方がエーペックス知識あるようなので、その指示に従う。
武器を持ち替え、今手にはウィングマンを持っている。
コメント欄をよく見ようかなと思うと、レイスが狙われていると知らせてくれる。
「え、狙われてるの? 俺が? それとも仲間が?」
『滝が狙われてるの』
『周辺に敵がいる』
『敵をやれ!』
ぐるっと一周し周辺を確認すると、
「あ、いたわ!」
ちょっと遠くの方に敵を見つけ、撃たれる前に撃つ。スコープを覗きながら。
バン! バン!
2発撃ち、1発が当たる。何かが割れた音と90の数字が表示される。
「当たったわ」
『90? マジでか』
『頭に当たったのかな?』
『アーマー割れたね』
俺が撃ったことにより、仲間が近くに駆け寄ってくれた。
「このチームあったけー。駆け寄ってくれたよ!」
仲間も敵を目視したようで、敵がいるところに赤いピンが刺さる。
仲間が気づいたということは、敵も気づいたようで、俺らに向け乱射してくるが一向に当たらない。
「エイム、ガバガバ」
仲間の1人が敵との距離を詰めている。
「援護射撃しないとね」
俺は左右に動きながら、敵に向け撃つ。
バン! バン! バン! バン!
今度は当たらず、岩陰に隠れ、リロード。
俺も移動するか。
ジグザグに走り、相手の距離を詰める。
結構近づいたことにより、何発か弾が当たるが、
バン! バン! バン!
お構いなしに撃つ。
最初の弾と最後の弾が敵に当たり、画面の下の方にノックダウンしたと文字が出てくる。
1人仕留めた!
俺たち3人は敵との距離をドンドン詰めていく。
リロードしながら詰めていき、そして、
「ぶっ殺してやらぁあああ!」
3対2の銃撃戦が始まる。
ウィングマンで撃ち、撃ち終えたらサブ武器のRE-45に変える。RE-45が撃ち終えたら、岩陰や物陰に隠れ、リロード、回復を入れていく。
「出てこいやあああ!」
バン! バン!
サブのRE-45に替えて、
バババババババン!
全弾ヒットとは言わないが、ほぼヒットしたため、目の前でおっさんがダウンする。
『ナイス!』
『ナイス!』
『ナイス!』
次の敵を探そうと動くと、目の前で這っていたおっさんがデスボックスへと変わる。
「へ? 倒した? マジか」
俺と仲間で1部隊を壊滅させた。
俺は2キルしているようで、リスナーさん達から褒められる。
「ツーキル!」
『ツーキル』
『ツーキル』
『ツーキル』
もうこれは、作戦変更。命を大事にからガンガン行こうぜ!
「ドンドン行こう!」
俺の意思が伝わったのかどうなのか知らないが、仲間達も銃声の方に向かっていく。
「狩りの時間じゃ」
この後、調子に乗った俺と仲間2人は、向かった先の敵にボコボコにされるのであった。
本題だったランクの方はどうなかったって?
もちろん、ランクを1上げてブロンズ3にしましたよ。
『こんばんは!』
『こんばんは!』
『こんばんは』
「皆さんこんばんは。今日はね、エーペックスというゲームをしていきたいと思います」
エーペックスのゲーム画面を配信画面に表示しながら、紹介していく。そして、
「今日ね、昼配信が終わった時に」
エーペックスをやるきっかけになった話をする。サキサキさんとの電話やコラボ配信にお邪魔していた事、このままコラボ配信に参加しようか迷っていた事、全て。
もちろん、1人配信を見たい人がいたから1人で配信しようと決めたことも。
『1人配信見たかったから嬉しい』
『コラボ配信も見たかった』
『3人でやるの初めてだったんじゃない?』
『滝はうまそう、エーペックス』
1人配信が見たかったリスナーさんは、やはりいるようで、俺の決断に間違いはなかった。
まあ、コラボ配信が見たい人もいるようだけど、それはまた今度やると思うので、その時まで待っていて欲しい。
「そうだね、3人で同じゲームやるのは初めて、オフの時も含めてね。でも、エーペックスやり続ければ、いつかコラボする時が来るので、待ってて欲しいです。もし待てない場合は、聡太さんかサキサキさんのアーカイブで見てください」
リスナーさんのコメントに返事を返し、エーペックスのただのマッチ、カジュアルマッチに参加していく。
『まだ2人はやっているの?』
マッチング中は暇なのでコメントをいくつか拾い、返事を返していく。
「2人はね、まだやってるね。サキサキさんがガチでハマったらしく、まだまだ続けるって言ってた」
『もしかしたら、マッチングで被るかも』
「マッチングではね、多分被らないね。サーバーが幾つもあって、俺は日本サーバーだけど、あっちはね違うサーバーでやってるから被んない」
『同じサーバーにしてよ』
「しませーん! 今日は1人配信なので、この配信画面に聡太さんやサキサキさんが映ることは絶対にさせませーん」
こんな感じであと2つほどコメントを拾い、返していると、マッチングが終了する。
「おお、終わった。さてと、どんなキャラを使って行こうかな」
先ほどまではレイスというキャラを使っていたので、今回も使う予定。
「レイスってダメージ量多いんだっけ? エーペックスの有識者さんいたら教えてください」
事前に調べておけばよかったと、今思う。
『被ダメージが多いはず』
『小柄っていうパッシブでダメージが5%上がる』
『上がるよー』
「小柄っていうパッシブで5パーか。結構キツくない?」
『そのためのアビリティだよ』
『アビリティ使えば逃げれる』
『アビリティ使えばチームの生存率が上がるよ』
「マジか。アビリティ、使ってなかったから知らんかった。逃げるために使うのか」
『あと奇襲とかにも使える』
「奇襲にも使える、か。ありがとう、リスナーさんたち」
エーペックスの有識者達に聞いた情報を頭の中で整理し、キャラ選択へ向かう。
そして、
「あ、取られた」
レイスは味方の野良さんに取られた。
「やばい、やばい! 何使えば良いんだよ!」
レイス以外使ったことのない俺は、今現在使えるキャラを探す。
『ライフライン!』
『取られてて草』
『チュートリアルで使ったライフライン!』
「ああ、ライフライン! チュートリアルで使ったわ!」
1番目の人がレイスを選び、2番目の人がキャラを選択する。ちなみに俺は3番目。
2番目の人が選択をするのだが、なぜか画面にライフラインというキャラが映っている。
「まさか」
『……あ』
『あ』
『あ』
2番目の野良さんのキャラ選択時間が終わりに近づいてくる。画面は未だにライフライン。
「お願いお願いお願いお願いお願いお願い」
取らないで!
強く念じるも、虚しく取られる。
『ライフライン取られたね』
『ライフラァアアア!』
『残念無念』
少しやる気が起きない。使いたいキャラが全て使われてしまった。
「左上のやつを使っていきます」
声のトーンが1段階下がったのを自覚し、パッと目に入った奴を使う。
ブラットハウンド。
カラスみたいな仮面を被ったキャラ。これは声的に女性なのかな。
『ブラハは索敵ができる』
『索敵が優秀』
『ブラハ頑張れ!』
『使ったことのないキャラは難しいよね』
ブラットハウンドについて何も知らない俺に、事前に教えてくれるリスナーさん達。
「ありがてぇです。索敵が優秀なんですね、把握しました。使ったことのないキャラは動きが分からないから難しい」
前衛なのか後衛なのかが分かれば、やりようはあるのだが、初心者はそれが分からん。
仲間の足を引っ張らないような動きをするしかない。
俺のキャラ選択時間が終わり、部隊の成績とチャンピオン部隊の成績が画面に表示される。
「さすがチャンピオン部隊。めちゃくちゃキル数が多い奴いるし。お相撲さんみたいなキャラやばくない?」
お相撲さんみたいなおじさんキャラのキル数が3桁超えていた。
『お相撲さんw』
『ジブかな』
『お相撲さんは草』
『825はそこまでよ』
「ジブって名前なの? 825はそこそこなの、マジで?俺からしたら凄い方なんだけど」
『ジブラルタルね』
『ジブは略称』
『万超えてる人いるよ』
ジブは略称でジブラルタルが本名なのね、あのお相撲さん。
「万超えてるとか、俺その人に勝てる気がしないんだけど」
リスナーさん達のコメントに返していると、マッチが始まる。
今回はライフラインはジャンプマスター。ライフラインが戦場を決める。
「初心者に優しい場所に降りて欲しいな」
誰もいないところに降りて貰えたら、ゆっくりアイテムを漁ることが出来るので、そうして欲しい。
さて、この人はどこに降りるのか。
画面には船にいる人の人数が表示されている。最初の方に降りて行った人がいるため、今船に乗っているのは俺達を含め、21人。
あと7部隊が降りていない。
「どこに降りるんだろうね。あそこら辺降りてない、あっ、降りた」
ライフラインが船から降り、戦場に降下中。
「1部隊降りてきてない?」
俺らの後を追ってきているかのように、1部隊が降りてきている。
急降下している俺達。この調子なら先に降りることができる。
「よしよし、これなら先に武器を取れるね」
『チャンピオン部隊じゃね?』
『降りたところに武器があったらいいね』
『アーマーとかもあったらなお良いね』
「武器とアーマーがあったら良いけど、それよりもチャンピオン部隊ってほんと?」
800人キルしてるあのジブラルタルがいる部隊? これ、俺死んじゃうんじゃね。
そして、相手よりも先に降下。
1番近くの部屋に1人で入る。
「キタ、武器を発見! ショットガンにハンドガンかな?」
武器を拾い、名前を見る。
「マスティフにRE-45ね。………何これ、強いの?」
『武器ゲット、ナイス』
『殺しに行こう!』
『奥にアーマーあった気がする』
『まあまあだと思うよ』
「アーマー奥にある? どれ………あれか!」
白色のアーマーを装備する。確か50ダメージを肩代わりしてくれるんだっけ?
「倒しに行くのは却下で」
次のアイテムと武器を探しに行く。
「バックがあれば持ち物沢山持てるのになぁ」
『バックは最低限青欲しいよね』
『バック探しに行けば』
『バック欲しいね』
バックにもレベルがあり、1から4まである。レベルによって持てるアイテムの量が変わるのだ。だから欲しい。
「バック探しに行く? 探しに行くか!」
バック探しの旅に出る。旅に出ながらリスナーさん達に聞く。
「ショットガンってダメージいい感じに入るの? 現実なら、当たった時悲惨になるけど」
エーペックス内のショットガンの立ち位置がどんな感じなのか、使っていて使いやすいのか、ショットガンのマスティフを持つものとして非常に気になる。
『強いよ』
『使ってる人多いよ』
『俺は好きだけど』
「マジか! じゃあ使おう」
『ハンドガンの方はあまり使わないから分からん』
『ハンドガンは分からん』
『ハンドガンは使わん』
「使わない? じゃあ、一生使っていこう。マッチするたびにハンドガン系使っていくわ」
ハンドガン宣言をし、バックを探していると、遠くの方に人影が。
「あれ、敵じゃね?」
前方に走っている敵がいることを仲間に知らせる。
「スナイパーライフルを持ってれば、撃ってるんだけどな。バンって」
バン!
「え?」
後ろを見ると、仲間がスナイパーライフルで撃っていた。
弾は敵にあたらず、敵に俺たちがいるとバレただけ。しかも、仲間は結構後ろから撃っており、敵に1番近い俺が狙われる。
バババババン、ババババン!
「ひゃあああああああ! 撃たれてる撃たれてる!」
走って逃げるも狙い撃ちされる。
「味方、援護してくれ!」
走りながら味方の位置を確認すると、味方2人は明後日の方向に動いていた。
「はあああああああ! 逃げんなや! 助けろよ!」
頑張ってジグザグに走ったり真っ直ぐ走ったりする。
「ひいいいいいいい!」
『うるさw』
『ウルト、ウルト』
『足早くなるからウルト発動して!』
ウルト? ウルト使えば足が速くなるの? じゃあ、使うわ!
「ほい!」
ウルトを使うと、ブラッドハウンドの視界がモノクロに変わり、移動が速くなるのを感じる。
「何これ、何これ!」
銃声は聞こえるものの、一向に当たらない。
足が早すぎて、照準が定まらないのかもしれない。
よしゃ、これで逃げられる。
走って仲間の方に向かう。俺を見捨てた奴らだが、仲間は仲間。一緒に行動しなくては。
走って走って仲間の方へ逃げる。が、
パスッン。
「はあ?」
横からの弾丸により、何故かダウンしてしまう。
「え、え?」
何が起きたのか分からないまま、這って仲間の方に動いていく。
パスッン!
被弾。
パスッン!
もう撃たないで、死んじゃう!
パスッン!
ひいいいいい、後1発食らったら死んじゃうよ! 助けて、仲間たち!
そして、トドメのパスッン!
デスボックス化する俺。
「………」
仲間はどんどん離れていく。
『gg』
『ナイス』
『しゃあない』
『gg』
「gg。終わるまで話そ」
暇を持て余しているので、終わるまでリスナーさんのコメントを拾い続ける。
『見捨てられたな』
「見捨てられたな、いや分からないよ。俺が撃たれてるの気付かなかったのかもしれない」
『それはないよ!』
「仲間が俺を見捨てるわけがない! だって仲間だよ。仲間だったら見捨てるはず」
『仲間じゃないのか?』
『滝は仲間じゃない』
『仲間じゃないのなら見捨てるな』
「仲間じゃなかったのか、俺は。じゃあ、仕方ないな」
『仲間じゃないのは草』
『納得してんの草』
『俺ならキレてるわ』
「ゲームでキレるわけないじゃん。ちょっと待ってて」
俺はデスクから離れ、近くのベットにある枕に顔を埋め、マイクが拾えるくらいの声で、
「俺を見捨てんないでよぉおお!」
と叫ぶ。
叫ぶだけ叫んでからデスクに戻るとコメント欄には『草』『草』『草』『キレてんやんw』などなどコメントが流れている。
「キレてないよ」
言葉通りキレてはいない。ただのノリだ。
『キレてなかった?』
『枕かな?』
『叫んでなかった?』
「え、何か聞こえた? 親かな? さっき親が帰って来てたから」
もちろん1人暮らしなので、親はいない。
『親か!』
『親は何に見捨てられたのかなw』
『親も同じゲームやってんのかな?』
なんて茶番をやってると、仲間が死亡し、部隊が壊滅した。
「さあ、次行きますか。サキサキさんのね、ランクを超えるのが俺の目的なんでね。どんどんやっていきたいと思います」
現在レベルの方が10になったので、これでランクマッチができるようになる。
「じゃあ、これから本番ね。サキサキさんのランクを越したいと思います。ちなみにサキサキさんのランクがどれくらいなのか分かりません。誰か見てきてください」
俺はそう言い、ランクマッチが開始させる。
『了解。行ってきます』
『行ってきます』
『行ってきます』
『いってらっしゃい』
「いってらっしゃい」
偵察部隊をサキサキさんのところに派遣する。
キャラ選択は今度は俺が1番。なので、
「レイスを使っていきまーす」
仲間はパスファインダーという機械にお相撲さん。
ジャンプマスターはお相撲さんがしてくれるようで、俺はただただ待つのみ。
『まだブロンズ』
『ランクやってない』
『すぐ超せるやん!』
「よし、すぐ超そう!」
ラックマッチでポイントを荒稼ぎすればいいのだ。すぐに上がってやる。
お相撲さんが降りた場所には人が人もおらず、ゆっくりとアイテム探しができる。
ハンドガン宣言してしまったからには、この1戦もハンドガン系を使う。
仲間のことを考えて強い武器を持てって? ゲームは自分がやりたいように遊ぶものだ。知ったこっちゃない。まあ、マナーは守らなきゃならないけどね。
「あ、ハンドガン発見。ウィングマン? 羽男? 羽男は強いの?」
『羽男は強いw』
『羽男は強い』
『羽男にしな』
「おけおけ。あとは、おおお! RE-45じゃん。これと羽男でいいや」
『いやいや、他の銃にしな』
『他の方がいいよ!』
『滝、他を選ぶんだ!』
「いやだ! これに決めたの! なんと言われてもこれにするの!」
『ママ怒るよ!』
『パパも怒るよ!』
『お姉ちゃんも怒るよ!』
「ママとパパとお姉ちゃんって。笑わせんでください」
『おばあちゃんも怒ってるぞ!』
「おばあちゃんも怒ってるぞ、お前誰だよ! おばあちゃんじゃないのかよ!」
『お姉ちゃんの友達の彼氏の元カノも怒ってるぞ!』
「お姉ちゃんの友達の彼氏の元カノは、もう赤の他人だし、お前は誰だ?」
コメントを少しだけ読み、仲間と合流する。
「今度はチームプレイできればいいな」
さっきのカジュアルマッチはチームプレイが出来なかったので、今度こそはと、仲間についていく。
「実際さ、持ってる武器の相性よくない? RE-45はフルオートだし、羽男は単発だし。RE-45で敵を攻撃して、羽男でトドメみたいな」
俺の妄想では、フルオートのハンドガンであるRE-45で敵のアーマーとHPを少し削り、羽男で残りのHPを削る。
………うん。完璧では?
俺は完璧な攻撃の仕方だと思ったのだが、リスナーさん達は違うようだ。
『逆!』
『逆がいい!』
『羽男でアーマーとHPを削った方がいい!』
「え、そうなの? じゃあ、そうしてみるわ」
リスナーさん達の方がエーペックス知識あるようなので、その指示に従う。
武器を持ち替え、今手にはウィングマンを持っている。
コメント欄をよく見ようかなと思うと、レイスが狙われていると知らせてくれる。
「え、狙われてるの? 俺が? それとも仲間が?」
『滝が狙われてるの』
『周辺に敵がいる』
『敵をやれ!』
ぐるっと一周し周辺を確認すると、
「あ、いたわ!」
ちょっと遠くの方に敵を見つけ、撃たれる前に撃つ。スコープを覗きながら。
バン! バン!
2発撃ち、1発が当たる。何かが割れた音と90の数字が表示される。
「当たったわ」
『90? マジでか』
『頭に当たったのかな?』
『アーマー割れたね』
俺が撃ったことにより、仲間が近くに駆け寄ってくれた。
「このチームあったけー。駆け寄ってくれたよ!」
仲間も敵を目視したようで、敵がいるところに赤いピンが刺さる。
仲間が気づいたということは、敵も気づいたようで、俺らに向け乱射してくるが一向に当たらない。
「エイム、ガバガバ」
仲間の1人が敵との距離を詰めている。
「援護射撃しないとね」
俺は左右に動きながら、敵に向け撃つ。
バン! バン! バン! バン!
今度は当たらず、岩陰に隠れ、リロード。
俺も移動するか。
ジグザグに走り、相手の距離を詰める。
結構近づいたことにより、何発か弾が当たるが、
バン! バン! バン!
お構いなしに撃つ。
最初の弾と最後の弾が敵に当たり、画面の下の方にノックダウンしたと文字が出てくる。
1人仕留めた!
俺たち3人は敵との距離をドンドン詰めていく。
リロードしながら詰めていき、そして、
「ぶっ殺してやらぁあああ!」
3対2の銃撃戦が始まる。
ウィングマンで撃ち、撃ち終えたらサブ武器のRE-45に変える。RE-45が撃ち終えたら、岩陰や物陰に隠れ、リロード、回復を入れていく。
「出てこいやあああ!」
バン! バン!
サブのRE-45に替えて、
バババババババン!
全弾ヒットとは言わないが、ほぼヒットしたため、目の前でおっさんがダウンする。
『ナイス!』
『ナイス!』
『ナイス!』
次の敵を探そうと動くと、目の前で這っていたおっさんがデスボックスへと変わる。
「へ? 倒した? マジか」
俺と仲間で1部隊を壊滅させた。
俺は2キルしているようで、リスナーさん達から褒められる。
「ツーキル!」
『ツーキル』
『ツーキル』
『ツーキル』
もうこれは、作戦変更。命を大事にからガンガン行こうぜ!
「ドンドン行こう!」
俺の意思が伝わったのかどうなのか知らないが、仲間達も銃声の方に向かっていく。
「狩りの時間じゃ」
この後、調子に乗った俺と仲間2人は、向かった先の敵にボコボコにされるのであった。
本題だったランクの方はどうなかったって?
もちろん、ランクを1上げてブロンズ3にしましたよ。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる