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生配信6 暇人、聡太さん
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夜配信のことを考えながらタバコを吸っていると、スマホが鳴る。
誰だろう?
スマホの画面を見ると、聡太さんからの着信だった。もちろん、出ないわけにもいかず、
「もひもひ」
くわえタバコをしながら出る。
『もしもし、タバコ中だった?』
「すぅー、はぁ。………はい、でも今吸い終わりました」
タバコの火を灰皿に押し付け、鎮火。殆ど吸い終わった状態だったので、俺にダメージはない。
『悪いな。急かしたみたいで』
謝ってくる聡太さん。別に謝ることでは無いと伝え、吸い終わりそうだった事も言う。
ところで、聡太さんが配信直後の俺に電話をかけてきたのはこれが初めて。何か急なようでもあるのか?
聞いてみよう。
「配信後すぐに電話してきましたけど、どうしました?」
『いいや、別に』
ん、別に? じゃあ、なんでこの人電話してきたんだ?
『ああ、もしかして、電話してきたからには何かあるだろう、と思ってる?』
思ってます。
『もしそうなら、それは違うから。ただ単に暇だから電話しただけ』
なんだよ、心配して損した。
「じゃあ、切りますよ。用がないなら」
『ああ、まっ「プツン。ツー、ツー」』
ふぅ、暇つぶしに付き合ってられるか!
スマホをポケットに入れ、キッチンに向かう。
なんかお腹が空いてきた。お昼はおにぎり2個しか食べてないからな。
冷蔵庫を開けて、何かあるか探す。
「おっ、この前コンビニで買ったチキンサラダあるじゃん! これたーべよ」
袋を剥き、チキンサラダをそのまま頬張る。
「うん、うん。うんうん」
ゴックン。
「うまい」
どうして、コンビニのチキンサラダって美味いんだろう? あとで、もう1個………3個ぐらい買っとくか。
配信後の非常食として買いだめすることを決意し、食べ終えたゴミを捨てる。
お腹をさすり、空き具合を確認。
「まあまあ溜まったかな?」
お腹7割ぐらい満たされたので、配信部屋兼寝室に戻る。夜の配信について考えなくてはいけないからだ。
「さてさて」
椅子に座り、マイクラを再度起動させる。
起動後すぐにサーバーに入り、三人称視点で自分の姿をスクショ。そしてクリエイティブモードに変更する。
「さてさて、自分のキャラクターと同じ色のブロックはどれかな」
夜配信の内容は、昼にリスナーさん達と考えた。内容は、このサーバーの象徴として、俺のキャラクターをブロックで作りあげるというもの。
自分を作り上げるには、自分のキャラクターの色を把握していなくてはならない。また、どの部分にどのブロックの色が合っているかも把握しなくてはいけない。
ということで、夜配信までにならなくてはいけない事として、使用ブロックの選別。
クリエイティブモードなら、全てのブロックを見る事ができるし、使用する事もできる。
選別するにはもってこい、の機能なのだが、
プルプルプル、とポケットに入れたままのスマホが鳴る。
スマホの画面には、『水上聡太』の4文字。
また電話してきたよ、あの人。暇すぎるんじゃない?
そう心の中で悪態つくも、電話には出る。
「もしもし」
『いきなり切るなんて酷いじゃないか!』
「用はなんですか? 切りますよ」
『待て待て! 用は………無い。無いんだ「プツン。ツー、ツー」』
よし、じゃあ全ブロックを並べて行こうかな。
昼配信の爆破のせいで、至る所がクレーター化している。クレーター化していない場所を見つけ、1列にブロックを並べる。
プルプルプル。
キャラクターの服は迷彩柄。緑は必ず使わなくてはいけないので、色系統ブロックの緑色を使用する。石のブロックなんかも使えそうな気がするな。
プルプルプルプルプル。
髪は黒なので、黒色の色系統ブロック。
プルプルプルプルプルプルプルプルプル。
「うるせぇぇえええ! 聡太さん、煩いですよ!」
電話を出るなり、怒鳴りつける。
『あああ! 耳やばい、お前の声の方が煩い! 耳がキーンってなってる』
知るか、んなもん!
「で、どうせ聞く意味はないと思うんですけど、一応聞いときます。な・ん・か・用・で・す・か⁉︎」
『何度同じ答えを言っているか分からないが、暇!』
ムカつくな! 2回しか言ってないし!
ってか、この人に構っていると、夜配信の準備ができない!
「暇なんですか、暇なんですよね?」
『おう、暇すぎてやばい』
「そうですか。一応聞いますけど、配信をしたらどうですか?」
配信者たるもの暇なときは、配信をすればいいじゃない。もしくは、ゲームをやってプレイ技術を上げるとかさ。
『実は、今日9時から配信してて、12時ぐらいになったときにパソコンの調子が悪くなって、配信止まっちゃったんだよね。まあ、リスナーさん達も納得してくれてはいるんだけど、中断した事に。で、今は直して調子良いんだけど、配信する気にもなれなくてさ。あはははははは』
まあ、パソコンの調子が悪くて配信中断とかは分かる。俺も1度だけやったから。
それにしても、あの人暇すぎるでしょ! 夜配信の準備したいのに、邪魔ばかりしやがって!
あの人の暇をどうにかしなくては。何かいい案でも………はっ! ある、あるわ! 俺に得して、聡太さんの暇を解消する方法。
「聡太さんもマイクラやってましたよね?」
『ああ、やってるけど?』
よし!
「じゃあ、今からサーバーのパスワード送るので、入ってきて、クレーターの処理お願いできませんか?」
TNT盛りすぎて、クレーターが想像異常に大きい。穴ぼこのサーバーはちょっと嫌なのだ。
だからと言って、地面を元に戻すのは面倒くさい。俺はちょっとやりたくないのだ。俺がやらないなら、他人にやってもらおう。
ちょうど暇人が1人いる。面倒くさいことは、暇な人に任せてしまおう。
『おお、任せろ!』
どうやら本人もやる気があるようでよかった。
これで夜配信の準備ができる。
聡太さんはこのサーバーに入るなり、せっせと働き、俺は夜配信の準備を着々と終わらせる。
はぁ、よかった。聡太さんが暇人で。
暇人な聡太さんのおかげで、俺は夜配信の準備を入念に仕上げることができるのであった。
誰だろう?
スマホの画面を見ると、聡太さんからの着信だった。もちろん、出ないわけにもいかず、
「もひもひ」
くわえタバコをしながら出る。
『もしもし、タバコ中だった?』
「すぅー、はぁ。………はい、でも今吸い終わりました」
タバコの火を灰皿に押し付け、鎮火。殆ど吸い終わった状態だったので、俺にダメージはない。
『悪いな。急かしたみたいで』
謝ってくる聡太さん。別に謝ることでは無いと伝え、吸い終わりそうだった事も言う。
ところで、聡太さんが配信直後の俺に電話をかけてきたのはこれが初めて。何か急なようでもあるのか?
聞いてみよう。
「配信後すぐに電話してきましたけど、どうしました?」
『いいや、別に』
ん、別に? じゃあ、なんでこの人電話してきたんだ?
『ああ、もしかして、電話してきたからには何かあるだろう、と思ってる?』
思ってます。
『もしそうなら、それは違うから。ただ単に暇だから電話しただけ』
なんだよ、心配して損した。
「じゃあ、切りますよ。用がないなら」
『ああ、まっ「プツン。ツー、ツー」』
ふぅ、暇つぶしに付き合ってられるか!
スマホをポケットに入れ、キッチンに向かう。
なんかお腹が空いてきた。お昼はおにぎり2個しか食べてないからな。
冷蔵庫を開けて、何かあるか探す。
「おっ、この前コンビニで買ったチキンサラダあるじゃん! これたーべよ」
袋を剥き、チキンサラダをそのまま頬張る。
「うん、うん。うんうん」
ゴックン。
「うまい」
どうして、コンビニのチキンサラダって美味いんだろう? あとで、もう1個………3個ぐらい買っとくか。
配信後の非常食として買いだめすることを決意し、食べ終えたゴミを捨てる。
お腹をさすり、空き具合を確認。
「まあまあ溜まったかな?」
お腹7割ぐらい満たされたので、配信部屋兼寝室に戻る。夜の配信について考えなくてはいけないからだ。
「さてさて」
椅子に座り、マイクラを再度起動させる。
起動後すぐにサーバーに入り、三人称視点で自分の姿をスクショ。そしてクリエイティブモードに変更する。
「さてさて、自分のキャラクターと同じ色のブロックはどれかな」
夜配信の内容は、昼にリスナーさん達と考えた。内容は、このサーバーの象徴として、俺のキャラクターをブロックで作りあげるというもの。
自分を作り上げるには、自分のキャラクターの色を把握していなくてはならない。また、どの部分にどのブロックの色が合っているかも把握しなくてはいけない。
ということで、夜配信までにならなくてはいけない事として、使用ブロックの選別。
クリエイティブモードなら、全てのブロックを見る事ができるし、使用する事もできる。
選別するにはもってこい、の機能なのだが、
プルプルプル、とポケットに入れたままのスマホが鳴る。
スマホの画面には、『水上聡太』の4文字。
また電話してきたよ、あの人。暇すぎるんじゃない?
そう心の中で悪態つくも、電話には出る。
「もしもし」
『いきなり切るなんて酷いじゃないか!』
「用はなんですか? 切りますよ」
『待て待て! 用は………無い。無いんだ「プツン。ツー、ツー」』
よし、じゃあ全ブロックを並べて行こうかな。
昼配信の爆破のせいで、至る所がクレーター化している。クレーター化していない場所を見つけ、1列にブロックを並べる。
プルプルプル。
キャラクターの服は迷彩柄。緑は必ず使わなくてはいけないので、色系統ブロックの緑色を使用する。石のブロックなんかも使えそうな気がするな。
プルプルプルプルプル。
髪は黒なので、黒色の色系統ブロック。
プルプルプルプルプルプルプルプルプル。
「うるせぇぇえええ! 聡太さん、煩いですよ!」
電話を出るなり、怒鳴りつける。
『あああ! 耳やばい、お前の声の方が煩い! 耳がキーンってなってる』
知るか、んなもん!
「で、どうせ聞く意味はないと思うんですけど、一応聞いときます。な・ん・か・用・で・す・か⁉︎」
『何度同じ答えを言っているか分からないが、暇!』
ムカつくな! 2回しか言ってないし!
ってか、この人に構っていると、夜配信の準備ができない!
「暇なんですか、暇なんですよね?」
『おう、暇すぎてやばい』
「そうですか。一応聞いますけど、配信をしたらどうですか?」
配信者たるもの暇なときは、配信をすればいいじゃない。もしくは、ゲームをやってプレイ技術を上げるとかさ。
『実は、今日9時から配信してて、12時ぐらいになったときにパソコンの調子が悪くなって、配信止まっちゃったんだよね。まあ、リスナーさん達も納得してくれてはいるんだけど、中断した事に。で、今は直して調子良いんだけど、配信する気にもなれなくてさ。あはははははは』
まあ、パソコンの調子が悪くて配信中断とかは分かる。俺も1度だけやったから。
それにしても、あの人暇すぎるでしょ! 夜配信の準備したいのに、邪魔ばかりしやがって!
あの人の暇をどうにかしなくては。何かいい案でも………はっ! ある、あるわ! 俺に得して、聡太さんの暇を解消する方法。
「聡太さんもマイクラやってましたよね?」
『ああ、やってるけど?』
よし!
「じゃあ、今からサーバーのパスワード送るので、入ってきて、クレーターの処理お願いできませんか?」
TNT盛りすぎて、クレーターが想像異常に大きい。穴ぼこのサーバーはちょっと嫌なのだ。
だからと言って、地面を元に戻すのは面倒くさい。俺はちょっとやりたくないのだ。俺がやらないなら、他人にやってもらおう。
ちょうど暇人が1人いる。面倒くさいことは、暇な人に任せてしまおう。
『おお、任せろ!』
どうやら本人もやる気があるようでよかった。
これで夜配信の準備ができる。
聡太さんはこのサーバーに入るなり、せっせと働き、俺は夜配信の準備を着々と終わらせる。
はぁ、よかった。聡太さんが暇人で。
暇人な聡太さんのおかげで、俺は夜配信の準備を入念に仕上げることができるのであった。
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